ダーク・ファンタジー小説
- Re: スキルワールド ( No.93 )
- 日時: 2019/01/01 12:22
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「せ、性質<炎>ッ!!」
シロによって低空飛行のスリリングな旅をさせられていた友間は、向かう先に壁が現れてスキルを発動させた。しかし友間の意思に反して体が炎から鉄へと上書きされてしまった。
「あれ?、何でだろ?」
ーーガッシャァアァン!!
疑問をよそに壁に衝突した友間だったが、さすが鉄と言うべきか壁は友間に痛みを与えるどころか壁自体が砕けてしまい友間はその中へと入っていく。
「あー怖かった!、次こんな場面があったら優しく投げてもらう様にシロに頼まなきゃ.....」
「ビックリした!、何でお前が飛んで来るんだよ?」
「へっ?、誰?」
と言って、振り向いてみるとそこに居たのは驚いた表情の伊月だった。だがそんな表情も束の間に険しい表情に変わると伊月は戦闘態勢へ移り瞬時に友間を取り抑えた。
「ちょっと待って!、別に君に危害を加えに来たわけじゃない!・・・・・・あっ、でも元々の依頼内容って伊月の目を覚まさせるみたいな内容だった様な......。」
「なら! やっぱりお前も俺にとっての敵だ!」
ーーバリィン!
すると丁度飛んできたところのキグルミが二人の横を過ぎ去っていき窓を突き破って視界から消えていったのだった。今起きた事に少しの間の沈黙が生じたが気を取り戻して話を続ける事にした。
「え...と、友間」
「あっ、ごめん伊月! どうしたの!?」
「そのな、お前は敵で・・・・・・って!、俺とお前は友達か何かかよ!、お前は俺の敵だ!」
「ああ、そうだね」
すると友間は背中を反らして取り抑えていた伊月に後頭部からの頭突きを喰らわして態勢を崩させると床へと押し退け友間は次に備えて身構えた。
「さすがに鉄だと少し痛ぇな。まあ鉄だろうが何だろうが強引にねじ伏せるだけだけどな」
「こちちも無理にでも貴方を倒して美琴さんの所へ連れて行くだけです。」
「そうか、なら死ぬんだな!」
ーードゴンッ!
パワータイプの伊月の拳は重いという言葉で表せる代物ではなかった。例えてみればジャッキーに殴られた感じで鉄に変化している体でも持ち堪えるだけで精一杯という心境だった。
「ま...だ、だッ!」
渾身の右ストレートが伊月の右頬にメリ込んだ、一瞬よろめいた様子だったが決定的な一打とは行かず伊月のアッパーが迫ってきた。
「まだマダァッ!!」
そう叫んだ友間は寸前で頭を傾けて攻撃を避けると伊月のアッパーを頬辺りで感じながら全力の膝蹴りを伊月の腹に叩き込んで吹き飛ばした。
「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ.....疲れた....。」
最初に受けた伊月から攻撃が今になって回ってきたらしく、友間は力尽きたように床へと崩れ落ちる。しかし伊月の方はそうとはいかなかった。
「絶対! 負けられねぇんだよ!、俺は姉さんのためにも負けられねぇんだよっ!」
「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ、何の事...?..」
「お前には関係ねぇ、さあ続きをやるぜ」
「伊月!、何してるの!!」
「えっ、姉さん...、何で・・・・・・」
二人の戦いに割って入るような形で現れた美琴、彼女自身も驚いている様だが伊月の方が更に驚いている様子だった。
「これは......、これはどういう事なのっ!?」