ダーク・ファンタジー小説

Re: ゴーストトレイス ( No.6 )
日時: 2019/10/16 19:06
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

霊能力は暴走するときがある。相当な危険が迫ったとき、心に傷を負ったとき、人によっては
制御装置が破壊された時。暴走した場合、霊障化したときは酷い場合始末することになる。
そして今、様々な霊障が一度に舞い込んできていた。正直霊能力を持たないエトは足手まとい。
そう思われているに違いない。その時、ヒールを鳴らし歩いてきた白衣の女性がいた。
柚花ではない、凛とした女性だ。監察係、久能麗。

「良かったエトちゃん、いるわね。ちょっと来て!」
「え、あ、ちょっと!」

強制的に立たされ場所は資料室。一つのファイルが机に置かれている。

「貴方、聞いてないの?貴方の後輩が霊障化したのよ!」
「え!?」

聞いてない。霊障化した場合は必ず全員に通達がされるはずだ。それが来ていなかった。

「どうしてかは分からないけど…良いわ。貴方宛てに伝言を頼まれたの。この辺に
住んでいる寺の僧、藤堂さんって人なんだけどね…とりあえずその人が住む寺に
行って頂戴、住所は—」

外に出て車に乗り込む。助手席で麗から渡されたファイルに目を通す。時々、一般人が
霊能力に目覚め制御が出来なくなると言うことがある。そのファイルでチェックされているのは
とある少年の体が鬼神に蝕まれた事件。その少年が鬼道院夜叉丸だった。そしてその事件を
たった一人で解決させたのは。

「神導イザナ、ってまさか!」

車を運転する後輩、藤野興信が驚く。エトが頷いた。

「神導イザナは私の父親、つい最近死んじゃったし警察で働いてるってことしか
知らなかったけど…それにあまり仕事の事は気にならなかったし」
「お父さんは霊能力持ってるのに娘のセンパイは持ってないんすか…」
「そうなんだよねぇ…ってそんなのは今はどうでもいいから!で?もうすぐ到着?」

責め立てる口調で聞くと頷いた。