ダーク・ファンタジー小説

Re: 平凡でありたいギャング ( No.4 )
日時: 2019/04/22 21:18
名前: 枢 (ID: s00TEuml)

夜の街にはガラの悪い男たちが活動し始めるらしい。帰り道を歩く少女を攫う男、喧嘩を売る男、
様々だが西園寺瑠理は狙われない否、狙えないのだ。手に掛けるのは簡単なはずだがそれが
出来ない理由がある。化野江夏と言う青年の存在である。かなり喧嘩慣れした彼に手を出せば
返り討ちは免れないからだ。いわば瑠璃のヤンキーキラー。
化野「到着したぜ瑠理」
忘れられた倉庫の扉を開ける。そこには数人が集まっていた。その中心に緑の服を着た細身で
筋肉質の男、黒瀬龍牙がいた。確かに美形であることは認めよう。
設楽「おぉ無事到着したみたいだな瑠理ちゃん」
設楽は瑠理のほうを見てニコッと笑った。微笑んで頷いた。
シルヴィ「まぁ化野君に喧嘩を売る人はあまりいないからね。手を出したら痛い目を見るし」
化野「なーんか嬉しくねえな、それ。折角護衛して来たのに」
西園寺「でも化野君がいたおかげで何事も無くここまで来れました」
瑠理は170㎝近くあるが168㎝、一方化野165㎝で小柄。普通なら化野のほうがボコボコにされるが
その逆が事実だ。化野は頬を掻き照れている。
黒瀬「へぇ夜は護衛がいねえと出歩けない華奢で非力な子がねぇ…あ、俺は「あ、知ってます」」
西園寺「黒瀬龍牙さんですよね。友達から聞きました、凄くカッコイイって言ってましたよ」
黒瀬「女の子らしい褒め言葉だな。まぁでも俺もアンタの事は知ってるからな。西園寺瑠理」
設楽「で、何しに来たんだ黒瀬?まさか喧嘩しろと?」
設楽が控え気味に聞くと黒瀬は指をクイクイと曲げる。
黒瀬「そのまさかだよ設楽。俺も腕が鈍くなってきたみたいでな、ちょっと運動に付き合え」
設楽「俺は無駄な喧嘩はしないさ。こっちの怪力馬鹿たちと違ってな」
設楽は化野と風祭を指差す。反論しようにも出来ない。それを聞いて黒瀬が笑った。
黒瀬「まぁ予想はしてたよ。何ならその子を賭けるのはどうだ?」
黒瀬が設楽を動かすために使ったのは瑠理だ。後ろから瑠理は腕を掴まれた。緑のスカーフで
口元を隠した男だ。
黒瀬「おっと下手に動くなよ?下手に動いたらどうなるか、俺も知らないけどな」
設楽の性格を知り尽くした作戦だ。全員がそう感じた。設楽が本気になるのは仲間が囚われるとき
だからこそ新人で戦闘力が0に近い瑠理を人質に選んだ。設楽が構えた。
設楽「そこまで半殺しにされたいのか…?」
黒瀬「さぁ?でもやっと動いたな?設楽」
二人が構える。瑠理は息を呑んだ。一体、どうなるんだろ…。