ダーク・ファンタジー小説
- Re: フォルトゥナさん、リ・スタート ( No.6 )
- 日時: 2019/10/20 18:30
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
爆発音が聞こえフォルトゥナは聞こえた方向に目を向ける。
「爆発…戦闘でしょうか。不安ですね、結構近かったように感じます」
白露も少し険しい表情で同じ方向を見つめている。遠くから感じるこの魔力…恐らくは
スコルである。
「白露、行ってみよう。多分スコルの事だし大丈夫だとは思うけど…」
「そうですね。気になる気持ちは分かります、行ってみましょう」
二人が移動し始めた頃、スコルは地面に着地し顔を上げる。目の前の大男、その巨体に
見合う怪力を持っていた。だが戦闘姿はまるで飢えた獣同然である。
「あまりこの辺りで大暴れしたくはない。既にフォルトゥナ殿に気付かれているだろう」
雄叫びを上げ大男がスコルとの距離を縮め拳を前に突き出す。同時にスコルも手に持つ
細剣を突き出す。だがどちらも寸前で止まった。その理由はフォルトゥナの声ともう一人
マスクをした女の声がしたから。
『あのごめんなさい。兄さん、もうやめて。この人たちに喧嘩を売りに来たわけじゃないよ』
マスクの女の声はエコーが掛かったような声だ。彼女は目の前の大男の妹らしい。
「スコル、は…大丈夫そうだね。お互い怪我が無くて良かった良かった」
「そうですねぇ…怪我があったとなればもっと大変な事になっていたでしょうに」
大男はフルフェイスマスク、女はハーフマスクで口元のみ隠している。
「あの何か事情があって来たんでしょ?良かったら教えてくれる?」
『私たちはフォルトゥナ・ルクスって子を「何をしているんですかイヴ」ッ!ユーフォンス』
金色の仮面をした厚着の男はマスクの女イヴに声を掛けた。同時に彼以外の数人の仮面集団が
現れた。金色の仮面の男もイヴの兄ぐらい背が高い。
「まさか自分で名乗ってくれるとは思いませんでしたよ。いやぁ本当に貴方が
フォルトゥナ・ルクスなんですか?少し残念ですよ…これから我らの教主のために生贄に
なってもらうんですから」
「どういう意味でしょうか?貴方たちの教主様に何かあったのですか?」
白露は聞いた。顔の上半分を仮面で覆った男ジュードは笑みを浮かべている。
「教えるつもりは無いですよ?あの人にはまだまだ生きてもらわなきゃ…そのために貴方の
命を使うだけですよ。ですがやはり話し合いではどうにもなりませんね」
ジュードは剣を構える。
