ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.73 )
日時: 2018/10/21 07:16
名前: マシュ&マロ (ID: 1l.7ltSh)



 「だ、はははははッ!! 黒奈!、なつう顔してんだよ!?」


 「その事については触れないでくれないかな?」


 まだ顔がヒリヒリしていて悲惨な状況になっているだろう、しかし京八の笑いようには呆れがきてしまった友間だった。


 「友間さんも失敗する事があるんですね」


 「いやいやニコラ、俺は成功より失敗してばっかりの人生だよ?」


 「あら、それは失礼。ふふ...」


 三人は今、自分たちが借りている賃貸マンションの一室にいた。極めて平穏なので嬉しいこと他ならないことだろう。


 「そんで黒奈、これからどうするつもりなんだ?」


 「ん〜・・・・・。伊月って人が帰ってたら、まずは次に出かける時に尾行するぐらいしかない今のところないかも」


 「そんじゃ、気長に待ちましょうかね〜。俺は一旦寝るぜからなぁ 」


 そう言って立ち上がると別の部屋の方へ行ってしまった京八。そして残された友間とニコラは仕方なしに暇潰しの会話を始めたのだった。


 「友間さんは、お母さんが殺されてしまったらしいのですが犯人は捕まったのですか?」


 「んー、急にそう来られると少し困るんだけど.....率直で言ってまだ捕まってないみたい...、一度だけ会った事があるけど二度目は遠慮したいかな」


 「そうですか......、なら! もう一度会えるのなら、友間さんはお母さんに会いたいですか?」


「えっ? 急にそんな・・・・・・、んーでも、それが本当なら一瞬でも良いから会いたいかな」 


 「決まり!、私が友間さんの願いを一つだけ叶えてあげるね♪」


 「ははは、ありがとニコラ。ならそれは後のために大切に取っておく事にするよ」


 「えー・・・・勿体な〜い」


 「いいんだよ、この先何があるのかも分からないんだしね」


 「そお?、.......でも! 友間さんがそう言うなら大切に取っておくね!」


 「うん、分かった。....あっ!、それとニコラの方も叶えたい夢とかってあるの?」


 「え........そ、それはね・・・・・・。」


 唐突な質問に思わず頬を紅潮させて言葉に詰まってしまうニコラ。そして少しの間があったあと、ニコラは小さな声でこう言ってきた。


 「・・・・・・お、おに〜ちゃんと....ずっと幸せに.......過ごしたい...な..。」


 ーーカア〜っ!!


 「あっ、ニコラにお兄ちゃんがいたんだ。それでどんな人なの?」


 「ほ、本当は血が繋がってないんだけどね.....初めて...、私に優しく接してくれた人なの....。」


 もう恥ずかしさのあまり頬が林檎のように赤くなってしまったニコラ、気持ちを必死で抑えようとしながら友間との話を続けた。


 「そ、それでね....おに〜ちゃんは...芸術家をやってるんだけど、すんごく凄いんだけど周りからの評価があんまり良くなくてどこか悲しそうなの....。」


 「その、お兄ちゃんって凄く良い人なんだね。ニコラが嬉しそうに話してるからそうなんだって思える」


 「うんっ!!、すんごく良い人なのッ!。今度ね、友間さんにも会わせてあげたいなーっ!!」


 「うん、じゃあ今度ね・・・・・あっ、京八っ!!」


 「んもー、騒がしくて眠れやしねぇぜ」


 「ごめん京八、次から声ボリュームを考えるよ」


 「いや、それより隣の家の弟さんが帰ってきたみたいだぜ」


 「それじゃあ準備しとかないとね、ニコラも何か必要なのがあったら言ってね?」


 「はい、分かりました友間さん」


 こうして友間・京八・ニコラの三人の物語が開幕しようとしているのかもしれません。