ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.80 )
- 日時: 2019/08/03 18:14
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
ここは辺りが真っ暗な空間、強いて言うなら友間の精神世界のような場所だ。
(「今回ばかりは無茶し過ぎですからね友間様っ!」)
「えーと、その....スミマセン」
今の現状を言うと、燃えている少女...つまりエンに散々と今回について叱られていた。理由の方はエンの話を聞いて分かるかもしれない。
(「私の力は無限ではなく有限なんですよ?、それなのに今回のように一度に何度も再生する事になるとさすがに私でも疲れるんですよ?」)
「ご、ごめんってばエン。次は伊月の時みたいにならないよう気をつけてるから」
(「いいですよ!、今回は仕方なかったとして次は気をつけて下さいね?」
「う、うん...分かった、約束するよ。・・・・・・ところでさっきエンが疲れたって言ってたけど具体にどんな感じなの?」
(「んー具体的と言われましても.....。分かりやすく言うなら友間様のスキルは普通のとは違って私や他の者のような独自の意思を持った性質たちと根強く結びついています。」)
「えーと・・・・・・、つまり?」
(「そうですね・・・・・例えるなら、運命共同体ですかね?」)
「う、運命共同体....?..」
(「そうです、運命共同体です。つまりは友間様と性質たちは強く結びついていて友間様がもし炎の性質を扱った場合は友間様がその時に疲れた分だけこちらに疲労が還元されますし、友間様が死んだ場合だと私たちも道連れで死んでしまうんですよね」)
「さらっと恐いこと言ってたけど、俺が死んだらエン達は死んじゃうんだね....。」
(「まあ、死ぬという表現は生き物でない私達にとって正しいか分かりませんが、その逆に私達からも友間様に対して権限があります」)
「け、権限? 何なのそれって?」
(「簡単に言いますと性質の一人一人には友間様からの使用を拒否、または力の制限および増強が行えます。」)
「拒否に....制限...か..。」
(「はい、私の場合は友間様を認めていますので体が壊れない程度に最低限の制限をかけているぐらいですかね?」)
「ちょっ!、ちょっと待って! ならその制限を外したら俺ってどうなっちゃうの!?」
(「んー、体が力に対応しきれずに崩壊してしまいますかね?」)
明るい感じで告げてきたエンだが友間自身はその事を想像してしまい顔が少し青ざめてしまった。
(「あっ!、そろそろ時間みたいですので......また会えると良いですね、友間様!」)
「うん!、次もまた絶対に会おうね!」
そう言い残してその場から消えてしまった友間、すると残されたエンが何もない空間を見つめていると....。
(「嬉しそうだなエン、もしや友間って奴に色恋沙汰でも」)
(「あら、珍しい方が現れたものですね。」)
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「うぅ.....んぅ〜〜、よく寝たな〜」
そう背伸びをしながら上半身を起こした友間、そして自分がアパートの一室で寝ている事に気づいた。
「京八たちが運んでくれたのかな?」
体の状態を確かめるために軽いストレッチをしていた途中、すぐそばの床に置き手紙を見つけて読んでた。
『友間さんへ
私、ニコラだけどこれから用事があるから少し出掛けて来ますね♪。それと起きてまだ京八さんが居なかったのなら京八さんからの伝言を伝えるね。
『少し帰りが遅くなる』
なので、心配はいらないと思います、友間さんも体に気をつけて下さいね。』
「・・・・・・遅くなる...か..、よしっ! 俺も気を引きしめてこうかな!」
そう意気込んだは良いが、伊月との戦いで疲労が大きかったらしく歩いてもいないのに頭から転んでしまった友間であった。
「痛ててて、鼻を思いっきり打っちゃったなぁ」
ーー・・・・・ピーン ポーンッ!
「あれ?、誰だろ?」
時計で時刻を確認してみると夕方の時間帯だった、そして鼻を抑えつつ玄関へと向かった友間は覗き穴を覗いた瞬間にビックリしてしまった。
「美琴さんだッ!!」
ーーガチャッ!
「あ、友間さん、居て良かったです。ところで伊月のいる場所とか知りませんか?、どんなに電話しても携帯が繋がらないので・・・・・。」
「あー、えーと今は京八がたぶん尾行してると思います。でもこっちも京八に繋がらなくて....。」
「そうですか....あっ、こんな時間帯にごめんなさいね友間さん」
「いえ!いえ!、何かあったらすぐに伝えますので!」
「それは嬉しいはね」
そう微笑んだ顔を見せると狭いアパートの通路に少し苦戦しながら車椅子を方向転換させて去ってしまった彼女の背中はどこか悲しそうだった。
(弟が....もしかすると犯罪に関わってるかも、なんて言えないしな・・・・。)
少し後ろめたい気持ちになった友間だったが、冬の冷風が友間を思いに更けさせてはくれず堪らず部屋へと戻って行ったのだった。
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ここは町の風景とは一風変わった人寂しい森の中、そして奥へ行った所に廃れてしまった様子の一軒の屋敷が見えてきた。
だが屋敷の風貌に似合わず誰かの怒鳴り声が聞こえてきたのであった。
「クソォォォオオーーーーッ!! あの電気野郎ッ!、次見つけたらただじゃ済まさねぇぞ!!」
廃れた屋敷の一室で怒鳴り散らしていたのは行方不明となっている伊月本人であった。そしてその部屋に別の誰かが入ってきたのであった。
「そう騒ぐものじゃないぞ伊月、芸術とは自分との語り合い、その為には冷静さと忍耐力が大事だからな」
「うるセェッ!!、お前はいつもみたいに人間の体でも接合してろッ!」
伊月は影の奥にいる姿は見えない相手に向かって怒鳴った、この事から二人は顔見知りといった関係だろう。
「いつもの君らしくないね。まぁ...それも仕方ない事か」
そう言ってきた相手の視線は伊月の右腹にできた焼き焦げてただれている酷い火傷へだった。
「こっちはしてやられたが、こっちもアイツの片脚の筋肉を抉ってやったんだ、運が良ければ出血多量で死んでるはずだ!」
少し息が荒くなってきた伊月、すると謎の相手はこの様子に呆れたかのような溜め息を吐くと後ろを振り返り誰かを呼んだのであった。
「何してやがる、またお前の芸術とやらの作品鑑賞には付き合わねぇからな」
「これはまた酷い感想だな、まぁ今日は機嫌がいいから見逃しておこう。そして紹介しよう、私の妹の“ニコラ”だ」
その名前を聞いて耳を疑ってしまった伊月、そして何を隠そう昼間に京八と一緒に現れたニコラ本人であったのだ。
「お前......。」
「また会ったね伊月さん♪、それと会えて嬉しいな〜・・・・・・。」
“おに〜ちゃん♪”