ダーク・ファンタジー小説

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.8 )
日時: 2018/12/31 14:43
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

ミルフィ「ウェルデン王国ですね」
レオ「っぽいな…」
ミルフィ「そこなら何のリングがあるか私、知っていますよ」

レオとツバキは驚いた。
ミルフィ「恐らく忍耐のリングだと思います」
ツバキ「よしじゃあ早速!」

****
国に到着するも違和感があった。人がいない。
レオ「人がいないな…何かあったのか?」
ツバキ「で、でも、もしかすると少し進めばいるかもしれないし
進んでみようよ」
ツバキとレオは数十分、道を歩き続けてみたが誰もいない。

だが近くから白いフードを目深に被った人物が走って来るのが
見えた。
レオ「ち、ちょっと待ってくれ!」
???「ッ!!?す、すみません…ごめんなさい…」
レオ「あ、いや別に責めるつもりは…」
ツバキ「?あのその傷…」
服の隙間から見える傷がツバキの目に留まった。
???「ご、ごめんなさい…俺にできることなら何でもやるから…」
彼の声は震えていた。
ツバキ「貴方は何て言うの?私はツバキ、こっちはレオ」
???「…ゼロ…」
レオ「ゼロか。この国には人がいないみたいなんだが…」
ゼロ「…数日前からこうなった。何があったか知らない…」
ツバキ「そっか…なら他にここに残ってる人は?その人からも
話を聞きたいんだけど」
ゼロ「多分、許してくれる…」

ゼロの後を二人は追った。辿り着いたのは一軒の小屋だった。
???「ゼロ!よかった…」
白髪の女性が笑顔でそう言った。

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.9 )
日時: 2018/12/31 15:13
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

???「ツバキにレオね。私はイリアナよろしくね」
ツバキ「急に押しかけてごめんなさい」
イリアナ「私は元々宮殿に住んでいたのだけどね。突然一人の
男に襲われて、騎士に逃がされたの」

イリアナは天井を見上げた。
イリアナ「…ゼロはね奴隷なのよ。村人を全員殺害し捕まって
奴隷だった。彼は過去のことを重く責任感を感じてるの」
レオ「村人を全員殺害…」
イリアナ「彼ってちょっと前までは自傷行為が酷かったのよね。
少し目を離すとリストカットしてたりして、今も時々何かに
失敗するとしちゃうんだけど」
ツバキ「じゃあゼロの手にあった傷って全部…」
イリアナ「私の両親のせいで彼は人形のようになってしまった…」

ゼロ「…あの…」

上に羽織っていた上着が消え両腕の古傷が露わになっている。
無駄な贅肉のない鍛えられた体をしている。

イリアナ「ゼロ、彼らをここまで案内してくれてありがとう。
途中、魔物に襲われたりしてない?」
ゼロ「大丈夫…次は何をすればいいんですか?」
イリアナ「ゆっくり休んでいて」
ゼロ「…」

黙ってゼロはまた二階に行ってしまった。
イリアナ「貴方たちはリングを探しているのよね。もしかして
これのことかしら」
イリアナが見せたのは黄色に光る忍耐のリングだ。

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.10 )
日時: 2018/12/31 15:41
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

優しいイリアナの父である国王は怒りを買った奴隷にぶつけていた。
その奴隷の少年の背中には【66】という数字が刻まれていた。
イリアナは今も覚えている、彼に向けて殺意を向け暴力などを
振るっていた父を。
今でもゼロの背中には66の数字は刻まれたままだ。

城では血塗れの男が口周りを舐め遺体があった場所を見た。
???「あ〜あ食事中にあの騎士、逃げやがった」
黒いロングコートを着た男、彼は大罪の七王【暴食王】ゼアル。
彼は国王を殺し喰らったのだ。

****
イリアナ「私の父もまだ城にいるかもしれない…大丈夫かしら…」
ツバキ「なら助けに行きますか?」

ツバキの言葉に驚いた。
イリアナ「でも貴方たちの目的は達成したでしょう。危ないから」
レオ「まぁまぁリングをくれたんだ。その分の礼として国を
戻すのを手伝うぜ」
ゼロ「…」
イリアナ「ゼロまで…なら私も決心しなくちゃ」

イリアナは立ち上がり外に出た。ここから城までそこまで距離は
ない。
イリアナ「じゃあ…行きましょう」

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.11 )
日時: 2018/12/31 16:23
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

ゼロ「…あれ…」

ゼロが指差した方向から肩を抑えながら一人の男が走って来た。
イリアナ「フィスト!」
フィスト「イリアナ様!」
レオ「もしかしてイリアナさんを逃がした騎士ってその…
フィスト?さん」
イリアナ「何があったの?」
フィスト「申し訳ございません、国王が死んでしまい…城に
暴食王と名乗る男が」

レオとツバキは思い出す。大罪の七王の存在を。
レオ「急ごう!」

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.12 )
日時: 2018/12/31 19:23
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

城の正門。
ツバキ「あのホントに大丈夫?フィストさん」
フィスト「問題ないさツバキちゃん、全員少し下がりな。
門を吹っ飛ばして宣戦布告してやる!」

フィストは腰にある剣を抜き横に一閃する。それだけで門が
吹き飛んだ。
レオ「オイあれ!あそこ!」

レオが剣の切っ先を向けてそう叫んだ。赤い目を光らせている
男がゆっくり歩いてくる。
レオ「この感じ…」
???「えぇ大罪の七王ね」
レオ「うわ!びっくりした…ってなんだ?白猫?」
???「えぇメイで良いわよ。それより来たわよ」
フィスト「暴食王ゼアル…王を殺し喰らった狂人だ…!」
イリアナがショックでフラフラと倒れかける。そんな彼女を
ゼロが抱きかかえた。
ゼロ「アイツ…」
ゼアル「てっきりびびって逃げたのかと思った。それに…運が
良いなぁリングが三つも揃ってる…」
ツバキがギュッとリングを握る。
ツバキ「これは…渡せない」
フィスト「さっきはしてやられたが今は応援がいるんだ。そんなに
腹が減ってんなら…俺たちの恨みでも食ってろ豚野郎」
ゼアル「別に食後の運動として戦っても良いけどさぁ…」

ゼアルが不気味な笑みを浮かべる。城が大きく揺れる。
レオ「全員!伏せろ!!!」
そこで視界が真っ暗になる。一体、何が起こったのか何をされたのか
分からない。だが最後にゼアルは囁いた。

王は楽しみにしてるってさ、と…。

Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.13 )
日時: 2018/12/31 19:54
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

イリアナ「ゼロ、ゼロ!」

ゼロはゆっくり目を開いた。ポロポロと涙を流すイリアナ、
胸を撫でおろしほっとしているツバキとレオ、フィスト、メイ。

ゼロ「無事で、よかった…」
イリアナ「えぇ、城はこれからどうにかすればいいし…」
ツバキが声を上げ全員が驚く。黄色の忍耐のリングが消えていた
レオ「気にするなよツバキ、これから頑張ろうぜ!」
ツバキ「う、うん…ありがとう!」
フィスト「頑張って取り返せばいいさ」
ゼロ「…その…」

ゼロは目を泳がせながら小さな声でそう言った。イリアナは
彼の心情を察した。
イリアナ「ゼロ、頑張って。私は止めることはしないわ、貴方の
人生は貴方のモノでしょう?私は父みたいに貴方を苦しめたりしない」
ゼロ「…!」
イリアナ「貴方はもう自由なのよ過去はもういいの、これからを
楽しまなきゃね」
ゼロが少し微笑む。
レオ「ゼロ!早く来るなら来いよ」
ゼロは行く前に振り向き恥ずかしそうに呟く。
ゼロ「その…あ、りがとう…ございました」
イリアナ「いいえ、楽しんできてゼロ」
ゼロ「ッ、うん」

フィスト「…さてと国民で協力して城を立て直さないといけませんね」
イリアナ「そうね…頑張って元の国に戻しましょう!」