PR
ダーク・ファンタジー小説
- 序 ( No.6 )
- 日時: 2018/04/07 13:31
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
どうやら、2人は諦めたらしい。5分ぐらい鞘を抜こうと一心不乱に取り組んでいたが、のそのそと刀を元の位置へ戻し、海奈の所へと帰ってきた。
「......抜けると本気で思ってたのか?」
「そりゃもちろん。夢を粉々にされた気分だよ」
アホだ。
海奈は頭をパチンと叩く。
「んだよこの野郎!私らの夢が壊れた事を可哀想だな〜とか思わねぇのかよ!」
「そんな事を悲しんでたら、いつでもどこでもしょんぼりしてる」
「キーーーッ!!」
めいが、今にも後ろに背負ったリュックサックの中にある雑誌を、海奈めがけて投げつけようとしている。
「まあとにかく、買い物するんだろ?とっとと済ませるぞ」
海奈はそう吐き捨てると、先に食品コーナーへ歩いていってしまった。
「んだよアイツ。......圭介もアイツ叩きに行くぞ」
「めいの意見に賛成だ」
二人も、海奈の後を追う。
まだ11月の半ばだというのに、辺りは『クリスマス大感謝セール!』などのチラシが壁に貼ってある。
「イベントまだ先だろ」
「あ、海奈いた」
めいが人差し指を一本突き出す。海奈はベンチに寄りかかり、自分達を待っていたらしい。
「んだよあのクソババァ」
「男だ〜」
めいの呟きが聞こえたのか、海奈がダルそうに言い返す。
「まあ、待っててくれてありがとう。
......とにかく行こう」
圭介を先頭に一行は自動ドアを潜り抜ける。
すると、辺りは一気に緑色の草原に変わり果てた。
「......え?」
全員があっけらかんに気を取られている。
圭介の頬を、冷たい汗が流れた。
「ここ......どこですか?」
【序 了】
PR