ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.68 )
- 日時: 2018/09/21 20:32
- 名前: マシュ&マロ (ID: BB67RT0Y)
「改めまして私は羽方ミレア、よろしくね」
「ミレアね。私はジャッキーよ、よろしくね」
ミレアから差し出された手を握るジャッキーは、友間とさっき会った時と比べてボロボロとなっており少しいたたましく思えたがそんな事は気にする様子もなしに京八の声が聞こえてきた。
「まー敵も倒せた事だし、乾杯のコーラでも飲まねぇか☆」
「私はパスするわ、京八」
「どうしたジャッキー、つれねぇなあ?」
「ちょっとヤンチャし過ぎたみたいだから、新しいギブス巻いてくるわ」
「え〜・・・・・、じゃあ友間とミレアはどうだ?」
「私もパスするわ....。」
「あ、ごめん、シロを待たせてるんだ。しかも料理もやらせてるから何が起こるか分からなしさ」
「しゃあねぇな、そんなら俺一人で飲んで来るぜ」
そう言い残して京八が去っていくとそれが合図だったかのようにミレアと友間は自分の来た道を別々に戻っていったのだった。
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ーーガチャ....
「シロ、ただいま」
「あ、えーと、おかえりなさい友間さん.....」
「んっ?、何か言葉に困ってるみたいだけど何かあったのシロ?」
「お、落ち着いて聞いて下さいね友間さん!」
「うん、シロの方がまず落ち着こうか」
その後、友間の視界から消えたシロが手に持ってきたモノは世界の七不思議に匹敵するぐらい正体不明なドロッとした物体であった。
「・・・・・・え...? な、何コレ?」
「あ....その.....。た、卵焼き...です」
「た、卵焼き...? じ、じゃあ今晩も俺が作るよ」
「そ、その.....卵。全部使ってしまいました...。」
「ま、まあ他の食材で作っちゃえば・・・・・。」
「冷やそうと思って冷蔵庫に入れたのですが、全部腐らせてしまいました...。」
「って、事はまだまだ作った卵焼きがあまってるの?」
「はい、お恥ずかしながら冷蔵庫にたんまりと....。」
「・・・・・・まあ、意外と見た目と違って美味しいかもしれないし....味見してみるよ」
「え! ちょっ! 友間さん!?」
台所の近くにあったスプーンを取ると友間は勢いに任せて卵焼きの盛られた皿に突っ込ませると、そのままの勢いで卵焼きを口へと流し込んだのであった。
「ん〜、意外といけ・・・・・。」
ーーバタッ.....。
「ゆ、友間さんッ!? 大丈夫ですか!?、しっかりして下さい!!?」
「あーなんて綺麗な川なんだろうか...。」
「友間さん!?? ダメですッ!!、渡ったりしたら終わりですよッ!!?」
「あー誰か手を振っ・・・・・((ガク...」
口から泡を噴き、だんだんと意識が薄れていく中で最後にシロの声が聞こえてきた気がして友間は意識を失った。
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「ん....、う〜ん・・・・・。」
友間はどこかのベッドの上で白い天井を見ながら目を覚ました、感覚的に言えば学校にある保健室にいるような感じがする。
ーーギュウゥゥウゥゥゥ〜〜・・・・。
友間は突然として誰かに抱きつかれ強く抱き締められた、よく見てみると涙目になりながら抱き締められくるシロの姿だった。
「え....ここ、何処...?」
「ホントに良かったです......本当に良かったです....。」
「し、シロ? どうしたの?、それと何がどうなって・・・・・。」
そこへ誰かが近づいてくる気配して京八が勢いよく現れてきて慌てた様子で話しかけてきた。
「おい黒奈! お前ホントに黒奈だよな!?」
「う、うん....俺、友間だよ京八。もしかして忘れてた?」
ワケが分からずに自分自身を指差しながらそう言った友間。それに対して京八は震えはじめたかと思うと友間へと飛びついた。
「バカ野郎〜っ!!」
「ワッ! き、京八!? ち、ちょっと一旦離れてくれない!??」
「あっ、悪い.....ふぅ〜。しかしよー、お前よく生きてたな?」
「へっ?、“よく生きてた”??」
「そうだぜ黒奈、お前間違ったらシロの作った食物兵器で死んでたんだぜ?」
「し、死んでたッ!?」
「ああ、お前の意識が戻らないまま3ヵ月も経っちまったんだぜ?」
「さッ!、3ヵ月ッッ!!?」
友間は半狂乱になりながら今までの出来事を整理してみたが頭の方が理解に苦しみ、そのうえ突如として頭がクラクラとしてきて友間はベッドに倒れそうになった。
「うっ....頭が...。」
「お前はまだ寝てねな黒奈、またブッ倒られたら次は俺が倒れそうだぜ」
「ごめんごめん、じゃあもう寝るよ京八」
「おう!、それとだな・・・・・。」
するとそこへジャッキーとシセラの姿が見えてきて、ジャッキーは京八を押し退けると友間に一言呟いた。
「もーどうなる事かと心配したわよ。それに京八の慌てようときたら・・・・・。」
「し...シロ...さん、も...心配....してた...。」
「そうそう黒奈! あの時のシロの顔ってのは、もうこの世の終わりみたいな顔してたんだぜ」
面白そうに語っている京八のそれに対してシロはまだ泣き止まずにおり頬や目が熟れた林檎のように赤かった。
「確かにそうみたいだね。それと今度から食事の方は俺が担当する事にするよ」
そう言って友間は笑うと少しまた頭がクラクラとしてきたが、そんな事は気にならない様子でさらに笑顔を見せると周辺に皆の楽しそうな声が響いたのであった。