ダーク・ファンタジー小説

序 ( No.2 )
日時: 2018/04/02 12:40
名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)

今は2021年。東京オリンピックから1年が経った。
「......ふぅ」
とあるコンビニにて、男はため息をつく。外は静かに雪が街に降り注いでいて、とてもロマンチックだ。
「もしオレがコンビニ店員じゃなかったら、今ごろリア充の仲間として、わいわいしてたのかなぁ」
ま、別にいいけどなー、そう言って在庫の整理を始めようとしたとき、自動ドアの開く音に続き、ドタドタと少女と男が入ってきた。
少女はセキセイインコの被り物をした中学生、男は科学者の服装をしている。
「おいっ、俺のパソコンを返せっ!」
「うっせークソババァ!足が無駄に早いんだよ!」
「何億回も言うが、俺は女じゃない、男だ!まだ歳もとってないぞ!」
「25歳じゃん!あと髪の毛長くしてんじゃねぇか!」
「髪の毛が長い=女という常識を捨てた方がいいぞ。とにかくパソコン返せ!」
「や、だ、ねー!」
ギャーワー元気がいい奴らだ。
「おいおい、めいに海奈、ここはコンビニだ。走り回るとこじゃねえぞ」
面倒くさそうに男が2人を呼び止める。すると、少女──めいが男にパソコンを差し出してきた。
「......何これ」
「圭介もアホだなぁ。パソコンに決まってんだろ!あの海奈に取られないようにしろよ」
コンビニ店員──圭介はあ然としてそれを見る。すると、パソコンは科学者──海奈にひったくられてしまった。
「あー......」
「何ガッカリしてるんだ。パソコンじゃなくてめいを捕まえてくれよ」
そう言うと、海奈はパソコンを上着の下のポケットにしまった。
「......別に暴れてもいいけど、デパートの買い物に付き合えよ」
海奈とめいを見て、圭介は大きなあくびをした。