ダーク・ファンタジー小説
- Re: ゴーストトレイス ( No.13 )
- 日時: 2019/11/13 21:04
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
霊障特別課に新たな事件が入って来た。
一週間ほど前から現れた悪童狩り、彼はナマハゲを名乗り世間を脅かす。既に
数十人の少年少女が重傷を負わされている。ナマハゲが襲うのは全員学生で被害者から
事情聴取すると彼らに共通点が見られた。
「やっぱり多いんだな、こういう悪童も。エト、まさかお前もッてことは無いよな?」
柄シャツを着た男、萩野槙人はエトに聞く。エトは笑いながら首を振る。
「私、怒られるようなことをする勇気はなかったし目立ちたくなかったから…それに
悪い事と良い事の見分けはちゃんとついてたよ」
「だよな」
被害者の行った悪行は虐めや集団暴力、飲酒運転など様々だ。軽傷で済んだ人物も精神的な
傷が深い。病院送りされた者のの中には両手足を折られる、全身火傷など数知れず。
悪童は多い、たった一週間で数十人にも上る悪童を調べることは出来るとは思えない。
つまり考えられるのはもう一人の霊能力者。
「共犯っすか…ってなると共犯者の能力は…」
「探知能力かな?サイコメトリーとかも考えられそうだけど」
斎の言葉に繋げるようにエトは自身の考えを話す。ただ単に悪行が許せないというだけで
ここまでするのだろうか?もっと悪行が許せなくなった理由があるはずだ。そして
その行為は人間技ではない。何か強化系や憑依系の霊能力を持っているのだろう。
ナマハゲと名乗っている辺り、鬼の力と考えるのが妥当だ。ネットではナマハゲを批判する
意見もあれば彼をヒーローとして称える者もいる。若干、後者の方が多い。ネットのみならず
テレビでもその事は取り上げられている。
「先輩はこの事件の事はどう考えてるんですか?」
夜叉丸は横目でエトを見た。
「そりゃあ悪いことはダメだけどナマハゲがやってることも結局は同じだと思うよ。
言葉じゃ止められないことはある。何度言ってもやめない人の方が多いからね」