ダーク・ファンタジー小説
- 先輩、志渡 理来 ( No.1 )
- 日時: 2018/04/29 18:40
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
この世界は2018年、だがこの世界には異能力が存在する。
佐桜もその一人だ。
「始めまして佐桜くん、私はこの支部の支部長の蘇芳だ。よろしく」
「佐桜 音です。よろしくお願いします支部長」
彼女がそう言うと蘇芳は「蘇芳で結構」と言った。
「任務では最低二人で行動してもらう。ということで君の初めてのペアとなるのは
彼だ。すでに控えているんだろう?入ってこい」
扉が開き一人の青年が入って来た。少し癖のついた黒い短髪に緑の瞳をしていた。
佐桜よりも少し年上のようだ。
「紹介しよう。彼は志渡 理来(しと りく)、君より二年ほど前に入って来たんだ。
理来くん、彼女は今日から新しく入って来た佐桜 音くんだ。彼女のこと
頼んだよ」
「了解、で?どうすればいいんだ?」
「そうだな…この辺のことを彼女に教えたりしてあげてくれ。他は君に任せるよ」
理来は頷き、佐桜を連れ部屋を出た。
部屋を出て廊下を歩いていた。
「改めて自己紹介しておく。志渡 理来、よろしく」
「えっと佐桜 音です。理来さん、宜しくお願いしますね」
理来は少し佐桜と目線を合わせるもすぐに目線を逸らした。
「(理来さん、もしかして後輩とか女の人が苦手なのかな?)」
- 早速任務 ( No.2 )
- 日時: 2018/04/29 19:10
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
突然、佐桜と理来は蘇芳に呼び出された。
「は、はぁ…人探し、ですか?」
佐桜は首を傾げた。
「うん、まだ彼はどこにも所属していない。彼の名前は茅野 蒼、東京都・千代田区の
××町にいるということだ。よろしく頼むよ」
「了解」
佐桜は頭を捻っていた。
「これも仕事なのかって思ってるのかな?」
蘇芳は微笑みながらそう言った。図星だ。
「私たちの仕事は異能力者の犯罪取り締まりなどが主だけど未登録の能力者を
ここに連れてきたり、強力な異能力者を世界各地から探し出しスカウトしたりするのも
仕事なんだ。じゃあ二人とも、頼んだよ」
◆
目的地到着。
「とりあえず写真でも見せて聞き込みでもするか」
理来は懐から彼の写真を取り出した。
「すみません、この辺でこの写真の人っていませんか?」
そう聞くと町の人たちは集まってくる。そのうちの一人の女性が知っていると声にした。
「あたし知ってるよ!この子の家とは御近所でね、よく野菜とかをあげたりしてるんだ」
「近所!?あの良ければ案内を…」
「もちろん、アナスタシアの人たちを手助けしないほどあたしは腐っちゃいないからね!
ついてきな、すぐ近くだからね」
女の人の後に二人はついて行って、その家に到着した。
白い壁にオレンジ色の屋根だ。
「ここか…どうもありがとうございました」
「いいのいいの、あたしらなんて戦えないからさ。こっちが感謝したいくらいさ」
そう言って彼女は元の道に戻っていった。
- 登場、ヴァルヴァラとヴェルナデッタ ( No.3 )
- 日時: 2018/04/29 20:32
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
丁度ドアが開き写真と同じ青い瞳をした青年、茅野 蒼が出てきた。
「えっと、どちら様?それに…」
彼は二人の服装を見た。佐桜は白いブラウスにネイビーのベストとハーフパンツ。
胸ポケットに金色のコサージュがついている。
理来も彼女よりはラフだがネイビーが使われた服を着ていて金色のコサージュを
つけていた。
「あの率直なんですけどアナスタシアに入りませんか?私もつい最近、スカウトされて」
佐桜は右手を頭の後ろに回し照れながら笑った。
「今すぐでなくても構わない。それに本人の意見は尊重するつもりだ」
「…もう少し考えさせてくれ。明日の夕方までには意見をまとめとく」
「了解です。ではまた来「待ってくれ!」
蒼は二人を引き留めた。
「もう答えは出た。アンタらの仲間になればこの街の人たちも守れるんだよな?」
「もっちろん!」
「なら…俺はみんなを守りたい!」
蒼の意思は固い、二人はそう見抜いた。
「では私たちと行きましょう!私は佐桜 音です。こっちは志渡 理来さん」
そのまま穏便に任務が終わることはなかった。
「こんなところでアナスタシアさんに出会えるとは光栄だな」
出会い頭にいかつそうな男は理来に右ストレートを放った。それも顔面を潰す気で。
理来は寸前で後ろに仰け反り攻撃を躱す。
「お前らの中ではそれが挨拶なのか?」
「クソッ、エルバ!何してやがんだ!」
男とは反対側の場所に紫色のヴェルナデッタのシンボルが右腕にある青年が
立っていた。
「まさか、イヤまさかも何もないか。テメェ、ヴェルナデッタか」
「うん、そうだよ。僕はヴェルナデッタのエルバ、今はこっち側だから」
- 三人の能力 ( No.4 )
- 日時: 2018/04/30 12:52
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「じゃあ僕もやるとしますかね」
「佐桜、茅野、お前ら戦えそうか?」
二人は頷いた。
「ならヴェルナデッタ頼む」
「はい!…ん!?私たちが?」
「協力といえど弱点は必ずある。どうにかできないわけじゃない、すぐ俺も
こっちに加勢するから」
「佐桜、今は…」
茅野に言われ佐桜は少し納得いかずも頷いた。
「じゃあ早く決着付けないとな」
いかつい男は懐からナイフを取り出し斬りかかってきた。
理来は素早く懐に潜り込み膝蹴りを入れ、男の影を踏みつけ、少し離れた。
「な、何だこれ!?」
地面に倒れると同時に男は動けなくなった。
「影、それにも人の魂の一部があるともされてるんだ」
理来はそれだけ言い残し男に背を向け佐桜たちのほうへ向かった。
◆
「ふぅ…危なかったよ、さっきのは」
「え?」
佐桜の能力は具現化、炎を具現化しエルバを攻撃したにも関わらず
彼は火傷一つすら追っていなかった。
「ついでだから言っておくよ。僕に火や電気、物理は効かない」
「…!佐桜、頼みたいことがある」
茅野は佐桜にあることを頼んだ。
「了解」
「つまり…お前には火も電気も物理攻撃もできないか」
茅野の能力。
「…下がるか」
炎が放たれてエルバの肌を少し焦がした。
間違いない、茅野 蒼の能力は…。
「反転…か。そして、。佐桜 音の能力は具現化、志渡 理来の能力は影」
- ヴァルヴァラ・ヴェルナデッタについて ( No.5 )
- 日時: 2018/04/30 16:33
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「お帰り、話は聞いたよ。ヴァルヴァラとヴェルナデッタと遭遇、交戦したんだっけね。
二人とも無事みたいで良かった」
蘇芳はそう言った。
「あ、あのぉ…私、その辺もあまり詳しく知らないんですが」
佐桜は申し訳なさそうに横やりを入れた。
「あっとすまない。じゃあまずはそこから説明しておくよ。ヴァルヴァラは本部を持たず
構成員が世界各地にいるんだ。そのため分かっていないことが多いが、裏で彼らを
統括している人物がいることと、目的が分かっている」
「…俺たちのような異能力者を政府の支配から解放し、世界を統べること」
佐桜は頷いた。
「彼らの活動は人身売買やここのような支部の攻撃、本部の破壊、そして君たち
アナスタシア隊員への襲撃など。そして構成員に共通しているのは異能力によって
不当な差別を受けた者や私たちにより大切な人を殺された者とかだ。彼らのボスの
下には数人の幹部がいる。それもヴァルヴァラの構成員自体が知らないってのが
多いんだ」
「なるほど…顔も名前も分からないってことですか?」
蘇芳は佐桜に指を鳴らし「正解!」といった。
「じゃあ次はヴェルナデッタだ。彼らは組織ではない」
「へ?」
「傭兵ってことだ。個人主義者が多い」
「強力な異能力を持っていながらどこにも属していないのが彼らだ。適応される条件は
私たちアナスタシアかヴァルヴァラから一度以上、勧誘され断ったことがあること」
「じゃあ、あのエルバって言う人も?」
理来は隣で頷いた。
「私たちもヴァルヴァラも彼らを危険視している。一時的に戦力になったり情報を
くれたりするんだ」
- 自室、隣室 ( No.6 )
- 日時: 2018/04/30 17:14
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
長い話を聞き終わり、佐桜は案内された自室へやってきた。
ベッドも準備され、ホテルの一室のようだった。ここには家具を持ち込んでも少し
飾りつけをしても良いらしい。
「あ、そういえば隣の部屋の人に挨拶しに行こうかな?誰だろう、女の人かな?
男の人かな?((コンコン」
ドアを叩く音がし、佐桜はドアを慎重に開いた。
そこには佐桜より少し背の高い黒髪の青年が立っていた。頬の辺りに斬られた古傷が
あるのが特徴的だった。
「へ?佐桜 音、だよな?」
「え?そうだけど…」
二人の間に微妙な空気が流れる。
「あのどうしたんですか?」
「いやな?蘇芳さんにお前の隣部屋に新人が入ったから頼んだ!とか言われてさ。てっきり
男かと思ってたんでな」
彼はどうやら勘違いをしてたらしい。全く紛らわしい。
「あ、言い忘れてた!俺は瀬野 怜央だ、よろしくな!さっきもちらっと言ったけど
隣が俺の部屋だからうるさくなったりしてたらごめんな」
「いいえ気にしないでください。私は佐桜 音です、本来なら私から先に挨拶するんですけどね」
「…むぅ、なんか堅苦しいな。もっとリラックスしろよ、同い年だからな」
「へ?」
へ?の理由は初対面の彼がなぜ自分の年齢を知っているのかということに対してだ。
「蘇芳さんから資料を渡されたんだぜ。17歳って分かってさ」
「そ、そうなんだ…でもお隣としてもよろしくね怜央」
「っ、お、おう。じ、じゃあな!」
そう言って彼はドアを閉めた。
瀬野 怜央、能力は身体強化。