PR
ダーク・ファンタジー小説
- Re: ゴーストトレイス ( No.3 )
- 日時: 2019/10/14 21:15
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「なっ!?なんじゃ…オヌシ!」
「あー俺ですか…鬼、ですよ」
額から生えた二本の角、そして黒目金瞳。人間ではない正に鬼。だが彼は人間。
百目鬼壮吾、エトの後輩の一人だ。彼は二匹の小鬼を使役していてそれぞれを憑依させ
戦闘を行う。
「大丈夫ですかエトさん。ダメですよ貴方、戦闘は基本出来ないからこういう事件の場合は
一人以上戦闘が出来る人間がいないと…ねっ!」
景道を背負い投げする壮吾。赤鬼サグルを憑かせたとき、人間離れした身体能力を彼は
兼ね備える。倍の体格の景道を軽く背負い投げすることぐらい出来る。
「事は色々聞きました。俺らが通ったらアンタの負け、だな」
「ま、まさか…!?」
「はい、そのまさかです」
エトを片腕に抱き2mほどの高さまで跳躍、地面に降りた時には既に景道の後ろにいた。
そして悠々と橋を渡った。
「と、とりあえず…これでもう橋を行き止まりにしないよね」
「…完敗じゃ完敗。若いのに負けるとはなぁ…」
そう言って景道が消えた。これで事件解決。憑依が消えた壮吾はエトに聞いてくる。
「なんで一人でここに?相手は戦闘慣れした霊、上の人たちも行かせるわけがないでしょう?」
「そうだぞ、弱いくせに!」「サグル、言葉が悪いです!」
サグルを咎める青鬼サグメ。余計心が傷付く。
「なんでって…律子さんに言われたんだよ。大きな戦闘はやめたほうがいいからお前が
行けって」
「そうなんですか…」
少し後になってエトも少し疑念を抱いた。サグルや景道の言う通り、霊能力も無く戦闘向きでは
無いので大体事件に向かう場合は戦闘が出来る人物が付き添ってくる。だが国枝律子は彼女を
単独で事件の現場に向かわせた。考えても分からないことは分からない。
PR