ダーク・ファンタジー小説

Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.2 )
日時: 2018/07/12 23:20
名前: かめのて (ID: zKALihrN)

【1日目〜7:30〜】



とうに使われていないであろう蜘蛛の巣だらけになった体育館の中に、まひるを始めとした南高校三年二組の面々がそろっていた。
皆古びたパイプ椅子に座らされており、各々周りを見回したり、呆然としたり、友人を起こしているものもいた。

「何ここ…」
「気付いたか、七瀬」

まひるがポツリと呟くように言うと、左隣に座らされていた、同じく混乱した様子の涼介が話しかけてきた。

「戸沢君…。ここ、どこなの?」
「…俺にも分からない。多分、みんなもそうだろう」

それを聞いて、冷静になろうと、まひるは今までの状況を脳内で整理する。

「確か私達は校外学習に行ったんだよね。高校最後の思い出づくりっていう名目で」
「ああ。んでバスん中で眠っちまって気付いたらこうなった」
「…」

やっぱり、訳が分からない。

「まひるちゃん!大丈夫だった!?」

まひるの右隣の席に座っていた少女、天満がひょいっと顔をこっちに覗かせた。
明るい茶色のお下げ髪がひょこっと揺れる。

「う、うん…」
「ならよかった…」
そういって天満が微笑む。いつも通りの笑みに、まひるが安心した時だった。



ピーンポーンパーンポーン


「「「「「!?」」」」」



『はいはい、みなさんセイシュクに』

天井のスピーカーから無機質な音声が響く。
声は男のようにも女のようにも、子供のようにも大人のようにも聞こえた。

「誰だお前は!!」

町でも不良と名高い正治が叫んだ。

『ワタクシのことはヒミツです。仮に『ゲームマスター』とでも呼べばいいでしょう』
「ゲームマスター、ってことは、私達、何かするの…?」

麻衣がおっとりと、不安げに尋ねる。

『そうです。これからあなたたちには5日間、生き残りをかけた『サバイバルゲーム』をしてもらいます』

驚く暇も与えず、声は告げる。

『ルールはカンタン。5日間生き残ればいいんです。勝手に建物の外へ出てはいけませんよ』
「…もし出たら、どうなるんだよ?」

美々が口を開く。

『皆さん、両手に腕輪があるのはご存じですね』

言われて、まひるが腕を見ると、ゾッとするほど赤い腕輪が両方の手首にはまっていた。

「なに、これ…?」
「くそっ!取れねえぞ!!」

正治が声を上げる。

『建物の外へ出た場合、その腕輪から刃物が出て、違反者の手首を切り取ります。ここには十分な治療器具なんてないので、カクジツに大量出血で死にますね』
「死…っ!?」

周りにざわめきが起きる。

『みなさんお静かに。このゲームをすぐに終わらせる方法があります。

それはみなさんの中にワタクシに協力するもの、『ウラギリモノ』が紛れていますので、そいつを殺せばいいのです』
「ころ…す……?」

瞬間、まひるの脳内に今までの日々が甦った。
クラスメイト達と過ごした、楽しかった日々が。

…みんなの中に、こんなことに協力する人が…?


『拒否はできませんよ?こっちには人質がいますので』

その声に、まひるの意識は戻される。

「人質…って…」
「先生たちの事か?」

天満の呟きに被せるように、涼介が言う。

『そのとーり。あ、ちなみに食料は自由に食べていいですよ。どの教室にも水や電気、ガスは通っているので安心してください。ですのでみなさん、がんばってくださいねー』


ピンポンパンポン

「ふざけやがって!!」

正治が拳を強く握る。

「私達、どうすれば、いいの…」

麻衣がいつもと同じくゆっくりと呟く。

「とにかく作戦を組もう。みんな、中心に集まって」

混乱する中、クラス委員である信一の言葉で作戦会議が始まった。