ダーク・ファンタジー小説

Re: スキルワールド ( No.83 )
日時: 2018/11/30 21:45
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「ああぁァアァァアアーーッ!?」


 ーードッシャアァーンッ!!


 地面は硬かった、ここは何処か人気のない公園だろうか。


 まずは被害の確認からだが、スキルのおかげで死ななかったが着陸の時の衝撃で首骨と背骨の複雑骨折に加えてユウという少女に握られた際に右手首の脱臼がみられた。


 「フー、と....。死ななかったとは言えども体力の消費が激しいから少しの間は休まない・・・・・。」


 ーードッゴォオーンッ!!


 友間の背後で砲弾でも降ってきかのように砂煙が舞い上がり思わず苦笑いをしながら首を後ろへと傾けた。


 「到着♪ 到着♪ さーて、あなたの相手は私よ」


 「それと僕もだよ。」


 あまりにも速い再開に苦笑してみせた友間はスキルがまだ発動している事を確かめると二人へと向き直りながら覚悟を決めた。


 「ハー.....フー....。最初の相手は誰ですか?、それとも二人同時ですか?」


 「あっ!、じゃあ私から! いいよね『僕』〜?」


 「分かったよユウ、でも何かあったら即座に割って入るからな?」


 死ぬ程度の覚悟は決めたつもりだ、あとは目の前の相手を殺すぐらいの勇気だけだ。


 「じゃあ私はこれを付けるね〜」


 「手袋ですか?、何か意味があるんですか?」


 ポケットから手袋を取り出したユウ、その事について一応聞いてみる事にしたが彼女にとって何か意味があるのは間違いないと直感的にだが感じた。


 「んー、強いて言うなら“リミッター”?」


 「リミッター?、じゃあ自ら自分自身に枷を付けるって事ですか?」


 「うん! そうだよ!、昔から私って力加減が苦手だから」


 少し恥ずかしそうに言った彼女だが、だとしたら自分を投げ飛ばした時の力は彼女なりの手加減だったのかもしないが、それが本当なら勝ち目はどれぐらいあるのだろうか?


 「んーしょっと、準備運動は終わりっと! あなたは何かするの?」


 「ううん、俺は毎回何もしない方なんだ。構わず来ていいよ?」


 「OK〜!、なら三割で......。」


 ーードンッ!!


 こっちへ突っ込んでくる彼女の事をとても少女とは言えなかった、上手く言い表せないが強いて言うなら“少女の姿をした怪物か何か”だ。


 「行っくよー!、『輝砕』ッ!!」


 ーーズドォォオオーンッ!!


 世界が一瞬暗くなった気がした、ミサイルとも呼べるユウの拳は吹き飛ばされている今でも腹に強く残っている。


 「ゲッホ! ゲホ!、ゲホ!」


 仰向けになった状態で腹を抱えながら蒸せ返っている友間、死んでいないだけ天に感謝なのだろうが腹から広がる痛みは生き地獄とも言える苦しみなのだ。


 「あれー?、大丈夫?」


 「げっほ! ゲホ!、大丈夫です」


 無茶をしてるのは明らかなのだが友間は無理に立ち上がると心配そうに見つめてくるユウに面を向けた。


 「このままじゃ勝てそうにないので奥の手を使いますね」


 「分かった!、じゃあ私も五割で行くよー!」


 そんなユウの返事を聞いた友間は腰を少し屈めて構えると右腕に意識を集中させた、力が少しずつ集まっていく実感と共に友間の右腕の炎も徐々に増していき友間の体の半分を覆うまでに燃え上がっていた。


 「ヤバイ、これは少し張り切り過ぎちゃったかもしれませんね」


 頭が少しぼやけてきた友間だが、目の前にいるユウに対してはこれぐらいの無茶をしなきゃ勝てる相手ではないと無意識に分かっているのだろう。


 「じゃあ行くよ、えーと・・・・。」


 「友間で良いです、ある人には黒奈って呼ばれてますけど」


 「友間!、うん分かった! 私も友間を見習って本気を出すね!」


 そのユウの発した言葉で周囲の空間が捻り曲がったような気がした。


 (これは死ぬ気でユウに叩き込まないと生き地獄なんて言葉じゃ済まなそうだな・・・・・。)


 そう心で呟いた友間はユウが動き出したのを見ると負けじと突っ込んでいき、そんな心に比例してか右腕の炎が友間を飲み込むように燃え盛りユウの体へと一直線に軌道を描いた。



 そしてその一瞬、周囲は二人を中心とした光と音で包まれたのであった。