ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.88 )
- 日時: 2018/12/20 07:06
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
友間は今、伊月を見失ってしまい困り果てていた。すると昨日、自分とユウが戦った公園を見かけた。
「ちょっとやり過ぎだったな」
公園の中心が焦げて炭になっており公園を訪れている人々が口々に何かを話していたのが見えた。
「少しだけ、寄ってみるかな」
少しの抵抗を感じつつも現場へと近づいてみる友間、すると後ろから写真のシャッターを切る音が聞こえてきた。そして突如として体が動かなくなり目の前で話してたはずの人達も時間が止まったかの様に硬直してしまった。
「どうも、僕はフリスト・マエストラーネという名の芸術家です。」
動けない友間を尻目に知らない男の声が聞こえ背後から伸びてきた腕が友間の肩に置かれた。続いて背後にいる相手が耳元に囁きかけてきた。
「伊月を付けている様ですね〜。ですが先程から私も付いていたんですよね」
(体!、動けェェェーーーッ!!)
必死に動こうとしているが指の一本すら動かす事はできなかった。すると男がある事を言ってきたのだった。
「スキルというのは便利だね。まあ、この力も作品の腐敗を防ぐ程度にしか需要がないがね」
(スキルか...、また厄介事になりそうだな)
「そう身構えず......と、言っても動けないから無駄なお世話かもしれないがな」
「ぐ.....ぐぐぐ....、さ..き....から...うる、さい....。」
「ほう、これはまた素晴らしい。あらがう筈のできぬ力に抵抗し打ち勝とうする少年、なんと素晴らしいのだろか!」
「だ、から......ウルサァァァーーーイッ!!」
なんとか声は出るようになった、それと体もどことなくだが少しだけ動くようになってきた。するとその様子を見ていたフリストは叫びともとれる声を挙げて歓喜した。
「いいぞッ!、いいぞォ! もっと僕にイマジネーションをクレェ〜ッ!!」
耳がキンキンと痛くなってきた友間。だが次の瞬間、背後から爆発にも似たような砂煙が舞い上がり友間の体は自由になった。
「ハァ ハァ ハァ、何が起きたの?」
「友間さん、お怪我はないですかッ!?」
「シ、シロ!? どうして此処にいるのッ!?」
「何かあったら駆けつけると友間さんと約束をしました、それに友間さんの事なら地球の裏側にいたって分かるんですからね」
「それはちょっと怖いかな〜・・・・・・。でも、ありがとねシロ」
少しシロに対して引き気味の友間、だがフリストの事を思いだし煙の舞っている場所に視線を向けた。
「では友間さんは離れて下さい、私が殺りますので・・・・・・。」
「ちょっと待ってシロ、ここは一旦離れよう......」
今更だがスキルの解けた人々から何十もの悲鳴が挙がり、恐怖する者や今起きている事を撮影しようとしている者がいた。
「分かりました、今ところは一旦退きましょう。」
だが何処からともなくシャッターを切る音が聞こえてきてシロと友間の体は動かなくなってしまった。
「折角できてきた作品のイメージがパーになってしまったじゃないか・・・・・おや!、そこの女性は良い素材になりそうではないか」
「友間...さんに......、手出しは・・・・・・させないッ!!」
強引とも呼べるシロの力でフリストのスキルらしき能力を破ると殺気じみた様子でフリストへと突っ込んでいくシロ、だがまた別の声が聞こえてきて事態は一変した。
「お願い、『お座り』......。」
その途端シロの体は何かに押し潰されたかの様に地面へとメリ込んだ。そして声の主は友間が聞き覚えのある声だった。
「どうも、友間さんにシロさん・・・・・」
(えっ! に、ニコラ!? どういう事!?)
聞こえてきたニコラの声に友間は驚きを隠せなかった・・・・・・。