ダーク・ファンタジー小説

Re: 異能力+近未来 ( No.5 )
日時: 2019/04/06 10:11
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

染岡優真は成神真実に銃と警棒を渡した。
染岡「異能対策刑事課に特別に渡される武器だ。普通の銃や警棒とは違う。シックザールと言う
名称だ。銃を向けた相手の犯罪件数などをチェックして形が変わる」
警棒も銃も特に変わった感じはない。
春日「係長、貴方と話したいという人物が来ています」
染岡「俺か…?」
春日咲那は頷いた。ドアの前から少し彼女は離れた。染岡優真とは初対面の人物が来たようだ。
染岡「通してくれ」
ドアが開いた。後ろ髪が長い白髪で青紫の瞳をしている。その姿は以前から確認されている
犯人にそっくりだった。
大神「早乙女秀介…!!」
大神千夜が真っ先にシックザールを抜いた。銃口を彼に向けるがセーフティが掛かり変形する
ことは無かった。何も反応しない。
早乙女「確かに俺は早乙女だけど秀介は俺の弟だ。俺は早乙女秀介の兄、早乙女彩斗。
以後よろしく頼むよ大神千夜」
大神「俺の名前を…」
早乙女「君だけじゃない。綾辻幸仁、春日咲那、染岡優真そして成神真実…知ってるさ否
知ってたからね2年ぐらい前から」
早乙女彩斗は前々から彼らを知っていた。彼らと会うことも分かっていたらしい。そこから
推測するに彼は能力者。
染岡「マミちゃんと同じ能力者だな」
早乙女「そうだ。先天的な能力者、自分と触れた人物の未来を見ることが出来るんだ」
彼はゆっくりと染岡優真の元へ歩み寄る。早乙女彩斗はデスクに躓き近くに立っていた
大神千夜の肩を掴んだ。
早乙女「おっとすまないな、近くにいたものだから…」
大神「別に構わないが」
早乙女「ここにずっといるつもりも無いし本当なら協力する気も無いが彼女が関わり更に
君たちが弟を探っているのなら話は別だ。電話番号と住所を教える。協力してほしい場合は
来ると良い」
早乙女彩斗は紙切れを染岡優真のデスクに置いて踵を返す。だがゆっくり足を止めた。

Re: 異能力+近未来 ( No.6 )
日時: 2019/04/06 11:13
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

早乙女彩斗は成神真実に触れた。微かに彼の口角が上がる。
早乙女「面白いな二人とも。だけど千夜君、弟の言動に惑わされてはいけない。シックザール以外の
銃のトリガーを引いてはいけない。折角良い相棒を持ったんだから、な」
そう言って早乙女彩斗は部屋を出ていく。彼にはどんな未来が見えたのだろうか。それは彼にしか
分からない。戸惑う二人を見て染岡優真は心の中で笑みを浮かべた。
染岡「さぁ仕事だ仕事。二人とも特に大神、彼の言葉ちゃんと覚えておけよ」
大神「?はい」
染岡「それと誘拐事件の犯人、もう分かってるんだ」
綾辻「今から調べると言ってたではないですか!」
染岡優真は早乙女彩斗が置いていった紙切れを見せた。
染岡「丁寧に今調べてる事件のことも予知してくれたよ。犯人が隠れているのはつい最近
廃墟になったビルだ。その最上階に相手はいる。エレベーターは使えるようになってる。
犯人の名前は菅野義彦、監視カメラでも何度か姿を確認している。これからそのビルに
乗り込むが侵入するのは少人数に絞る。ってことで初仕事、頑張れよマミちゃん」
染岡優真は成神真実の両肩をポンポンと叩く。
染岡「中に入ったら二人だけになる。いざとなったらマミちゃんの事を頼むぜ大神」

車での移動中、助手席で成神真実は窓の外を見ていた。
大神「お前が刑事になったのには何かきっかけとかあるのか」
成神「キッカケ…能力に目覚めてから友達に勧められたんです。友達はマミちゃんなら
絶対なれるって、カッコイイ刑事になれるって言ってたけど私はあまりそうは思ってませんでした」
大神「何故そう思った」
成神「自分の思いもはっきり言えない、刑事って体力勝負なところもあるって思ってそれ考えたら
私は体力も無いので…まぁ結局押されて今に至ります」
返答はない。

Re: 異能力+近未来 ( No.7 )
日時: 2019/04/06 11:36
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

廃ビルに到着した。所々コケが生えている。
成神「確かビルのエレベーターはまだ使えるんですよね」
染岡「あぁ最上階は20階だからな。流石の犯人も上り切れないだろうよ。ここからは二人だけが
中に潜入し犯人を確保する、頼んだぞ」
二人は頷きビルの中に入った。だがドアが閉じられた時の音に違和感を感じた。カチャという
鍵を閉めるような音だ。中でも違和感に気が付いた。成神は上を見上げると監視カメラがあることに
気が付く。
大神「まだエレベーターは使えるな。目的地に到着する前に体力を消耗するわけにはいかない。
乗るぞ成神」
成神「はい」
二人はエレベーターに乗り込んだ。
大神「お前の資料に鎖を操る能力だと記述されてたが」
成神「あぁ、それですか。まだ覚醒したばかりの能力者なのでイマイチ能力を把握しきって
いませんけど拘束とかにも使えるんですよ。救助とかでも使えます」
大神「割と使い勝手が良い能力だな」
エレベーターは最上階で止まり扉が開いた。降りてから成神はシックザールを抜いた。
辺りを警戒しながら進む。電気は豆電球だけだ。
大神「止まれ成神」
成神真実は止まった。大神は上を見ろと合図する。上を見ると針の天井がある。よく見ると
下にはスイッチのようなものがある。大神は気付いていないようだが細い糸がある。足元に
気を付けろと言って気を付けても引っかかる可能性がある。ならここは自分の出番だと成神は
能力を使う。二人の頭上を鎖が飛び交う。
成神「ホントに細い糸です。でも足元に気を使う必要はありません。そこまでの重量は
なさそうなので鎖で防ぐことは出来ます。さぁ急ぎましょう」

Re: 異能力+近未来 ( No.8 )
日時: 2019/04/06 13:15
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

抜けてからすぐ二人は足を止めた。武器は持っていない若い青年だ。服の隙間から見える肌には
あちこちに傷がある。もう一人も同じぐらいの青年だ。
大神「見張りか…」
成神「二対二ですね」
???「刑事…そっちの女は能力者か?」
傷だらけの青年は成神を指差す。
大神「異能対策刑事課の大神千夜と成神だ。お前らは誰だ」
???「暁」
???「新」
傷だらけの青年、暁は床を蹴り大神との距離を詰めると前蹴りを放つ。ガードした大神の
体勢が崩れた。大神は体勢を立て直そうとするも暁は大神の顔を掴み地面に叩きつける。
成神「大神さん!」
大神「前だ、成神!」
成神が前を見ると既に拳を突き出そうとしている新が目に映った。鎖を使い上へ逃げる。
新は上へ避難した成神を見据える。大神は顔を掴んでいる暁の手を掴む。シックザールを
構えようとするも暁はシックザールを蹴り飛ばした。
新「暁!!」
暁は声に驚き後ろを振り向く。微かに力が弱まり大神は暁の後頭部に手刀を落とし気絶させる。
新は舌打ちし窓から飛び降り逃走する。
成神「大神さん大丈夫ですか?」
大神「あぁ早く中に乗り込むぞ」
成神と大神は中に侵入する。予想通り写真で見た菅野義彦がいた。
成神「誘拐犯ですね。問答無用の逮捕です」
菅野「ど、どういうことだ…あの人はまだ俺のことは知られていないと」
大神「(あの人…?)」
菅野は拳銃を発砲した。数打てば当たる、そう思ったのだろう。だが銃弾の方向は
滅茶苦茶だ。二人に掠りもしない。

Re: 異能力+近未来 ( No.9 )
日時: 2019/04/06 13:32
名前: azuno* (ID: s00TEuml)

菅野「く、クソ!大金払ってまで雇った奴らが…!役に立たねえ傭兵め…」
傭兵…それなら戦闘経験も豊富であそこまで武器無しで戦えていたことも理解できる。
大神「処刑の時間だ」
シックザールを発砲する。青い光の弾が菅野を撃った。撃たれた菅野はゆっくりと地面に
倒れた。背後から微かに銃を構える音がした。銃口が二人に当てられる。暁と新だ。
暁「シックザール、だったか。それを置いて両手を上げろ」
シックザールを床に置く。成神は大神に小声でどうにかすると囁く。瞬間、二人が引き摺られる
ように窓を突き破りビルから飛び降りる。
新「なっ、ここから飛び降りるのか!?」
暁「成神って言ってたな。ソイツの能力だろ」
暁の手には鎖の欠片が握られていた。一方、飛び降りた二人は鎖を握っていた。鎖が命綱代わりに
なり二人をゆっくり地面に降ろす。
春日「まさか窓を突き破って飛び降りてくるとはね」
春日は微笑んだ。窓を突き破るところは見えていたようだ。
染岡「お疲れさん。さぁ帰還するか」
全員が頷いた。

別の場所で銃の発砲音が聞こえた。殺されたのは暁と新だ。殺したのは早乙女秀介。
秀介「十分役に立ってくれたよ。大神千夜そして成神真実という存在を見つけ出してくれたんだ」
早乙女秀介は笑みを浮かべた。

オフィスを出て成神は電話に出ていた。母親の真耶からだ。
真耶『お疲れねマミ、仕事が終わった後かしら』
成神「うん、丁度今終わって職場に帰って来たところ」
真耶『テレビでもやってるわよ。誘拐犯逮捕ってね。ペアの男の人はどうなの?』
成神「悪い人じゃないし良い人だよ。ホッとしてる」
真耶『そう。仕事上、無傷って言うのも難しいだろうけど気を付けるのよ。頑張ってね』
電話が切れた。スマホの電源を切った。