ダーク・ファンタジー小説

Re: 現代百鬼夜行 ( No.1 )
日時: 2019/04/07 15:40
名前: 枢 (ID: s00TEuml)

父「さぁ桜花は先に家へ帰ってなさい。お父さんは帰りが遅くなるから」
桜花「うん」
制服姿の桜花は父に言われ葬式場を出た。桜の花は満開だ。桜花は冬生まれだが温かい心を
持つ子になってほしいという願いを込めて春に咲く花である桜、桜花と名付けた。前に一人の
男が立っている。青い上着を着た何処にでもいそうな若い男。だが何処となく不思議な雰囲気が
ある。桜木理玖だ。
理玖「桜花、葬式は終わったか」
桜花「終わったよ」
午後六時、まだ父は帰ってきていない。テーブルで桜花と理玖は夕食を食べていた。その時
部屋の窓を叩く音が聞こえた。理玖は立ち上がり窓を開けた。そこには片目を縫った隻眼の
青年がいた。何故窓から?
理玖「梔子、来たのか」
桜花は離れた場所から梔子と呼ばれた青年を見ていた。彼も桜花に気付き目を向けた。
理玖は手招きする。桜花は理玖の隣に立つ。
梔子「お前が仕えてる人間の子か。俺は梔子、よろしく。お前は天城桜花だろ」
桜花「え…どうして」
理玖「さとり妖怪だからだ。それと俺は別に仕えてるわけじゃない…ここの家族が帰って来る。
また明日」
理玖は一方的に窓を閉めた。
桜花「理玖さん…大丈夫?何だか辛そう」
理玖は少し微笑み桜花を撫でた。
理玖「辛いのは俺じゃなくてお前だろ」
その後、桜花は深い眠りについた。