ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.91 )
- 日時: 2018/12/28 23:16
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「準備は良いか?、僕とユウが屋敷の玄関前で暴れたりして気を引き付けとくからお前らはその間に屋敷内へ侵入しとけよ?」
「分かったよダン、残りの3人で窓から侵入してニコラを奪い返してくるよ」
「よーし! それじゃあ『僕』!、張り切って行こうね!!」
「ちょっと落ち着けユウ、物事にはタイミングってもの・・・・・・ちょっ!待て!ユウ!!、うわっ!!」
「そ、それじゃあ二人とも頑張ってね......。」
何かを言い残しながら遠ざかっていくダンを苦笑い気味に見送ってあげた友間。そろそろ作戦開始といった所だろうか?
「じゃあ、何か物事があったら作戦開・・・・・・。」
ーードッガァアァアアアアンッ!!!
「・・・・・・んー、あの二人は何をしたのかなー?」
あまりの音に振り返ってしまった友間、しかし作戦の事を思いだし残ったシロとキグルミと一緒に近くにあった窓から侵入した。
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「君の答えは充分に理解したよ、友間くん・・・・・・。」
屋敷の玄関から響いてくる音を聞いてフリストはそう言った。軽い笑いが込み上げてきて思わず笑い挙げてしまった。
「フハハハハハッ!! ヒロインを助けるヒーローか、これも作品に取り入れよう!......と、少し前までなら考えてたかもしれんが今の僕は本気だよ、友間くん」
フリストは待っていた。もし目の前に友間が現れたならニコラの前に二度と来れないようにするつもりなのだった。
「ふふふ、ニコラ。お兄ちゃん今日は名作を作れるような気がするよ。」
そう言って不敵に笑うフリスト、そしてフリストの周辺からは何か妙な物音が聞こえきたのだった。
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「いいシロ?、絶対に誰かを殺すのは禁止だからね? それと半殺しも禁止」
「むー、友間さんがそう言うのなら分かりました......。」
「それからキグルミさんも死なない程度に手加減とかお願いしますからね?」
「××××××××!」
「えーと...、それじゃあOKって意味で受け取っときます。」
少し心配した様子の友間は、ニコラを助けようと早まる気持ちを抑えつつ薄暗い廊下を慎重に進んでいった
- Re: スキルワールド ( No.92 )
- 日時: 2019/01/01 00:14
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
廊下を歩いていた友間一行は上の階からの騒がしい物音に足を止めていた、音は少ししたら止まったのだがどうやら屋敷には大勢の人がいるらしかった。
「友間さん、気をつけて下さい。それから私から離れない様に......。」
「うん、分かったシロ・・・・・。」
ーーバギ.....ッッ..!!
シロの後ろに回った直後、天井が不気味な音と立てて雪崩のように迫ってきたのだ。この時に初めてシロが居てくれた事を心の底から感謝の気持ちが込み上げてきた。
「邪魔だな.........。」
シロは迫ってくる天井を睨みつけると片手で全重量を受け止めて友間の安否を確認した。そして友間の無事が分かると安堵の溜め息を吐いて虫でも払うかのように瓦礫を押し退けたのだった。
「ありが...とう、シロ.....。」
「無事で本当に良かったです、友間さん」
「××××××××××××?」
「えーと、はい大丈夫ですキグルミさん」
勘にも似たような感じで返事をキグルミへと返した友間は瓦礫の中で何かが動いているのが分かった。それは徐々に近づいて来ており数までは分からないがこちらより多いのは確かだろう。
「友間さん。」
「うん、分かってる。性質・・・・・」
「いえ、友間さんは先に行って下さい。ここは私が引き受けます」
「どうしたのシロ?、いつものシロと違うよ?」
「いえ、いつも通りのシロです友間さん。ただ少し暴れるので近くにいるのは危険かと」
「分かった! じゃあ気をつけ・・・・・いや、シロには無駄なお世話かな」
「気をつけて下さい友間さん。それとキグルミ!、友間さんの事を任せたぞ!」
「×××××××××!、××××××!」
「ああ、そうか。なら安心だ」
「何て言ってたのキグルミさんは?」
「何でもありません友間さん、さあ先へ行って下さい」
「うん、分かっ・・・・・うわっ....!...。」
最初の一歩を踏み出そうとする前にシロに体を掴まれ持ち上げられてしまった。疑問を思いながら半分パニックという状態でシロを見てみると可愛く微笑みながらこんな事を言うのだった。
「ニコラの臭いは上の階からします、なのでご覚悟をお願い致しますね♪」
「えっ?、ちょっと待っ....!」
だが友間が何かを言い終える前にシロによって高らかに屋敷の上の階へと投げ出されてしまい軽い悲鳴と共に友間の姿は消えていったのだった。
- Re: スキルワールド ( No.93 )
- 日時: 2019/01/01 12:22
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「せ、性質<炎>ッ!!」
シロによって低空飛行のスリリングな旅をさせられていた友間は、向かう先に壁が現れてスキルを発動させた。しかし友間の意思に反して体が炎から鉄へと上書きされてしまった。
「あれ?、何でだろ?」
ーーガッシャァアァン!!
疑問をよそに壁に衝突した友間だったが、さすが鉄と言うべきか壁は友間に痛みを与えるどころか壁自体が砕けてしまい友間はその中へと入っていく。
「あー怖かった!、次こんな場面があったら優しく投げてもらう様にシロに頼まなきゃ.....」
「ビックリした!、何でお前が飛んで来るんだよ?」
「へっ?、誰?」
と言って、振り向いてみるとそこに居たのは驚いた表情の伊月だった。だがそんな表情も束の間に険しい表情に変わると伊月は戦闘態勢へ移り瞬時に友間を取り抑えた。
「ちょっと待って!、別に君に危害を加えに来たわけじゃない!・・・・・・あっ、でも元々の依頼内容って伊月の目を覚まさせるみたいな内容だった様な......。」
「なら! やっぱりお前も俺にとっての敵だ!」
ーーバリィン!
すると丁度飛んできたところのキグルミが二人の横を過ぎ去っていき窓を突き破って視界から消えていったのだった。今起きた事に少しの間の沈黙が生じたが気を取り戻して話を続ける事にした。
「え...と、友間」
「あっ、ごめん伊月! どうしたの!?」
「そのな、お前は敵で・・・・・・って!、俺とお前は友達か何かかよ!、お前は俺の敵だ!」
「ああ、そうだね」
すると友間は背中を反らして取り抑えていた伊月に後頭部からの頭突きを喰らわして態勢を崩させると床へと押し退け友間は次に備えて身構えた。
「さすがに鉄だと少し痛ぇな。まあ鉄だろうが何だろうが強引にねじ伏せるだけだけどな」
「こちちも無理にでも貴方を倒して美琴さんの所へ連れて行くだけです。」
「そうか、なら死ぬんだな!」
ーードゴンッ!
パワータイプの伊月の拳は重いという言葉で表せる代物ではなかった。例えてみればジャッキーに殴られた感じで鉄に変化している体でも持ち堪えるだけで精一杯という心境だった。
「ま...だ、だッ!」
渾身の右ストレートが伊月の右頬にメリ込んだ、一瞬よろめいた様子だったが決定的な一打とは行かず伊月のアッパーが迫ってきた。
「まだマダァッ!!」
そう叫んだ友間は寸前で頭を傾けて攻撃を避けると伊月のアッパーを頬辺りで感じながら全力の膝蹴りを伊月の腹に叩き込んで吹き飛ばした。
「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ.....疲れた....。」
最初に受けた伊月から攻撃が今になって回ってきたらしく、友間は力尽きたように床へと崩れ落ちる。しかし伊月の方はそうとはいかなかった。
「絶対! 負けられねぇんだよ!、俺は姉さんのためにも負けられねぇんだよっ!」
「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ、何の事...?..」
「お前には関係ねぇ、さあ続きをやるぜ」
「伊月!、何してるの!!」
「えっ、姉さん...、何で・・・・・・」
二人の戦いに割って入るような形で現れた美琴、彼女自身も驚いている様だが伊月の方が更に驚いている様子だった。
「これは......、これはどういう事なのっ!?」