ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自由を求めて ( No.12 )
- 日時: 2019/09/23 15:58
- 名前: サクマ (ID: mG18gZ2U)
「ボクは、ずっと一人だったし、人間のことなんて全然知らないからキミの世話だってしないよ!」
「あはは、少しは手伝ってよー?」
あれからなんだかんだ仲良くなって一緒に小屋で生活していた。
ミカエルは熱さや寒さに鈍感で雪の上を歩いても寒くも痛くもないと言う。火の中に平気で手を入れることだってあって、あの時は焦った。手は無傷だったから良かったけど本人は「別に平気だよ」と真顔で言うのだ。
痛覚が無いのかと思ったが、軽く押したら壁にぶつかって「痛いな!」と言っていたので、単に皮膚が厚くなってしまったのだと思われる。
右手首にキラキラ光るエメラルドグリーンのリング、いつから付けていたか記憶にないが、外すとチカラを制御出来ないらしい。
気に入ってて外したくないのだろう、親の形見かな?
あと、お風呂に入らなくても常にラベンダーの香りがして髪もベタベタすることなくサラサラだった。汗をかくことが無いみたいでお腹もすかないし水分を摂取しなくてもいい、なんて言うから一緒に湧き水を取りに行ったことだってある。
幸い、金具は小屋にあったから、湧き水から出ていたであろう氷柱を割ってコップに入れてミカエルが手をかざすと何故か水になっていた。
その手のマジックの仕掛けを知りたくて手を握ってジロジロ見ながら確かめると「気安く触らないで!」と手を叩かれた。ミカエルは触れられることが嫌いのようだった。
- Re: 自由を求めて ( No.13 )
- 日時: 2019/09/23 16:10
- 名前: サクマ (ID: mG18gZ2U)
ミカエルが眠っているところを見たことがなかった。
「寝ないの?」
と聞くと決まって「ボクらは寝ないんだよ。眠くもないし、眠るって行為が分からないんだよ」と返ってきた。凝ったキャラ作りにしては、目の下にクマは出来ないし、毎日疲れる様子が見られるのは長距離歩いた時か俺と会話をした時ぐらいだ。…嫌われてるんじゃないぞ、俺といると自然体でいられるだけだから、きっと。
それと気になることはもう一つ。
ミカエルは何処から出してきたのか、朝に紙幣を数えていることが多かった、と言うより毎朝椅子に座って紙幣を数えていた。俺が目を覚ますとすぐに懐に隠すけど、毎日色の違う数字の入った紙を数えていて、それが紙幣だと気づいたのは俺の叔母さん達が住む町の札の時があったから。
そんなある日、いつも通り吹雪の降る日にノートにメモをするミカエルと火に手をかざして温まる俺。
小屋のドアが強い力で叩かれた。