ダーク・ファンタジー小説
- Re: フォルトゥナさん、リ・スタート ( No.11 )
- 日時: 2019/10/27 12:14
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「クロム様クロム様!この資料は何処に置けばいいですか?」
本や資料などが入った段ボールを持ってきたエルフの少女メニシマはクロムの部屋にやってきた。
「そこに置いておいてくれ」
メニシマは頷いて段ボールを床に置いた。彼女は弓を使った後衛での戦いを得意とする。
今、この辺りで後衛での戦闘を得意とする者は少ない。
「あの人に挨拶はしたようだな」
「勿論です!本当にびっくりしましたノート様にそっくりで」
フォルトゥナは外に出た。
「丁度いいタイミングでしたね。こんにちはフォルトゥナさん」
金色の仮面をした厚着の男ユーフォンスである。彼は両手で籠を抱えていた。
「あのユーフォンス?その籠は…」
「これですか?これは教主様から貴方への礼の品ですよ」
「成程。そんな事、しなくていいのに」
突然、空が暗くなり驚いて二人は空を見上げギョッとした。大きな動物が落ちてくる。
このまま落ちれば大惨事だ。フォルトゥナは両手を伸ばし魔法を発動する。垂直抗力を
操り落ちてくるものをゆっくりと降ろした。
「これは…珍しい!この狼の肉はとても美味しいんですよ。滅多に遭遇しないし強敵なので
S級グルメだと言われているのですが珍しいですねぇ」
「あ、そんな凄いの?私にはよく分からないけど」
斬られた傷も見当たらないとすれば魔法などを使われたか、それとも…否、何かで殴って
殺したなんて考えたくも無いけど。狼の体がくの字に曲がり地面にめり込んだ。立ち上がって
降りてきたのは筋肉質な男だった。隻腕で折れた片角がある。その男はゆっくりとフォルトゥナの
前に歩み寄って来た。
「なんじゃ随分と小柄な奴じゃな。お前さん本当にノート・ルクスか?」
「小柄って…じゃなくて!私はフォルトゥナ・ルクスですけど!」
暫くキョトンとしていたが彼は大口を開けて豪快に笑い始めた。
「がっはっはっは!!!そうじゃった、そうじゃった!悪いのぅ、お前さんがそっくりで
勘違いしてたわい」
男は何度もフォルトゥナの右肩を叩いた。それでもノートの事を知っている辺り、前から
この辺りにいたと考えられる。そしてもう一つ、彼であるだろうと分かることがある。
「この狼を殺したのって…」
「鋭いのぅお前さん。コイツはお前さんへの…まぁプレゼントのようなものじゃ」