ダーク・ファンタジー小説
- Re: 異世界戦争 ( No.5 )
- 日時: 2019/05/11 10:07
- 名前: Nahonn (ID: 3nlxUYGs)
ニーナsaid
目の前にいる男性が、あの頃の王子だなんて思いもしなかった。でも、その翠の瞳に宿った光は、そのたくましい腕は、心地の良い口調は、驚く程に変わっていなかった。
少年兵達の休憩場を曲がりかかった時だった。少年兵数人の話し声が聞こえた。
「DNAを知るための装置で照らし合わせても99.99999...%を差していたらしいな。」
「こりゃ確定だわな。」
「アイツも大変だよな〜。急に敵国に連れて来られて。」
「どうせ消されてるだろ。王宮にいたことなんてよ。」
「あー。そういや、ニーナとか言う女の少年兵があれの幼なじみらしいぜ。」
「マジかよ。」
「あの、王子の元許嫁か?。」
「えー。初耳。」
「まあ、王の座にはも居ないし。早くに亡くなったからな。国も必死なんだろうぜ。」
「暫くの間。第二王子に悪さされるかもしれないぜ。」
「でもあの王子優しいことで有名なんでしょ?。」
「腹の底で何を思ってるかなんて誰もわからねえだろ。」
「でもよ………」
ひっ………っとそこにいた数人の兵士達が息を飲んだ。多分私から尋常で無いほどの殺気が出ていたからであろう。そのうえ私はC-でも、上から7番目の強さだ(つまりアイツらの上司)。ライアはB+くらいだろうか。
私は、ライアのいる部屋のドアを開けようとドアノブに手を掛ける。
『(記憶)消されてるだろ』『元許嫁』私の心を締め付ける言葉のトップ3にはいる言葉だ。察しの通り、私は彼に恋愛感情を抱いている。淡い初恋のようなあやふやで、かといって、初恋よりも重く醜い物だ。それは、恋ではなく只の執着なのかも知れない。
思いきってドアを開ける。
「失礼します。」
平常心を保つには、クールを演じることだ。そう。それが一番。
彼はこちらを疑視していた。まじまじと私を見ている。私は一礼をする。顔を上げると彼のポーカーフェイスが見えた。ドキリ、なんて効果音が響く。
「先程は失礼しました。私は、ニーナ=ミリオネート。この国の少年兵の内のひとりです。」
ライアも一礼をした。社交辞令のつもりなのだろう。
「ライア=イーグリオンです。宜しくお願いします。」
何が宜しく、なのかは分からないけれど警戒を解こうとしないのは分かった。私は、なにも貴方に害することはしません。という意味も込めて彼の前に座った。彼のポーカーフェイスが崩れかけた。
その事を言うのに躊躇いはなかった。
ただ、ひとつ突っ掛かる事といえば……。
私は溢れ出そうな想いをし舞い込んで、その言葉を告げた。貴方はこの国の王子です、って。
彼はため息を吐いた。まるで呆れたような、納得したような、馬鹿にしているような。
「そうゆう事かよ。」
彼の反応は意外だった。いくらポーカーフェイスが上手い人でも目を見開くぐらいはすると思っていた。でも、彼は思ったより客観的で肝の据わっている人物に育っていたのだ。
「それで?。俺をどうするつもりだ?。」
その翠の双眸が鋭く光った。まるで、私の中の何かを見透かすように。