ダーク・ファンタジー小説

Re: 白黒と虹色 ( No.1 )
日時: 2019/01/07 19:56
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

赤髪の少年エゼルと黒髪の少女アイセ、そして不思議な力を持った少女イリスと彼女の
連れている猫メル、彼らがいるのは空を飛ぶ島【天空島】エゼルたちは見てしまったのだ。
一番信頼していた強き剣士ガイラスが闇に呑まれるところを…だが見ていることしか
出来なかった。

ガイラス『大丈夫だって…俺は、くたばら、ねぇ!!』
イリス「(ガイラスさんを助け出す方法は…虹のリングを集めること…そのリングを
司っていた守護者の転生者…なのかも…)」
イリスはアイセのことを横目で見た。消えかけた記憶に微かに残る男の顔に似ている
アイセは列記とした女だ。

メル「イリス、ほら一旦降りるわよ。リングのある場所についたから」
イリス「うん、行こう」


Re: 白黒と虹色 ( No.2 )
日時: 2019/01/07 21:07
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

エルフの住まう島、そこに降り立ったエゼルたちは島の中を歩き始める。
イリス「…」
アイセ「イリスちゃん、どうしたの?」
エゼル「…イリス?少し休憩したほうが」

イリスは首を横に振った。少し笑い大丈夫と言った。
イリス「私はガイラスさんのことをあまり知らないの…」
アイセ「ガイラスさんは剣と槍を使っててさ、強い人だよ。そして博識で寛容な人だった…
まぁでも、だからこそあの時ガイラスさんは闇に呑まれたとき笑ってたんだと思う」
アイセはイリスの背中を摩る。森を抜けると小さな村に辿り着いた。
イリスの断片的な記憶、同じようにアイセも少しだけ記憶がある。
挟まれた小さな島にたった一人でいる青年の姿が自分に重なったような…。アイセは耳を
立てた。—何かの唸り声が聞こえる…これはまさか!!
エゼル「アイセ!!後ろだ」
アイセ「おっとっとぉ〜!!」
アイセは素早く腰にある剣を抜いて魔獣の攻撃を防いだ。
エゼル「はぁぁぁぁぁ!!!」
エゼルが魔獣を切り裂いた。魔獣の巨体が横に倒れる。その後、何度も襲われかけたが
どうにか退け森を脱出した。
メル「ホントにエルフばかりね」
アイセ「まぁエルフの島だから、ね」
???「久し振りでございます否初めまして…虹の守護者殿…」

白いフードを目深に被った人物がアイセの前でそう挨拶する。
???「おや?ルナエラ君と彼女は何か関係があるのか?」
イリス「貴方たちは?」
エルフの男が先に名乗った。
???「僕はエレメル」
???「俺はルナエラ…」
メル「ねぇルナエラはどうしてフードをそんな深くかぶってるのよ?」
ルナエラ「俺はダンピーラ、人間と吸血鬼の混血」
エレメル「彼は少し事情があってね」


Re: 白黒と虹色 ( No.3 )
日時: 2019/01/08 17:07
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

イリス「ルナエラさんはさっきアイセのことを虹の守護者と…」
エレメルが営業するギルドの本部内に入らせてもらい話をしていた。フードを取った
ルナエラは紫の瞳に暗い赤髪が特徴的な美青年だ。
ルナエラ「…前世と同じ顔、同じ姿で転生し記憶もある程度持っている。アイセ様があの
方の転生者だということもイリス様が白の姫だということも…」
アイセ「ルナエラさん、私のことは様付けしなくていいよ。過去は過去、今は今だからね」
ルナエラ「…なるべく善処する」
???「エレメルが言ってた冒険家志望って貴方たちね」

エルフ耳の女性が扉を開けて入って来た。
???「私はリエーラそれとこれを渡しておくわね」
リエーラはイリス、アイセ、エゼルそしてルナエラにバッジを渡した。
それを見てルナエラは首を傾げる。
ルナエラ「何故、これを俺に」
エレメル「自分もなってみたいと言ってたじゃないか、ルナエラ」
イリス「あの私たち虹のリングを探しているんです。何か心当たりはありませんか?」
エレメルはリエーラと顔を合わせ話し始める。
ルナエラ「虹のリング…虹の守護者様が作り出したモノ、本当の力を引き出せるのは
守護者様の転生体であるアイセさんしかいない…それを忘れないで欲しい」
エレメル「この島に伝わる宝がこの先の祭壇に封印されているんだ。もしかすると
そこにあるモノが君たちの探す虹のリングかもしれないけど」
メル「…けど?」
リエーラ「その辺りの魔獣は最近、凶暴で…行くのなら気を付けて」

リエーラはそう注意を促した。その注意を聞きイリスたちは言われた場所へ向かうことに
する。残ったルナエラは彼女たちの背中を見ているだけだ。
エレメル「いいのか?ルナエラ、君がずっと待っていた人物だろう?」
ルナエラ「…」
リエーラ「決心ができるまでゆっくりしていってルナエラ」
ルナエラ「…ありがとう、ございます」

Re: 白黒と虹色 ( No.4 )
日時: 2019/01/08 18:41
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

エゼル「ここも結構木々があるな」
イリス「この辺りの自然は豊かだから」
辺りを見回すと木々の青々とした葉の間から眩い日の光が射しこんでいる。
まだ夜には程遠い時間だ。
アイセ「今のところ魔獣たちもまだ襲ってきてないね」
メル「そうね、でも気を付けないと」
互いに注意しながら道を進んでいく。だが彼らの耳に獣の唸り声が聞こえた。
そしてズシン、ズシン…と足音が近寄ってくる。
メル「き、来たわね!!」
アイセは二丁拳銃を、エゼルは剣を、イリスは詠唱をする準備をする。
そして三人が背中を合わせ同時に地面を蹴り上げた。虚空を切り裂く弾丸と光の如く
敵を貫く剣が何体もの魔獣を倒して行く。イリスの魔法が彼女に飛びかかた魔獣を
祓い倒して行く。
エゼル「少なくなったな、急ごう!」

一同は駆け足で森を抜けていく。
あっという間に夜、彼らは少し開け湖のある場所で野宿することにした。
アイセ「天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも」
メル「何それ?」
イリス「アイセの故郷シキサキ島の言葉?」
アイセ「うん…百人一首って言ってね、昔の人たちのなんていうか…感想文、的な?」
エゼル「どういう意味なんだ?」
アイセ「簡単に言えば、あの月は故郷で見たのと同じ月なんだなって意味かな。
じゃあ寝ようか、それで明日ちゃんとリングを手に入れないと」
メル「そうね、休息第一!お休み〜!!」

全員で眠りについた。

Re: 白黒と虹色 ( No.5 )
日時: 2019/01/08 19:52
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

朝が来て再び一同は進んでいく。
イリス「あ、見て!」
イリスが指差したところには暖かい橙の光をほんのり放つ何かがある。
それを見てメルが先に走っていくと彼女が「にゃにゃー!!」と声を上げて涙目で
こちらに戻って来た。エゼルはそっと手を前に出す。
エゼル「…壁か?」
アイセ「マジですか。見えない壁、心の目で見ろと!?」
イリスが何かに気が付き振り向くと一人の男がゆっくりと歩み寄ってくる。
その男はルナエラだった。
メル「ル、ルナエラ!?」
イリス「ルナエラさん、ここには見えない防御壁があるんです、そのまま行っても」

イリスの言葉も聞かずルナエラは手でその壁に触れる。すると透明な壁が紫のオーラに
変わった。禍々しく気味の悪い瘴気だ。
イリス「ルナエラさんダメです!それに触れていては…」
エゼル「…ルナエラ」
紫のオーラがルナエラに吸い込まれていく。少しして紫のオーラは跡形も無く消えていた。
エゼル「ありがとな」
エゼルたちは輝くモノに近寄る。光を放っていたのはリングだった。
ルナエラ「…寛容のリング海よりも空よりも広き心を具現化したモノだと前世の
守護者様は語っていた…」
寛容のリングは差し出したアイセの手に納まった。

???「風の噂で聞いた虹の守護者と白の姫とは…貴方たちですか」

Re: 白黒と虹色 ( No.6 )
日時: 2019/01/08 21:00
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

???「そっちのダンピーラは覚えてるだろ?」
ルナエラ「…魔人キュレス」

キュレスと呼ばれた男は不気味な笑みを浮かべていた。
キュレス「さて…そのリングを守り切れるか?」
彼が指を鳴らすと数十体の魔獣が姿を現す。
—餌は私たちってことか。
アイセたちが身構える。すると何処からか弓矢が飛んできて一体の魔獣を射抜いた。
エレメル「僕の好きな場所で勝手な真似はよしてくれ…首を吹っ飛ばされたくなければ
大人しくこの魔獣たちを連れて出ていけ」
エレメルの眼は本気だ。キュレスの顔からさっきまでの笑みが消えた。
キュレス「部外者が…」
キュレスが姿を消すと同時に魔獣たちが飛びかかってくる。
全員で協力しながらその数を削っていく。

アイセ「皆、伏せて!!」
ドドドドドドッ!!というライフル射撃の音が辺りに轟く。メルの「にゃにゃにゃー!!!」
という声も聞こえない。音が止むと全員が目を見開く。
エレメル「…凄いことになってるな」
アイセ「もうこれしかなかった。さぁ帰ろ、私たちは他にも行かないといけないからさ。
そうだ!エレメルさん、ルナエラ、一緒に来ない?仲間は多くてなんぼだよ」
エレメル「…そうだな、僕としてもキュレスと言う男のことに少しカチンと来ていてね、
一緒にいかせてもらうよ」
ルナエラ「俺も…出来ることなら、なんでも」
エゼル「じゃあ一旦街に戻ろう」

そして全員で街に戻りエレメルとルナエラはリエーラにアイセたちと共に行くことを話した。
リエーラ「そう、私は止めたりしないわ。いつでもここに帰ってきて」