ダーク・ファンタジー小説
- Re: 異能力+近未来 ( No.10 )
- 日時: 2019/04/06 14:54
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
早乙女彩斗の家に一人の男が訪ねてきた。それは大神千夜本人だ。
早乙女「どうしたんだい?一人で来て、弟の事でも聞きに来たのか」
大神「いやそうじゃない。お前が来た時に俺に言った言葉の事だ。惑わされるな、銃を
発砲するな、それはどういう意味だ」
早乙女彩斗は息を吐いた。
早乙女「そのままの意味さ。信用しないかもしれないけど俺は一つの未来だけじゃなく
分岐した未来も見える。このまま弟、秀介を君が撃ち殺せば君も成神ちゃんも後悔するかも
しれない結果になる。だけどそこで思い留まれば二人ともハッピーエンドさ。君が
ハッピーエンドを迎えることが出来るか否、君だけじゃない彼女も一緒にハッピーエンドに
なれるかは君次第ってことさ」
納得いかないような表情を浮かべる大神。早乙女彩斗は席を立ちスケッチブックを
持ってきた。そして二枚のページを破った。それを大神に見せる。
大神「これは…俺と成神…?」
早乙女「この絵の状況を俺は見た。どうなっているか分かるだろう。君は自分の異性に対しての
気持ちにも相手が自分に対する恋心にも疎いようだな」
一枚は成神真実がシックザールを握り泣いている、そして大神が血を流し倒れている様子。
もう一枚は笑顔で大神に話しかける成神真実の様子が描かれている。
早乙女「純血の能力者は一つしか能力を持たないが混血の能力者は二つの能力を持っている場合が
ある。だけど100%以上を発揮することは出来ないんだ。半々かどちらかに偏るか…俺は
未来予知に偏っているんだ」
大神「もう一つは」
早乙女「読心術」
- Re: 異能力+近未来 ( No.11 )
- 日時: 2019/04/06 15:20
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
大神「読心術…」
早乙女彩斗は片目を閉じ大神を見据える。
早乙女「君、ちゃんと成神ちゃんの資料に目を通してないようだね。質問するけど彼女は
何がキッカケで能力に目覚めた?資料をしっかり読んでいれば答えられるはずだ」
少し厳しい口調で早乙女は訊いた。大神は顎に手を当て考える。そのうち大神は溜息を吐き
テーブルに伏せた。
早乙女「虐められていた時支えてくれた友人や家族の存在だよ。彼女は自分の言いたいことや
思い、考えをハッキリ言えるタイプじゃない。自分の考えを言ったら否定される、間違っている
かもしれない、そういう不安が彼女は大きいんだ」
大神「そんな風に見えなかったんだが」
早乙女「そうか。なら彼女は君に心を開き始めている証拠だ。そんな性格があって彼女は
虐めに遭っていたらしい。そんな彼女の支えは数少ない友人と家族、彼らへの感謝だろうね。
その感謝の気持ちで能力に目覚めたらしい」
話し終え再び早乙女は口を開いた。インターホンが鳴った。
早乙女「さてと…三人で世間話した後セッティングしてやるよ」
早乙女は玄関に出てドアを開けた。私服姿の成神真実が立っていた。
早乙女「こんにちは成神ちゃん、中に入って」
成神「あ、ありがとうございます早乙女さん」
成神は靴を脱ぎ家の中にあがる。部屋に入ると大神と成神は互いに驚いた。
成神「大神さん!?」
大神「成神、どうして…!」
早乙女「俺が呼んだ。二人とも、な。それに互いを知る良い機会だろ?」
早乙女は席を移動して二人の真ん中の席に移る。成神と大神は向かい合うように座る。
早乙女「さてと…俺は少し席を外すけど二人はゆっくりしな」
そう言って早乙女は部屋を出た。
- Re: 異能力+近未来 ( No.12 )
- 日時: 2019/04/06 16:00
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
大神はさっき早乙女が見せた二枚の絵を見せた。
成神「この絵に描かれている場面を早乙女さんは見たんですね」
大神「そうらしい。俺が早乙女秀介を撃ち殺せばお前が俺を撃ち殺す、だが撃ち殺さなければ
お互い悲しまずに済むらしい」
成神は絵を見つめていた。そのうち顔を上げ大神を見た。
成神「じゃあ大神さん、早乙女秀介を撃ち殺さないでください!!」
大神「ッ!お、おう…善処はする」
ドアが開き早乙女が入って来た。
成神「早乙女さん」
早乙女「多少は仲が縮まったかな?」
成神「どうでしょうか…あ、でも約束事はしました」
興味深そうに早乙女は「ほぉ」と呟いた。
成神「早乙女秀介を撃ち殺さないっていう約束です」
早乙女「そうか約束かぁ…良いんじゃないか。約束したからには守らないとな大神」
外は日が沈み真っ暗だ。その時、電気が消えた。
早乙女「あれ?ブレーカーが落ちたのかな…ちょっと見てくるから二人はここで待ってなよ」
早乙女は懐中電灯を持ち部屋を出た。月の微かな光だけが部屋を照らしていた。
大神「成神、お前の名前って由来とかあるのか」
成神「真実って名前の由来ですか?しんじつっていう感じをそのまま名前にしてるんですけど
嘘を吐かない、素直な子になって欲しいって意味らしいです。大神さんは?」
大神「俺は…千夜一夜物語から名前を取ったと言われた」
成神「千夜一夜物語…女性不信の王様がシェヘラザードを正妻として迎えるんですよね最終的に。
私、結構読書とか好きなんです。読書意外だと絵を描くこととか…まぁ自慢できるほど
上手くは描けませんけど…大神さんは運動とか好きなんですか?」
大神「あぁ」
電気が戻り早乙女が部屋に戻って来た。それから二人は家へ帰った。