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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死に行く街に朝は来ない【短編集】 ( No.4 )
- 日時: 2019/04/19 09:20
- 名前: 戌亥 (ID: 3OoKbooX)
『あの光景』は、両親との美しい記憶をいとも容易く恐怖に塗り替えた
ゾンビ達がお家に入ってきた時、母は私をクローゼットに押し込み、『何があってもそこから出るな』と言い残し扉を閉めた
扉の隙間から見えたのははらわたを引きずり出される父と喉笛を食い破られる母の姿だった
怖くて、怖くてぎゅうっと強く目を閉じる。けれど、頭に浮かんでくるのはあのおぞましい両親の死に様
私も死ぬのだろう。とクローゼットの中で自分の体を抱きしめていると外から銃声が聞こえる
そっと、外を覗くと、ゾンビは皆床に伏しており、一人の男性が銃を持ち歩いていた
あの人が、助けてくれたんだ
助けてくれたのなら、恩返ししなくちゃ
その日、私は初めて母の言いつけを破った
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