ダーク・ファンタジー小説

Re: ゴーストトレイス ( No.1 )
日時: 2019/10/12 19:37
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

霊障だった人物もここ、霊障特別課が保護し監視している。エトが入社したと
同時に仕事を離れた刑事がいた。彼の後を継ぐようにエトがその霊障だった人物を
監視するようになった。骨喰に憑かれていた青年、骸井航平と人食い鬼、
雛森郁斗。航平は長い時間、憑かれていたストレスもあって開放感があるのか
よく話す、郁斗に関しては背格好はもう成人、しかしまともな教育を受けられなかったせいで
知識自体は小学生ぐらいだ。
「よし、全部丸。今日は終わりだよ」
赤ペンを置き郁斗にノートを返す。
「なんか先生っていうか親みたいだな。俺にはそのどっちかにしか見えないぜ」
「私は基本、丸つけをするだけだから、そんな大したことはしてないよ」
「あらあら〜仲良くなるのが速いわね。エトちゃん」
長い白金の髪をした柔らかい笑顔の女性、四条柚花しじょうゆはなだ。彼女は
監察係に所属していて自分ソックリの霊を連れている。その霊を介して死者の心理と
記憶を読み取ることが出来る。
「柚花さん、こんにちは!」
「えぇ、こんにちは〜。わぁ!全部合ってる。これは郁斗君のノートね。凄い凄い」
そう言って柚花は郁斗の頭を撫でる。精神年齢的にはエトたちよりも下らしい。
本人もそう思っているのだろう。
「これは教える人が上手いからかしらね〜郁斗君」
郁斗が小さく頷く。エトが照れくさそうに笑う。
「それじゃあ私はお仕事があるから〜」
そう言って柚花は部屋を出た。
「そういえばよー…アンタはどんな霊能力を持ってるんだ?前に俺らの監視してた奴は
風を操ってたけど」
「え、無いけど?」
その一言で郁斗と航平が目を見開き言葉を失う。ここの職員は全員霊能力を持つはずなのに
エトが持っていないなんて…という表情である。