ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.86 )
- 日時: 2018/12/05 23:10
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「友間さん、ここは一思いに伊月を殺してはどうでしょうか?」
「だからそれは却下っ!?、そんな事したら美琴さんが悲しむから!」
「なら暗殺は・・・・・・。」
「殺しとか厄介事からは一旦離れて!、良い!?、OKッ!??」
「はい、分かりました。.....ところで毒殺は・・・・。」
「よしッ!、まずは話をまとめると伊月の同行はまだ不確定な部分もあるんですけど、言える事は間違いなく何らかの事件に関与していて裏に誰かがいるって事です」
そう色々と割り切ってしまった様子の友間はその場にいる全員に説明をすると見渡しながら何か意見を求めた。
「××××××××××××?」
「えーと『ここは一旦相手の様子を伺いつつ先の事を考えていくのはどうだろうか?』って言ってる」
「ありがとユウ、それとじゃあ依頼についてはキグルミさんの言った通り様子を伺うという事で」
「そんじゃ僕とユウは何かあったら呼んでくれ、その間はのんびり過ごしとくからさ」
「えー、そんなの面白くないと思うよ『僕』?」
「こういうのに面白ろさを求めるもんじゃないぜ、求めるのは結果と効率だけで充分だ」
そうダンは言うとユウを引き連れて部屋の奥へと行ってしまい残りはキグルミさんとシロを合わせた三人となってしまった。
「友間さん、本当によろしいのですか? 今なら私が場所を炙り出して敵を殲滅して来ますが?」
「これでいいの。それとシロはユウとダンと一緒に明日はお留守番だからね?」
「何故ですか友間さんッ!?、もし友間さんに何かあったら私は頭がおかしくなりそうです!」
詰め寄ってきたシロに思わず後ろへと退いてしまった友間、なんと言っても服のサイズが合わず胸が強調されて迫力を増していたのも理由の一つだ。
「シ、シロにはもし京八が帰ってきた時のために家にいてほしいし、それと美琴さんの事も心配だから見守っててもらいたいんだ」
「分かりました....。ですが何か友間さんに起きたら即座に向かいますからね!」
「分かったよシロ、それとストラングから支給されてた携帯を渡しとくね?」
青いカバーが装着されたスマホを受け取ったシロは何か得体の知れない未知の物体を見るようだった。
「ケイタイという名前程度なら聞いた事があるのですが、この真っ平らな板の使い方は全く分かりません?」
「えーと、まずホームボタンっていうのを押して・・・・・・」
何となく予想はしていた様子の友間は、携帯を食べようとしていたシロに一から使い方を教える事にした。
- Re: スキルワールド ( No.87 )
- 日時: 2018/12/08 15:27
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
いつ寝てしまったのか朝日が顔に照りつけてきて目が覚めた。シロや他の皆はまだ寝ているのか部屋の中がやけに静かだった。
「んー、相当に疲れが溜まってるなぁ」
肩や首を回して軽いストレッチを済ませた友間はゆっくりと立ち上がり背伸びをした。
「さてと、今日はどうするかな」
そう言った友間は朝の散歩でもしようかと玄関へと向かった。
だが、ドアを開けて早々隣を見てみた友間は無言のまま90度の捻りを加えた華麗な飛び込みで部屋の中へと舞い戻って行った。
なにしろ理由は______。
(い、伊月がいたッ!?)
そう、ちょうど帰ってきた所の伊月がいたのだ。伊月の方は気づいていないとは思うがドアを開けると予想外な再開してしまい友間は混乱していた。
(や、やばい! 顔が知られてる上に一度戦ってるから会ったらマズイ!)
ドアにもたれていると外の方からドアの閉まる音が聞こえてきた。まだ安心はできないが難は去ったと言っていいはずだ。
「ハー・・・・・助かっ....うわっ!」
ーーガチャ!
突然もたれていたドアが開き後ろへと倒れてしまった友間、すると聞き覚えのある声が友間の耳に聞こえてきた。
「あれ、友間さん? 何してるんですか?」
「あ、ははは....。やあニコラ」
「おはようございます友間さん。それじゃあ上から失礼しますよ?」
そう言うと友間を飛び越えて部屋へと入って行ったニコラ、それに続いて友間も起き上がると着いてしまった服の埃を払った。
「皆さん.....というか増えてませんか?」
「その〜、ニコラがいない間に色々とあってね」
「んぅ〜友間さん、おはようございます」
「あっシロ、おはよう」
眠そうに目を掻いているシロ、昨日のスマホ講座でかなり疲れている様子だった。
「ところで、京八さんはまだ帰って来れていないんですね」
「うん....。でもニコラの方も無事で良かったよ」
「実はですね、ちょっと....ううん、すごく会えて嬉しい人と会えたですよ」
「んっ?、誰と会えたの?」
少し気になって聞いてみた、するとニコラはプレゼントでも貰ったかのように返事を返してきた。
「実はですねっ!、“おに〜ちゃん”と会えたんです!」
「えっ、お兄ちゃん?」
こんな偶然に出会えるものかと疑問に思った友間だったが、嬉しそうに話しているニコラを見て疑問を頭の隅へと置いておく事にした。
- Re: スキルワールド ( No.88 )
- 日時: 2018/12/20 07:06
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
友間は今、伊月を見失ってしまい困り果てていた。すると昨日、自分とユウが戦った公園を見かけた。
「ちょっとやり過ぎだったな」
公園の中心が焦げて炭になっており公園を訪れている人々が口々に何かを話していたのが見えた。
「少しだけ、寄ってみるかな」
少しの抵抗を感じつつも現場へと近づいてみる友間、すると後ろから写真のシャッターを切る音が聞こえてきた。そして突如として体が動かなくなり目の前で話してたはずの人達も時間が止まったかの様に硬直してしまった。
「どうも、僕はフリスト・マエストラーネという名の芸術家です。」
動けない友間を尻目に知らない男の声が聞こえ背後から伸びてきた腕が友間の肩に置かれた。続いて背後にいる相手が耳元に囁きかけてきた。
「伊月を付けている様ですね〜。ですが先程から私も付いていたんですよね」
(体!、動けェェェーーーッ!!)
必死に動こうとしているが指の一本すら動かす事はできなかった。すると男がある事を言ってきたのだった。
「スキルというのは便利だね。まあ、この力も作品の腐敗を防ぐ程度にしか需要がないがね」
(スキルか...、また厄介事になりそうだな)
「そう身構えず......と、言っても動けないから無駄なお世話かもしれないがな」
「ぐ.....ぐぐぐ....、さ..き....から...うる、さい....。」
「ほう、これはまた素晴らしい。あらがう筈のできぬ力に抵抗し打ち勝とうする少年、なんと素晴らしいのだろか!」
「だ、から......ウルサァァァーーーイッ!!」
なんとか声は出るようになった、それと体もどことなくだが少しだけ動くようになってきた。するとその様子を見ていたフリストは叫びともとれる声を挙げて歓喜した。
「いいぞッ!、いいぞォ! もっと僕にイマジネーションをクレェ〜ッ!!」
耳がキンキンと痛くなってきた友間。だが次の瞬間、背後から爆発にも似たような砂煙が舞い上がり友間の体は自由になった。
「ハァ ハァ ハァ、何が起きたの?」
「友間さん、お怪我はないですかッ!?」
「シ、シロ!? どうして此処にいるのッ!?」
「何かあったら駆けつけると友間さんと約束をしました、それに友間さんの事なら地球の裏側にいたって分かるんですからね」
「それはちょっと怖いかな〜・・・・・・。でも、ありがとねシロ」
少しシロに対して引き気味の友間、だがフリストの事を思いだし煙の舞っている場所に視線を向けた。
「では友間さんは離れて下さい、私が殺りますので・・・・・・。」
「ちょっと待ってシロ、ここは一旦離れよう......」
今更だがスキルの解けた人々から何十もの悲鳴が挙がり、恐怖する者や今起きている事を撮影しようとしている者がいた。
「分かりました、今ところは一旦退きましょう。」
だが何処からともなくシャッターを切る音が聞こえてきてシロと友間の体は動かなくなってしまった。
「折角できてきた作品のイメージがパーになってしまったじゃないか・・・・・おや!、そこの女性は良い素材になりそうではないか」
「友間...さんに......、手出しは・・・・・・させないッ!!」
強引とも呼べるシロの力でフリストのスキルらしき能力を破ると殺気じみた様子でフリストへと突っ込んでいくシロ、だがまた別の声が聞こえてきて事態は一変した。
「お願い、『お座り』......。」
その途端シロの体は何かに押し潰されたかの様に地面へとメリ込んだ。そして声の主は友間が聞き覚えのある声だった。
「どうも、友間さんにシロさん・・・・・」
(えっ! に、ニコラ!? どういう事!?)
聞こえてきたニコラの声に友間は驚きを隠せなかった・・・・・・。
- Re: スキルワールド ( No.89 )
- 日時: 2018/12/21 15:24
- 名前: 3104 (ID: fph0n3nQ)
(¨* )あのぉ…なんかファンタジーなんでここに投稿しましたー。
- Re: スキルワールド ( No.90 )
- 日時: 2018/12/21 22:53
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「やあニコラ。 ニコラのおかげで助かったよ」
「もぉー“おに〜ちゃん”!、いくら何でも一人で挑むなんて危険なんだからね」
そう言って頬を膨らませながらフリストの方へと近づいていくニコラ。その様子に友間は驚きを隠せずにいた。
(ニコラがどうして敵の方に!? しかも目の前のがお兄ちゃんなの!?)
「いい!、次からは私も付いていくからおに〜ちゃん一人で無茶はしないでよね!」
「ああ分かったよニコラ。約束するよ」
だが友間はフリストの片方の手が背後でクロスするのを見た。多分だが約束が守られる事はないだろう、と友間は思った。
(まだ体は動かないままだ。それにシロも動けない状況だから不利かもしれないな)
「あっ、それと友間さ......いえ友間。お願い『解除』」
ニコラのそんな声が聞こえてきた、すると次の瞬間には体が自由に動かせる様になったのだった。
「友間、・・・・・これは忠告であり命令です。私達及び伊月にはもう関わらないで下さい」
「どうして......、どうしてニコラが敵になるの!? 今まで仲良く皆で笑ってたはずじゃ・・・・・・」
「私にも......私なりの道理があるんです・・・・・・。ただそれを通すだけです」
「これが道理なの!、本当にこれがニコラのしたい事なのッ!?」
「・・・・・・・ここでは話の邪魔が入ってしまうので場所を移しましょうか、お願い『転移』」
一瞬の情景の揺らぎと共に目の前の風景は朽ち果てた屋敷へと変化した。友間は夢ではないのかと自身を疑ったが鼻を貫くような腐敗の臭いからすると高い割合で現実のようだ。
ーーガチャッ!
そこへ誰かが入ってきた_____。
「おいフリスト!、急に人を呼び出しておいて何の用だって・・・・・・・。」
「ど、どうもー・・・・・。」
「ぶっ殺してやるッ!! 今すぐに腸をぶち抜いてソーセージに・・・・・。」
「・・・・・お願い『黙って』」
ーーバギッ!!
伊月の体は一秒後には貫かれた壁の奥へと消えていた。そしてニコラは何事もなかった様子で淡々と話を続けたのであった。
「確かに端から見れば私の思想は悪なのだと言えます、ですが・・・・・・」
「この件に関しては手を退け、だろ?」
「フゥ、理解してくれているのであれば早急にでも・・・・・・」
だが友間は手でニコラを指して話を途中で止めさせた、すると友間本人も予想をしていなかった事をニコラに言い放った。
「理解はしてるよ、充分すぎる程にね......だけど実感はまだ全然してないよ...。」
「どういう事.....ですか?」
「なんていうか......まだニコラが敵だなんて信じられないなぁ、なんて思っちゃって・・・・・。」
その言葉を聞いてニコラ自身の顔が一瞬だけ強ばり次には友間への怒りの表情へと変わったのだった。
「ふざけないで下さいッ!!、そんな馬鹿げた理由なら私の前から消えて下さいッ!!」
「いや、でも・・・・・・。」
「お願い『友間を消し・・・・・」
ニコラは何かを言いかけたが最後までは言えなかった。その理由は気絶したニコラを抱き抱えているフリスト自身が物語っていた。
「ニコラはまだ不安定なんだ。彼女自身は忘れているだろうが心の奥底には深く刻み込まれた傷があるんだよ......。」
「ニコラをどうするんですか?、それにあなたは敵なのに俺にそんな事を言うんですか?」
「それは・・・・・・いや、それは止めておこう。君やニコラのためにもね」
「どうして俺が出てくるんですか?、ニコラは大丈夫なんですか?」
そう友間に聞かれたフリストは少しの溜め息を吐くとこんな事を言ってきた。
「今夜8時、そこで君の答えを聞かせてくれ・・・・・・。」
「ちょっと・・・ッ!、少しでも答えてくれたって・・・・・・」
「僕からの話はそれだけだ。それとニコラを取り返すのなら相当の覚悟を持って来い!」
フリストの気迫に押されて一歩引き下がってしまった友間。ただ部屋をあとにするフリストの後ろ背を見ている事しかできなかった。
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「・・・・・・・友間さん....何処まで行っちゃたんでしょうか?」
シロは自身の主人を探して沈みかけた夕方の日を浴びていた。忽然と消えてしまった主人の臭いを頼ろうにも移動した訳ではないので地面に臭いが残っているかと言われればない......そして自身への絶望と怒りがシロを押し潰そうと溢れ出してくる。
「友間さん......友間さん......。」
「あっ、えーと・・・・・・シロ...?」
「ッ!!......ゆ、友間さ〜〜〜んっ!!」
「うわっ!、ちょっとシロ!? 少し落ち着こうか!」
「嫌です!、もう会えないかと!? もう絶対に離れませんからねっ!!」
「・・・・・ごめんねシロ......必死で探してくれてたんだね...。」
そう言って抱きついてきたシロの頭を優しく撫でたあげる友間。道端という状況でなければもう少しシロに抱きつかせてあげられたのだが、シロを自身から何とか引き剥がした友間は心の中では悩んでいた。
「んっ、何かあったのですか友間さん?」
「まあ......。それはともかく早く帰ろう、シロ」
「・・・・・・そうですか。」
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「でっ、僕たち抜きで伊月を追ってて一緒にいたニコラが拐われたと?」
「悪かったよダン、君とユウを置いたままやったのは悪かったけど、“何かあったら”呼んでって言ってたから?」
「だからって何かあってから報告してくる奴がいるかよっ!!」
ダンは友間に怒号を浴びせる、友間自身は隣にいるシロの事で心配になりつつも皆への話を続けた。
「今夜の8時、屋敷に来いってフリストは言ってた・・・・・・。」
どうしてそんな風な嘘をついたのかは分からない、多分だがニコラがストラングに戻ってきた時にニコラの笑っていられる居場所を守っていたかったんだと思う......。
「そう怒らなくても良いんじゃないの『僕』?、だって奪われたのなら奪い返せば良いじゃないの?」
「あのなユウ、敵の勢力とかスキルがまだ不明なんだぞ?」
「×××××××××××××××?」
「ほら、キグルミさんだって『そんな下らない理由で仲間を見捨てれと?』って言ってるよ?」
「はー、まったく。伊月って奴の捕獲からとんだ飛び火だぜ、あーもー分かったよ全面戦争でも第三次世界大戦でもやってやるよ!」
「そう来なくちゃね『僕』♪、そうと決まればニコラを取り戻しに行くぞー! エイエイ、オー!」
「まー待て、いちょう伊月の捕獲についても頭の中に入れとけよユウ、それから皆もな?」
そんな感じで決まってしまったニコラ奪還作戦、そして約束の8時まであと47分......。