ダーク・ファンタジー小説
- 1.開戦準備 ( No.3 )
- 日時: 2018/04/06 10:05
- 名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)
「先生っ、何をするんですか〜?」
生徒が先生達に問いかける。しかし先生は
「さぁ......」
と知らない顔をするだけだ。
「あー、帰りてぇ」
「面倒なんだけど」
辺りはざわめいてる。
すると、1年生の群れから「こんな休日にわざわざ呼びやがって......」と、低い声がした。金髪で金属バットを手にしている少女だ。
「ちょっ、七海、何だその物騒なのは!?」
中年の先生が少女、甘木七海のバットを指差す。
「何だろうなぁ?」
七海はヘヘ、と下衆笑いを浮かべる。
「いい加減にしろっ!!」
「今から始まる行事ってモンを教えてくれたら止まってやるよ〜!」
「テメェ!!」
先生と七海の乱闘が始まる。バギャッと音がしては、地味に血飛沫が飛び散る。
「......あ、ああああっ」
その姿を前にして、白衣を着た少年、米野瑠威が目を丸くする。ハァハァと過呼吸が始まる。
何とかしないと─────!
勇気を出して前に歩こうとしたが、「おいおい」と同じクラスの男子に肩を掴まれた。
「な、何......?」
思わず後ろを振り向く。
「メンヘラ少年、どこ行こうとしてんだよ」
男子らがニヤニヤ笑っている。
「まさか、七海を助けようとしてんのか?」
「ハハッ、こんなんで過呼吸しちゃう瑠威君にできるわけありませーん。ギャハハ」
ぞわりとした。
何してんだ、自分。
無力な自分に、助けられる訳がないじゃないか。
「......っ」
結局、何もできずに降参してしまった。
「何よ、あの男子」
「あいつの事馬鹿にすんなら自分達が行けっつーの」
周りから女子の小話が聞こえる。それが自分に向けられたものなのか、男子達に言っている事なのか、瑠威には分からなかった。
「さあさあ、皆さんお静かに」
校長の声が聞こえる。すかさず、皆は自分の居場所に戻った。七海もバットを振り回す手を止め、元の位置へ帰る。
「......えー、先生に暴力をふるった人もいるみたいですが、止めましょうね〜そんな事」
止めるかよ、と七海が舌打ちする。
「それではこれより第32回─────」
校長がニヤリと笑ったように見えた。
「高校大戦を、始めます」
「高校、大戦......?」
武の頭は、混乱した。