ダーク・ファンタジー小説
- Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.1 )
- 日時: 2018/12/30 20:21
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
黒いショートヘアの少女ツバキの一太刀で魔物が倒れる。
焦げ茶の髪をした青年レオが彼女に声を掛けた。
レオ「ツバキ、無事か?」
ツバキ「うん、一応…」
ツバキの指には橙色のリングが嵌めてある。七色のリングの一つ
【寛容のリング】だ。
レオ「そろそろ次の島にでも行こうぜ、夜になる前にな」
ツバキ「うん」
???「君たち、冒険家か?」
後ろ髪を一つに結んだ男が二人にそう声を掛けた。肩に剣を
背負っている。
???「俺はエル、よろしく」
レオ「俺はレオ、こっちは友人のツバキだ」
ツバキが頭を下げた。エルはレオたちよりも経験を積んでいる
冒険家だという。
エル「そうか君たち冒険家を目指してるんだな。きっと良い
冒険家になれるさ」
ツバキ「そういってもらえると嬉しいです」
ツバキが少し微笑みながらそう言った。エルはツバキのリングに
目を映す。
エル「君のそれは寛容のリングか?」
ツバキ「え?あ、はい。親から譲り受けたものです」
エル「そうか大事にしろよ、そのリング」
レオ「そうだエルさんも一緒に来ないか?近くの島に移動しようと
思ってたんだ」
エル「お言葉に甘えさせてもらうよ。俺はリングを探していてね」
レオ「そうなのか?」
エル「あぁといっても何かしようってワケじゃない」
- Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.2 )
- 日時: 2018/12/30 22:41
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
エル「七色のリングの名前はそれぞれ七つの美徳に由来している。
橙は寛容、青は誠実、緑色は慈愛、赤は勇気、黄色は忍耐、藍色は
節制、紫は純潔って感じだ」
エルは丁寧にそう説明した。
ツバキ「エルさん物知りですね」
エル「そういうのじゃないさ。結構調べたよ」
突然、大きな揺れが三人を襲った。バランスを崩し全員が
地面に手を付き上を見上げる。黒い空気を纏ったドラゴンが
三人に咆えた。
エル「ドラゴン!?何故こんなところに…」
レオ「オイ何か様子が変だぞ!」
ツバキ「なんか…私たち狙われてる!!?」
エル「レオ、ツバキ、構えるんだ!」
レオとエルは剣を構え、ツバキは弓を構える。ドラゴンが咆え、
三人に突進する。真っ直ぐ直進してくるドラゴンの左目にツバキが
放った弓矢が刺さる。
次にレオとエル、二人の剣がドラゴンの背中に紅い線を残した。
エル「少し動きが鈍くなったな。畳み掛けるぞ!」
エルが先陣を切ってドラゴンに斬りかかる。その後にレオが続き
ツバキが弓で援護する。ドラゴンが横にゆっくり倒れた。
レオ「やった、のか…」
エル「ッ!レオ、ツバキ、逃げろ!!走れ!!」
黒い瘴気がエルの体を呑み込んでいく。二人が彼の名を叫ぶ。
最後の最後、エルは戻らず、振り返らず、逃げろと叫んで
意識を失った。近くの洞窟まで来るとツバキのリングが光り始めた。
その光は近くの祭壇を指している。リングを祭壇に翳すと島が
ゆっくりと動き始めた。
レオ「オイオイ、これって…」
ツバキ「うん、間違いない…」
『大空島』あちこちを飛び回る島だ。