ダーク・ファンタジー小説
- Re: 格安ワケあり物件「ダンジェハウス」 ( No.3 )
- 日時: 2019/01/25 19:50
- 名前: 名取 (ID: u/mfVk0T)
第二話「リベルテとルキ」
夕方になって夕陽が沈みかけてきた頃、ガチャと玄関の扉が開く音が聞こえ、部屋から同時にヘレスさんが出て来てリビングダイニングの扉が開くのを待った。
扉が開いて姿を表したのはスーツ姿に茶髪の前髪は後ろで結び、耳からしたは鎖骨下まである巻き髪が首の横に垂れてる。白い肌に目を完全に隠した丸眼鏡と言うよりサングラスをかけた人。どこを探せばそのサングラスは見つかるのかと思うほど可笑しな妙なサングラスに、この人がリベルテさんなんだと一発でわかってしまった。
唖然としている俺に気付かず二人は話を始めた。
「おかえり、お疲れだな」
「いや、いつもよりはマシだ」
持っていた鞄をヘレスさんに渡し、片手でネクタイを緩めるリベルテさんはとても色気が出ていて少しドキッとする。
「と言って、また徹夜でもしたんじゃないか?」
「たった二徹、どうってことない」
「少しは寝た方がいい」
二徹と聞いて驚く俺と気にしていないリベルテさん、心配そうに声をかけるへレスさん。
ヘレスさんがリベルテさんの頬に手を添える。一瞬見つめあった二人に疑問符が浮かぶ。すぐにリベルテさんは頬にある手を払いのける。
「着替えてくる」
「ああ」
ヘレスさんとは反対側の部屋へ戻ったリベルテさんを見送ったヘレスさんは意外にも平気そうにしていてリベルテさんが出てくるのを待っている。
何だか居づらい雰囲気に部屋へ戻ろうとソファを立つとリベルテさんが部屋を出てきた。
タイミング悪い!と思うのとリベルテさん着替え早い!と思うのに肩を上げて驚く。
リベルテさんはヘレスさんから自分の鞄を「すまん」と言って受け取り、俺を見る。いつから気づいていたのかは知らないが俺に近づいてきて、目前に立つと語るように話した。
「俺はリベルテだ。今日からお前が使用人になると聞かされている、ここの掟はサルから聞いているか?」
「あ、はい」
「フッ、ここのヤツらは変わり者だらけだからな、何かあったらいつでも相談に乗ってやるぞ」
親切でいい人そうだけど少し上から目線な態度のリベルテさん。兄貴肌なのかな?両手を細い腰に当てて自慢げに話す様子を見るとここの住人を気に入っていることがわかる。
ここに来たばかりの俺はまだ何も知らない、故に相談に乗ってくれるのは有り難いとお礼を言えばそれに被せるようにヘレスさんが横槍を入れてくる。
「それは助かります!よろしくおねが」
「リベルテはドSだからな」
「ふえ?」
「何が言いたいんだ?ヘレス」
「ククッ、べつに。相談なら俺が乗ってもいい」
「お前に相談しても解決しないだろう」
なんだか楽しげで親しげの二人は親友なのだろうと思えた。あと、先程サルさんが居た時は無口と言っていいほど話さなかったヘレスさんはリベルテさんの前だとこんなにも話すことに驚いた。