ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.8 )
日時: 2019/09/08 19:18
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 友間がストラングに来てから早3日が過ぎていた。基地内にも数人の知り合いができて母親を殺された悲しみも少なからず薄れている頃だった。


 「ハァー暇だ〜....、いっそ黒奈の部屋でも訪ねてみっか」


 冷え冷えのコーラを片手に持っている京八は暇潰しに友間の所へ訪ねてみる事にしたのだった。


 「おーい黒奈〜、部屋入るぞ〜」


 _____ガチャ


 そう言って部屋に入ると玄関を通ってリビングへと出る。だが友間の姿が見当たらないので辺りを見渡してみた、そしてキッチンに行ってみると友間が火の着火しているコンロに手を伸ばしているところであった。


 「オイ! 待て待て何してるっ!?」


 「えっ! 京八!? うわッ」


 二人とも勢い余って床へと倒れ込んでしまう。しかし京八は即座に立ち上がってコンロの火を消した。


 「何やってんだ?、焼け死にしたいのかよ?」

 「えっ?、え〜とただスキルの実験をしようかと....」


 「はっ? スキルの実験...?」


 「ほら、俺のスキルって物質の性質を取り込める『性質吸収』だろ?。だから“火の性質”でも取り込んどこうかと思って.....」


 「あぁそうだった!、お前のスキルってそんなんだったな」


 そう自身の額をたたいて言った京八、そうこうしてると友間は自分の力で立ち上がり再びコンロの突起を捻って火をつける。


 「い...いちょう気をつけろよ黒奈」


 「ああ、大丈夫だよ」


 そう言って京八の心配する声を跳ね退けると友間はコンロの火に触れる。すると友間の体から炎が吹き出して全身を包み込んでいく。

 だが熱くは無く、何と言うか温かいという感じである。


 「どんどん変身出来んのが増えてんな」


 「まぁ、そう言ってもまだ4つの性質しかないけどね」


 軽く苦笑してみせると友間はスキルを解除して体から炎を消した。

 だがその途端、二人の背後から見知らぬ男の声が聞こえてきた。


 「よぉ、あんた....俺と最悪な時間を過ごさないか?」


 「「んっ!??」」


 咄嗟に二人は後ろを振り向くが、あったのは空間が裂けたような真っ暗闇の穴であった。


 「おい黒奈、何だよコレ...」


 「いや、俺に聞かれても....?」


 二人がそんな感じで話していると一瞬の沈黙の後、二人の体は謎の引力に引き込まれるかのように謎の穴へと吸い込まれて行ってしまった。

Re: スキルワールド ( No.9 )
日時: 2019/09/08 19:33
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 京八と友間の二人は大回転しながら何も無い真っ暗な空間へと放り出された。


 「あ〜〜目が回るぜ〜。黒奈は大丈夫か〜?」


 「お、俺もちょっと気分が....ウッ!」


 「.......ようこそ、俺の世界へ...」


 二人は吐き気を催しながらも声のした方を伺ってみると少し短い手足に少々ふっくらとした体形をしている男が立っていた.....いや、浮いているのかな?

 「・・・・・・敵かッ!!」


 「えっ!、京八の知り合いじゃないの!?」


 「こんな奴は俺は知らん!!、スキル『発電』ッ!!」


 京八は手に持っていたコーラを一気に飲み干すと空きのペットボトルを下へと捨ててスキルを発動する。


 「おっし!、殺るか!」


 そう言うか早いか京八は男へと殴り倒す勢いで飛び出していく。


 「俺も.....戦った方が良いのか?」


 ポツン、と残されてしまった友間はそんな事を言いながらも自身のスキルを発動し京八のサポートへと回ることにした。


 「チッ!、外した....」


 「いやいや、外したのではなくて“避けられたんだよ”」


 「ああそうかよ....、ヤァァーッ!」


 「うわぁ〜京八、張り切ってるねぇ.....って!言ってる場合じゃないや!!」


 「チッ!、全然当たらねぇ」


 「じゃあ、そろそろ飽きたから攻撃に移るよ?」


 その途端、気づくと京八の体は吹き飛ばされていた......油断はしていなかった。それに殴り飛ばされたのではなく何かよく分からない力に押し飛ばされたような感じである。


 「い....イテテテ、こりゃあ効いたぁ」


 「京八、ここは一旦逃げた方が....」


 「逃げるって言っても何処に逃げるんだよ?」


 京八は走り寄ってきた友間を見ると暗闇が広がる空間を見回して思わず友間に苦笑いを投げかけてみせる。


 「そ、そうだね」


 「1つ言っておくが、お前ら二人がどんなに力を合わせて俺に向かって来たって俺の一回の攻撃で終わる、そんぐらいなら一度人生をロードし直したらどうだ?」


 完全に下に見られている、そのぐらいは二人も即座に分かる事であった。


 「・・・・・・ぷっ...はっ!はっ!はっ!、冗談だよ悪かったな」


 「「.....へっ?...」」


 突然のカミングアウトに二人はお互いの顔を見合わせて数秒硬直する。そして少しして我に返った様子の二人は同時にまだ少し笑ってる男の方へ首を向ける。


 「いやいやゴメンゴメン、ちょっと小手調べのつもりだったんだけど君達の白熱ぶりにちょっと感化されちゃったのかな?、少しやり過ぎてしまってホント悪かった」


 「おいおい、どういう事だよ?」


 今までのは何だったのかと言わんばかりに問いかける京八、まぁ確かに突然の出来事なのだから文句を言われても仕方ないのかもしれないが.....。


 「まぁまずは自己紹介からだな、俺は『サンタム・スカル・サンズ』だ、気軽に“スカル”って呼んでくれ」

 

Re: スキルワールド ( No.10 )
日時: 2019/09/09 22:14
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 真っ暗闇な風景だけが広がる世界に三人の人物の存在があった。


 「でっスカルとやら、お前は俺らの敵じゃねぇって事か?」


 「あぁそうだ京八くん、俺はただ基地内にある異空間に住み着いてるだけだしね」


 「そんでお前の存在をボスは知ってんのか?」


 やけにスカルを不審に思っているのか京八はスカルに対して次々と質問を投げかける。


 「もちろん、ボスはちゃんと知ってるし俺は許可をとってる身だ」


 「ところでスカルさん、俺ら二人って元の場所に戻れますか?」


 友間は何分も続く京八による質問コーナーを終わらせるためにスカルにそう聞いてみる。


 「それはもちろん、この空間は僕の一部のようなもんだからね。君達が良ければ送り返すことも可能だよ?」


 「あっ、なら直ぐにお願いします!」


 「おい黒奈!?、コイツはまだ信用できねぇってのに易々とそんな事を頼むもんじゃ・・・・・・」


 「京八は黙ってて!、それともこのまま亜空間の中に居たいの?」

 「ちょっと待っててくれ........確かに嫌だな!、そうと決まれば帰るか」


 京八が周りを見回した後の意見の変わりようには流石の友間も呆れを通り越して苦笑いがつい出てしまった。


 「それじゃあ通路を開けるから少し離れて....OK、じゃあ通路を・・・・・・」


 すると三人の視界に最初に見た変な空間の穴が現れ、それに対して友間はスカルに頭を下げて礼の気持ちを示した。


 「ここを通ったら戻れるよ、それじゃあね.....あっ!、言い忘れるところだったけど困った時は口笛を吹いてね!、すぐ俺が駆けつけてあげるから」


 「分かりました、それと失礼しました。行こっ、京八」


 そして友間は少しばかり納得のいっていない様子の京八と一緒に次元の穴へと飛び込んでいく。


 [〜数分後〜]


 暗闇に光が差し込み二人は少し前にいた部屋へと戻っていた。穴は既に消えてしまっていたが、少しの休みも挟めずに誰かが勢い良く部屋に入ってくる。


 「やっと見つけたぜ、何処行ってたんだよお前ら?」


 一応説明を挟ませて頂くが、部屋に入ってきたのは数日前に友間を助けてくれたれい本人である。


 「何って...どうかしたの?」


 「いやいやそりゃねぇぜ友間、お前ら3日も行方不明だったんだぜ?」


 「「・・・・・・・・はッ!?!」」


 京八と友間の脳裏には突如として電撃が走るような感覚が起こる。お互いに顔を見合わせて驚きの声が部屋に響き渡ったのも無理はない話であろう。


 「いやいや零!、俺らはスカルのとこから一時間もしねぇぐらいで戻ってきたぞ?」


 「んっ?、スカルって誰だ京八.....。あっそうだお前ら、ボスがお前らに収集かけてたぜ」


 「えっ俺らにか?、行ってみるか黒奈?」


 「そうだね、怒られたくないし.....」


 そんな事を二人は呟きながら零をおいて部屋を後にする。


 [~ 署長室へ ~]


 「やぁやあ君達。“な・ぜ・に”この3日間は姿を見せなかったんだい?」


 「き、キレてるよね完全にボス?」


 「あぁ、これはヤバイかもな黒奈」


 「何をヒソヒソと話してるんだい、君達二人は?」


 「「す、すみません.....」」


 「まあ、この件については後にして君達二人にはちょっとした任務をやってもらいたい」


「「へっ?、任務ですか....?」」