ダーク・ファンタジー小説

Re: フォルトゥナさん、リ・スタート ( No.2 )
日時: 2019/10/19 14:47
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

湖から離れ歩き出す。木々に囲まれた道を抜けるとそこには町があった。

「お前、何者だ」

怪しむようにフォルトゥナに声を掛けた長い白髪の男、だが彼は少し顔を見て何か
既視感を感じた。

「私はフォルトゥナ・ルクス、色々事情はあるんだけど…?」
「ルクス…今、確かにお前はルクスと言ったな?」

フォルトゥナが頷くと話を聞いていた町の住人も騒めきだす。ルクス、それはラテン語で
光という意味である。

「では聞いても良いか。ノート・ルクスという方を知っているか」
「ノート・ルクス?…ごめんなさい、分からない。分からないけど…実は私」

ここに来た経緯を説明した。謎の男から今日からフォルトゥナ・ルクスだと言われたことも。
白髪の男は笑うことも無く話を面と向かって聞いている。話し終わると彼はふぅっと息を
吐いた。

「ならあの人だろう。あの人から名を授かったというならば俺たちは貴殿への態度を
変えなくてはならないな…俺はスコル、貴殿とは違う種族、魔族だ」

属性魔法というものがある。スコルのような魔族の多くは闇属性を得意とし光属性を
苦手としているがスコルは光属性に対してある程度耐性があり光属性を闇属性に
変換することが出来るらしい。そして魔族の血を持つ者が他にもいるらしい。

「あ、ねぇスコル。一つ聞いても良い?そのノートってどんな人?」
「あの人か…元々、俺もこんなところでのんびり生活するような事はなかったな…」
「え?そうなの?」
「あの人と敵対していて戦った。そして俺は負けた。これでも長く生きてるし腕には
自信があったから人間に負けるつもりは無かったが初めての黒星だ。負けた俺にあの人は
手を差し伸べてくれたんだ」

負けた相手を痛めることはせず、そして相手に敬意を持てる人だったのだろうか。
良い人であるに違いない。

「スコル、ここにいたのか。この人は…」

スコルを探しに来た男の姿は異様だった。額の縦長の眼だ。彼はクロムと言い、スコルと同じ
魔族の男。同じようにノート・ルクスとの戦いに負け彼の下についた過去を持つ。