ダーク・ファンタジー小説
- Re: 格安ワケあり物件「ダンジェハウス」 ( No.2 )
- 日時: 2019/01/25 12:56
- 名前: 名取 (ID: u/mfVk0T)
「リベルテ!いいもんが出来たぞ!お?お前さん誰だ?」
無精髭のタバコを口にくわえた三十代後半ぐらいの白衣を着たオジサンは白衣の内側はハワイシャツに短パンでガニ股で階段を降りてきて俺を見る。
「あ、初めまして!今日から使用人として働かせていただく森本浩平です。よろしくお願いします」
「おう、そうか…ああ!そうか!オマエか!なるほどな!」
何か思い出してくれたようで先程までの疑いの眼差しを無くし愉しそうに肩を組んでくる。今度は俺が疑いの眼差しを向ける番だった。
「オレァ、サルってんだ、そっちに居るのがヘレス。どうせ自己紹介してねんだろォ?」
「……。」
無精髭のオジサンは金髪色黒イケメンを指差して紹介してくれた。からかうように笑いながらヘレスさんと話をしようとしてるが、ヘレスさんは聞こえてないのか返事をせず牛乳パックを冷蔵庫へ戻す。
「紹介ありがとうございます、あの俺の部屋ってどこですかね?」
キャリーバッグに視線をやって聞いてみれば思い出したように「ああ」と言ってサルさんの隣の部屋を指差した。またお辞儀をして部屋に荷物を運ぼうとすると、急に真剣な顔付きになったサルさんは荷物を置いたら降りてくるように言った。
言われた通り荷物を置いたら一階に降りて、ソファに座るように促された為サルさんと向き合う形で座った。いつの間にかへレスさんは居なくてダイニングには俺とサルさんだけだ。サルさんは口を開いた。
「ここに住むからにはルールってもんが二つあってな?」
「…はい」
「一つは、ここの住人の個人情報を他者に話さない。他言無用だ」
「…はい」
「もう一つは、ここでは偽名を使ってもらう」
「偽名、ですか?」
「そうだ。ここの名前は何となっていたか見たか?」
「はい。名取となっていました」
「ああ。だから苗字は全員名取、名前はあだ名をつけて生活する」
「え、ええー!?」
「それがこの住人としての掟だ、出来ないなら即刻出て行って」
「ああー!分かりました、分かりました!守ります」
「よし。なら今日からオマエさんはラビートだ」
「ラビート…」
「おう、よろしくな、ラビート」
「はい!よろしくお願いします!サルさん」
右手を伸ばしてきたサルさんと握手をして元気よく言えば「サルでいいよバカタレ」と頭を軽く叩かれた。痛くはなかったけど驚いて予想できない行動に少し怖いなと思った。
あと二人の住人をサルが教えてくれた。
一人はリベルテ、妙な眼鏡をかけているが絶対に取るな。とのこと。
もう一人はルキ、昼間は部屋から出ないが夜ならウロウロしてるはずだから、挨拶は夜にしろ。とのこと。
今日は、家事は済ませてあるからゆっくり休んでいいと言われ、お言葉に甘えることにした。
俺は夜までダイニングで待つことにした。