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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 自由を求めて ( No.34 )
- 日時: 2019/10/26 21:53
- 名前: サクマ (ID: KVMT5Kt8)
俺はミカエルと共有して知っているところだけをトウマに話した。
ニトロの所は幸せだったのに、突然ある日ニトロの所から新しい主の所へ五人が移らなければならなくなったこと。
その後、言いづらそうにトウマは語った。
ニトロから強く言われていたことは「何があっても人間に危害を加えてはいけない事」だった。
物心ついた頃から能力を使えていた彼ら五人は感情というものが欠けていて、それをニトロから教わっていた。
新しい主の元へ移されてから、初めは優しかった主も五人の能力に欲が溢れ、性格が変わっていった。「感情なんてものは捨てろ」と言うようになり、指示に疑問を投げかけるだけで、鞭打ちやナイフでの切り傷や暴力などの酷い仕打ちを受けた。それでも五人はニトロから言われた言葉を、約束を守り耐えていた。
新しい主はニトロから情報を得ていたのか五人の特質をある程度理解した上で手足のように彼らに命令を出していた。
新しい主の住む所は一つの国のようだった。ニトロの住んでいた所は山奥で森の中の一軒家だったので、人間の多く居る所が初めてだった五人は主のいる家に居るよりも外で国民と話す事が増え、少しずつ与えられる感情に幸福感を得ていた。
それに激怒した主は五人に命令した。
“国王と、王族を皆殺しにしろ”
五人は首を横に振った。
主は的を五人に命令するのではなく、一人ずつに別の命令をすることにした。
“従わなければ、五人の誰かを殺す”
そう脅して。
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