ダーク・ファンタジー小説
- Re: 平凡でありたいギャング ( No.2 )
- 日時: 2019/04/22 19:25
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
設楽は同じギャングで紹介したい人物がいると言い彼らは今バイクで池袋を走っていた。
シルヴィのバイクには風祭、設楽のバイクの後ろに西園寺瑠理は乗っていた。バイクはゆっくりと
人気が少ない路地で止まった。歯が折れ白目を剥いたガラの悪そうな男たちが転がっていた。
人間を殴る鈍い音が何回も聞こえた。
設楽「化野、今日も随分と喧嘩を売ったみたいだな」
気絶した男を殴る手を止め不気味な笑みが消えたワインレッドのコートを着た青年が振り返った。
化野江夏、風祭友希同様に人間離れした力を持つ。まぁ怪力なら風祭のほうが上だが…。成程
赤いコートを着てるのは喧嘩の返り血が目立たないようにするため。同じ理由で黒い服を
着ているのか。
化野「巻き込まれたってわけか…俺は化野江夏、よろしくな瑠理」
化野は手を差し出す。握手ということか。その手を瑠理は握った。
シルヴィ「今日もこんなに殴り倒して…第一印象、悪いよ?」
何処から声、出してるんだろうと思ったがそのことは彼らの間では暗黙の了解のようだ。
化野「仕方ねえじゃん先に殴り掛かって来たのはあっちだし…でもさぁ設楽、いいのかよ?
本当に大丈夫なのかよ、こんなところにいさせて」
風祭「久遠寺をぶっ殺せばいいんじゃね?」
設楽「そんなことは出来ないだろ。現に君は彼を捕らえられてないじゃないか」
正論を言われ風祭は押し黙る。
設楽「そうだな…流石に君に喧嘩なんてさせたくはないからね。メンバーにも頼んで君の護衛を
させることにしよう」
西園寺「なっ!護衛って…そんなことは」
シルヴィ「まぁまぁ瑠理ちゃん、全部久遠寺君が悪いけどこうなった以上は、ね?大丈夫だから」
シルヴィは瑠理の両肩に手を置いた。優しく落ち着かせるようにそう言った。設楽も不安を
消すように微笑んだ。
設楽「大丈夫、シルヴィもいるし風祭と化野もいるんだ。気にしなくていいさ」
西園寺「は、はぁ…」
その場のノリで頷いてしまった。こうしてどうにもこうにもギャング入りは逃れられずギャングに
なった西園寺瑠理だった。落ち着いた優男の設楽厚平、短気な怪力男の風祭友希、ギャップが
激しい化野江夏、生ける都市伝説シルヴィ、最もギャングらしくないギャング西園寺瑠理そして
彼女をギャングにした張本人の久遠寺成也。今、瑠理が知っているフリーダムの面子は
5人。だが他にもメンバーはいるらしい。本当に大都会では何が起こるか分からない。それで
こそ彼女は目立つ存在になる。