ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.82 )
日時: 2018/11/28 19:49
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)


 ーートン、トン


 「あの、友間さん。お風呂、空きましたよ?」


 友間はシロにそう肩をたたかれて起きた。どうやら少し座って休むつもりだったのだが気づかぬ内に寝てしまい夕暮れから夜になっていたようだ。


 「あ、うん分かったよシロ、俺も入るよ。・・・・・・でも俺のはちょっとシロには狭かったみたいだね?」


 そうシロの色々なところを強調してしまっている自分の服への感想を友間が述べていると、シロの右足に目が止まった。


 そんなに意識してシロの脚を見てなかったし着ているのが半ズボンというのもあるのか、今さらながらシロの右足がなんと膝まで金属製の義足だったのだ。


 「んっ?、あぁこれの事ですか.....これは....私の弱さを思い出させてくれる消えない傷です・・・・・。」


 「傷...って・・・・・・、シロに一体何があったの・・・・?」


 「・・・・・・すみません....。今の私には友間さんに語れる程の資格がありません・・・・。」


 ーードンッ!、ドンッ!


 暗い顔にしたシロをよそに玄関のドアを強く叩いている音が聞こえてきた。そこで京八かニコラが帰ってきたのかと思い、玄関に行ってみる事にした。


 「友間さんッ!!、離れて下さいっ!」


 「えっ!?、シロ?」


 シロにこれでもかと思ってしまう程の力で後ろへと引っ張れた直後、その刹那に何かのエンジンが動き出したような音がし玄関のドアをチェーンソーが突き破ってきたのだ。


 「シロッ!!、危ないッ!?」


 「ふっ!」


 だがそんな心配も無用だったようで、シロは自身の発した掛け声と共にチェーンソーの刃を鷲掴みにし目の前にいる強襲者を睨みつけた。


 「う、うわー。シロってやっぱり強いなー」


 だが敵の奇怪な姿にはシロも友間も呆気に取られてしまった。


 その姿というのが・・・・・・、


 「「着ぐるみっ!?」」


 その敵の姿というのが白と紫の混ざった眼鏡をかけているピンク色の兎をイメージした着ぐるみ姿なのだ。


 「 × × × × × × × ?」


 それに加えて何を言ってるのかボソボソとしていて聞き取れない。だが着ぐるみの体の部分は比較的に装着者の体型に沿って作れてるようで、体型からして女性又は細身の男性が着ているのだろか


 「シロ!、大丈夫!?」


 よく見るとチェーンソーを掴んでいるシロの手が小刻みに震えておりシロに近い実力者なのかもしれない。


 「友間さん!、少しの間失礼します!」


 ーードンッ!!


 吹き飛ばされた敵の影とシロの後ろ姿をただじっと見守っていた友間だったが、新たなに現れた敵の人影に顔を引き締めた。


 「敵は二人か」


 「こんばんは、私はユウ。こっちはダンって言うの」


 「おいユウ!、勝手に個人情報をばらすもんじゃねぇよ」


 「えー、そうかな『僕』?」


 「お前って僕の事をよく“僕”って呼ぶよな」


 「ちょっと失礼、君たち二人は敵なの?」


 「えーとね、私と『僕』は・・・・・。」


 「少し黙っててくれユウ。それとお前、僕たちが敵っていうならそういう事にしてやっても良いぜ?」


 「...?、どういう意味?」


 目の前の二人は双子なのか瓜二つと呼べるぐらいに似てる、特に共通した綺麗な銀髪が特徴的だろう。


 「敵なら構わず行きます、性質<炎>ッ!」


 全身から炎が吹き出した友間、だが身構えたと同時にユウと呼ばれた少女に右手首を信じられない力で掴まれた。


 「ごめんねぇ、ダンがこうしろって言うんだ」


 そんなユウの謝罪の後、掴まれていた手首から思いっきり外へと投げられ勢いよく天井の一部を突き破って何処かへと落ちて行ったのであった。