ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.74 )
- 日時: 2018/10/20 10:53
- 名前: マシュ&マロ (ID: 1l.7ltSh)
「あっ!、お帰り伊月」
「ああ.....ただいま、姉さん」
「・・・・・今日もボロボロじゃないの。そうだ!、私のスキルで治して・・・・・。」
「いい....いらねぇ...。」
「で、でもね。たまにはお姉ちゃんにも世話をやかせてくれないかな〜って・・・・・」
「だから! いらねぇって言ってるだろッ!!」
「そ、そう怒らなくても」
「・・・・・・っ!!.....。ご、ごめん....姉さん...。」
「ううん、お姉ちゃんの方もごめんね伊月。...でもね、お姉ちゃんだって心配なの、伊月が何処か行っちゃう気がして...。」
心配するように伊月に語りかける美琴、だがそんな美琴の声を遮るように伊月は顔を背けてこう呟いた。
「分かってるよ、俺だって分かってんだよ・・・・・・。悪い、また出掛けてくる」
伊月はそう言って家を出て行こうとする、美琴はそれを引き止めると伊月にこんな事を言った。
「約束して!、絶対に危ない事はしないって!!」
「・・・・・・たぶんな....。」
「伊月っ!」
だが伊月は姉の声を無視するかのように足早に外へと出て行ってしまった。
「・・・・・・はぁ....。」
そう誰もいなくなった部屋で溜め息を漏らした美琴、その目には涙が浮かんでいたのだった。
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外へと出てきた伊月は少し肩を落としながら歩き出した、が その後ろから数人の人影がついてきていた。
「だ、大丈夫だよね? こんな典型的な尾行の仕方だけど?」
「静かにしとけ張れねぇだろ?、それに方法もこれしかねぇしな」
「大丈夫ですよ友間さん!、自分の事を信じましょう!」
「おっ、黒奈。ニコラ。伊月が曲がってったぜ!」
「よし、自分の運でも信じようかな」
そう自分に言い聞かせるかのように友間は呟くと、二人と一緒に角を曲がっていった....しかし、曲がってすぐに三人の足取りは止まった。
“伊月が消えた”
「チッ!、勘づかれてたみていだな黒奈」
「ん〜、だったら手分けして探してみるしかないのかな?」
「仕方ねぇなー・・・・。おしっ!、じゃあ伊月を見つけた奴は各自で連絡するって事で良いな?」
「分かった、京八」
「分かりました、京八さん」
そうして各自解散する事になった三人は、それぞれの道を進んでいく。そして友間も自分の勘に従って前へ前へと歩き始めた。