ダーク・ファンタジー小説

新しい世界へ ( No.2 )
日時: 2018/12/26 14:22
名前: ダークネス (ID: 7sIm71nw)

 温かい・・・ここは、どこだろう?
 どこまでも続く真っ白な世界。あたたかい世界。
 そこに私は、ふわふわと浮かんでいた。
 そこがどこかも、私が何故ここにいるのかも分からない。けれど、ただひとつハッキリしているのことは、私が先程、死んだということだ。となるとここは・・・死後の世界だろうか?

「そのとーり!!」

「っ!!」

 突然、頭の中に謎の声が響いてきた。
 それは男とも女とも取れる不思議な声で、年寄りとも若い人ともとれる奇妙な声だった。
 あたりを見渡すも、誰もいない。ただただ声が聞こえるだけだ。しかし、姿が見えないそれに恐怖を覚えることは無かった。むしろ安心感さえあったのだ。
 そのことを疑問に思いながら、私はその不思議な声に耳を傾ける。
 まず初めに伝えられたのは、この世界のことだった。
 どうやらここは現世と常世(あの世のことらしい)の狭間の世界らしく、訳ありの魂達が集まる場所なんだとか。つまり、今ここにいる私も、その訳ありの魂のひとつという事だ。
 その次に教えられたのは、私の事だった。
 私は、声の主の気まぐれによって作られた存在らしい。正確に言うと少し違うらしいが、そこは教えてもらえなかった。声の主は「罪滅ぼしだ」と言っていたけれど・・・なんのことだか、私にはさっぱり分からなかった。
 そして最後に教えられたのは、私のこれからのことだった。
 私はこれから、別の世界で人生をやり直すことになるらしい。神様補正とかなんとか言われたけれど、そこはよく分からなかった。ただ理解出来たのは、私の『最後の願い』が聞き入れてもらえるという事だった。
 私を愛してくれる人に会いたい・・・そんなわがままな願いが、本当に叶えてもらえるのだ。なんて幸せなんだろう。

「それじゃあ、準備は出来たかな?」

 全てを説明し終えたらしい声の主は、私にそう問いかけた。
 準備・・・うん。大丈夫。覚悟は出来た。

「それじゃあ、今度こそ幸せにおなり。君はこれからの人生で、砂糖吐くんじゃないかってレベルで愛してもらえるから。だから、ちゃんと前を向いて歩くんだよ」

 私がその言葉に頷くと、背中を軽く押される。
 そして体とともに、意識も下へ下へと落ちてゆく。





「頑張ってね。ーーちゃん」





 意識が完全におちきる直前。声の主が何かを言った気がするが・・・私にはわからなかった。