ダーク・ファンタジー小説

序 ( No.4 )
日時: 2018/04/04 13:40
名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)

デパートの中は、もうすぐクリスマスや大晦日、正月などのイベントがあるためか、派手な装飾が施されている。
「うへー、しゃれてるぅ」
めいが目を丸くする。クリスマスツリーにかけられたベルがキラリと輝く。
「クリスマスイブは俺のコンビニのもので祝えよ」
圭介が鼻で笑う。それを耳にして、「クリスマスを祝う暇はない」と海奈が素っ気なく返してきた。トホホ、とうなだれる圭介。
「......ま、とにかく買い物すっぞ!」
気を取り直し、食品コーナーへ走り出そうとしためいのパーカーの襟を、圭介が引っ張った。
「何すんだよクソ!」
怒りながら後ろを振り返るめい。圭介は
「あれ面白そうじゃね?行ってみよーぜ」
と言い、天井に吊り下げられてある看板に目をやった。
そこには
『千葉の将軍・天狩義明展示会』
と書かれてある。
「はぁ?んなやつ、教科書に載ってなかったし知らねぇよ。行く意味あっか?」
めいが眉をひそめる。しかし
「知らないなら尚更行かなきゃいけないなー。いつかテストで出るぞー」
と海奈が呟くと、「......分かりましたー、行きますー」とやる気なく賛同した。

看板の下をくぐり抜けると、目の前に虚しく一本の刀が置いてあった。
「うわ何これ、ダッセェ〜」
めいが言う。「そんな事言ったらだめだろ」と圭介。
「海奈は興味あるか?」
「まあ、調べても損はないだろうな」
圭介の質問に海奈は即答すると、「しかしなんか物足りないなー。なんか違う」と刀を調べ始めた。