ダーク・ファンタジー小説

1.開戦準備 ( No.4 )
日時: 2018/04/09 15:54
名前: 篠木蛍 (ID: 6SeEpuIV)

辺りは当然、大騒ぎとなる。
「ダセェネーミングだなぁ」
「つまんなそーう」
「家に帰ってテレビ見たーい」
「戦うの?」
男子も女子も不良も学級委員も、頭の回転が追いついていないらしい。もちろん、武や玲香、瑠威に七海もだ。
「ハイハイ静かに。......それでは今からルール説明、永井先生お願いしまーす」
校長が教頭の永井浩太を呼ぶ。永井は何も言わずに前へ出てきて一礼した。
「そんじゃー、高校大戦を始めまーす。
まず、どのクラスの人でもいいんでー、男女2人ずつの4人組作りなさーい。ハイ始めー」
永井がパン、と手を叩く。その音に続き、全学年が散らばった。どんどん組が作られていく。
「あ、え、えっと......」
瑠威がそのままおどおどする。すると、
「やるぞ」
と女子の声がした。意外にも低い声だ。
「え、ああ......」
そう返して頭を下げようとした瑠威の身体がカチンと固まった。
なんと、相手はさっき先生と戦っていた七海だったのだ。こんな不良といたら、自分が足手纏いになるに決まっている......。
「じ、自分はいい。七海さんは他の男子とー────」
「あたしはあんたとやるって言ってるんだよ!」
ヒィ、と瑠威が必死で謝る。それを見て、男子がクスクスと笑う。
「す、済まない......」
「謝る奴は素直な奴、って母さんが言ってた。だから許す」
あと2人探すぞと吐き捨て、七海は瑠威の手を握る。思わず、「んあぁっ」と声を出してしまった。
そんな事も気にせず、七海は人の群れを掻き分けていく。

「あと2人か」
「そうらしいよなぁ」
一方、玲香と武も2人組のままだった。1組の全員は、もう4人組を作ってしまっている。
「どーするよ?」
「私に言われても......」
武の問答に玲香が困っていると、不意に「アイツと組むぞ」と声が聞こえた。
声のした方向を向くと、七海が瑠威を連れてこっちを指差している。
「げぇ!アイツら?」
玲香がしかめっ面になった。「仕方ねぇよ」と武が言うと、彼女らに向かって歩いていく。

七海達の方へ行くと、七海がよろしく、とだけ言ってその場に座った。
「ん?ああ心配すんな。ムカつく奴しか殴らねえから」
警戒丸出しの玲香を見て、警戒心を破こうとする七海。玲香は少し気を緩めたのか、ゆっくりと座りこんだ。
「じ、自分はできるだけ足手纏いにならないように頑張るよ。よ、よろしく......」
瑠威が怯えながら例をした。武もよろしくな、とニッコリ笑う。
すると、
「ハイ次ー」
と永井の声がした。