ダーク・ファンタジー小説
- Re: ゴーストトレイス ( No.15 )
- 日時: 2019/11/14 21:15
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「ンの野郎…!」
同時に複数が飛びかかったにも関わらずナマハゲは軽々包囲を潜り抜けた。これで
確信が出来た。やはり彼は鬼憑きの霊能力者。
「やっぱり神導さんの言う通りでしたね」
「そうだね。あの子がナマハゲに色々教えてる子だと思う。でも先にナマハゲを確保するべき
だよね」
八咫野が親指を少し噛み千切り口笛を吹くと白い鴉が現れ彼の右腕に消えていく。
さらに左腕と両脚に消えていった。能力使用は6分だ。リュウ、八咫野、夜叉丸、三人は
戦闘に長けている。彼ら三人を相手しているナマハゲはかなり強いがナマハゲの動きが
鈍くなっているように思える。
「なんか…疲れてるみたいだぜ…」
「まだ、鬼の力に馴染めてないのではないでしょうか。力があっても身体が追い付いていない」
夜叉丸の言う通りだろう。それに加えて彼の体力は三人ほどは無い。三人は戦闘慣れしている
ということもあって体力は充分にある。ナマハゲの正体は恐らく育ち盛りの少年、まだ
身体は成長しきっていない。ナマハゲは視線を辺りに彷徨わせ、ある人物を見つける。
少女を抜いて唯一、戦闘に参加していない人物がいる。疲れていても頭は回る、
非戦闘員なら人質に取ることは出来る。ナマハゲは前傾姿勢を取り彼女との距離を縮める。
「ヤベェ!!」「ッ!!」「エト先輩!逃げてください!!」
全員が叫んだ。彼の大きな刀がエトの首を刈り取ることは出来なかった。
「そうだったな…拘束要員がいなかったな」
ナマハゲの体はぐるぐる巻き、ついでに少女も両手足を拘束されていた。斎は妖糸使い、
その糸の強度はかなりある。斎がゆっくり彼に近付き腹に肘を打ち付ける。ナマハゲの体から
力が抜けた。
「やめてよ…その子に手は出さないで!」
「落ち着いて。良い?まだ顔が晴れちゃったとかそういうことならまだマシ。貴方、知らないの?
被害に遭った子たちの酷い怪我はね深刻なの。もう一生歩けない人もいる…自分の立場で
考えられないなら虐めっ子となんら変わりはしない」
エトは少女を宥めるような口調で言い放った。