ダーク・ファンタジー小説

Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.5 )
日時: 2018/07/22 02:36
名前: かめのて (ID: zKALihrN)

【1日目〜7:55〜】



「…」
「…」

五班、麻衣と正治は現在二階の廊下を歩いていた。
力関係で決められたとはいえ、普段、何か用事があるとき以外は喋らないので、特に話題も思い付かない。

そのうち、沈黙に耐えかねて正治が口を開いた。


「…なあ、小川」
「……なあに?」

相変わらず朗らかに、麻衣は歩きながら聞き返す。

「お前はさ、本気で俺達がサバイバルゲームを強いられていると思うか?」

正治がそういうと、麻衣は立ち止り顎の下に手を当てて、自分より数十センチ高い正治の顔を見上げた。

「私は…、本気にはしてない、かな?誰か、先生が仕組んだ肝試し、みたいな?」

彼女はそういってニッコリと微笑む。

「じゃあ誰が仕組んだっていうんだ?」
「葉山先生なら、ありえるかも」

その言葉に、正治の脳内に養護教諭の葉山の顔が浮かぶ。

いつも着ているのに汚れひとつない白衣、白髪混じりの髪、仮病の生徒を睨み付ける厳しい目付き。

「…そーいや、旦那さんがミステリー作家とか言ってたな」
「うん。だから、そうかなーって」
「……にしては安直すぎるだろ。そもそもサバイバルとミステリーは別もんだろ」
「そっかー。…ねえ、笠原くん、ちょっと、気になったんだけどね」

急に真面目な顔になった麻衣に戸惑いつつ、正治は聞く。

「なんだ?」
「…デスゲーム、って言うのかな、こういうの。それにしては、条件が、緩すぎない?」
「……まあ、確かにな」

普通デスゲームというのは参加者の大半が死ぬようにできているはずだ。
だが、この場合は死ぬのは『ウラギリモノ』一人だけだし、5日間校舎からでようと思わなければ『ウラギリモノ』を殺す必要もない。

「なんか、妙にふわっとしてるよな」
「うんうん。…もしかしたら、その食料とかって言うのが、校舎の外にしか、なかったりして…」
「…それは結構きびしーな」

麻衣の言葉に、正治はふっと微笑む。




今まで話したことはなかったが、案外面白いやつじゃねーか。




そう思った時、二人の後ろの方からカチャリ、と物音がした。

「…な、に…?」
「誰かいんのか!?」

麻衣を庇うような形で立ち塞ぐ。

















そうして、最初の犠牲者は出た。