ダーク・ファンタジー小説

Re: 超能力者と宇宙人と生贄 ( No.3 )
日時: 2019/02/22 18:53
名前: サバ (ID: OiQJLdzt)

第二話「宇宙人の少年」

建物が密集してできた町、そこは医学の先進国でありつつ、民衆の貧富の差が激しいたところでもあった。
ある医師には妻がいるが子どもに恵まれなかった。そこで養子だった男の子を育てることにした。少年がその夫婦の家へ来て二年ほどで二人の間に待ちに待った子供が出来た。女の子だ。大変喜んだ夫婦は少年のやりたい事に否定をしなくなった。少年が幸福を持ってくると思っていたのだ。

そんな幸せな時間を過ごしていた少年が町に出た時、食事も与えられず人の物を盗み裸足で掛け歩く人を見て、初めて貧富の差を感じた。それと同時に自分は世の中の事を知らな過ぎではないかと思った。

それから少年は貧しい子達の生活を知るために一緒に住んで一緒に遊んで、自分の家に帰るのはその子供たちと解散してから。身分を知られないように帰った。それから五年、子供たちとも随分と仲良くなった。母が亡くなり父は少年のすることに反対するようになった。少年は父にバレぬように外出するようになった。

ある日、貧しい子達とボールを蹴って遊んでいると一人が言った。
「そういえば北の方に魔女が住み始めたらしいぜ」
「魔女?」
俺が首を傾げると皆はそれぞれに「なんだそれ化け物か?」「人喰い女か?」等と口をつくが話を始めた少年は首を横に振る。
「さあ、よくわかんねえけど。人が手出ししちゃならねえんだと」
「ふーん」
結局は噂に過ぎないのかという程度の話に聞こえて皆興味を無くす。
「化け物だったらあぶねえしなー」
「攻撃されたら刺せばいいんだよ!」
「刺さるのかよ…化け物なら動きも早いだろ」
「さ、刺さんないなら掠るだけでも効果はあるぜ!」
「掠ったら血の色も俺達とは違うかもな!」
「違ったら施術出来ねえし、結局は死んじまうのかもな」
たわいもない話し合いをただただ聞いていたが、血液の異常があるなら輸血は出来ない。殺しはしたくないから俺たちの住む東側の区域には、その魔女が来ないことを願った。

そんなある日、少年は身分がバレてしまった。貧しい子達は仲良くしていたのが嘘かのように少年を目の敵にし「貧しい俺たちを見て楽しかったんだろう」と野次を飛ばして少年を殴ったり蹴ったりと集団で暴行を加えていた。一人が少年の胸ぐらを掴んでガラス窓に背中を押し付ければガラスは脆くぶつかった箇所からすぐに亀裂が走りあっという間に割れた。
破片が飛び散り少年の頬や腕などを掠る。ガラスの破片で切れた頬から血が出た。それを見た子供たちは顔を青ざめた。

少年から出た血の色は赤ではなく深い青まさに藍色の血だったのだ。