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ダーク・ファンタジー小説
- Re: ゴーストトレイス ( No.5 )
- 日時: 2019/10/15 17:43
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「夜叉丸!夜叉丸しっかり…しっかりするのよ!」
焼かれるような熱は少年の体を蝕んでいた。少年の手を彼の母親がギュッと
握る。「こっちです」と落ち着きつつ慌てる父親の声。連れて来たのは中年の男だ。
「お、陰陽師様!ど、どうか助けてください!この子だけは…」
泣き崩れる母親に陰陽師はそっと口を開く。
「落ち着いてください。大丈夫です。しかし話したことは忘れていませんね?これは
一生彼の体に残るもの」
「構いません。この子が助かるなら!」
両親の強い思いに応えるべく男は包みを開き準備する。
「夜叉丸か…とても強そうな名前だ。ここまでよく耐えたね。本当に逞しい子だ。
これは一生残る。すまないね…」
男が筆を執る。そして体に何かを書き始める。
「僕にも娘がいてね。君より少し年上だけど、優しい子だ。今は色々酷いらしくて
泣いてる姿ばかりさ…僕はね、霊障を扱う元・警察だよ名前は×××。もしかしたら
君はいつか僕の娘の後輩になるかもしれないね。もしまた苦しくなったら是非頼りなさい」
過去の夢から覚めた青年の体には確かに男が施した封印が残っていた。
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