ダーク・ファンタジー小説
- Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.12 )
- 日時: 2019/11/10 08:05
- 名前: 祝福の仮面屋 (ID: jo2UR50i)
White/Fang代玖節
「君死ニタモウ事ナカレ」
〜廃墟 『Thunder・Volt』〜
「…着いたか」
「その様だね」
私達壁外遠征混合大隊代壱陣は東京…まぁ天津巫國壁外から旧埼玉県付近まで来ていた、廃墟『Thunder・Volt』…かつて地盤沈下により現れた巨大な磁鉄鉱が、中の今なお稼働しているリアクターに反応して特殊な電波が発生している国家公認代壱立入禁止区域だ、私達の着ているデルタスーツはこう言った有害物質を悉くシャットアウトする性能なんだとか。
「ここがThunder・Volt…」
「数年前と随分様変わりしましたね」
「あぁ、ここはかなり酷いな…」
私や四堂の様な隊長格ですら、この世に生を受けたのはあの大災害の後だ、当時に比べるとまだマシな状況なんだろうが惨状には変わりはないだろう。
「四堂、ここに拠点を構えるかい?」
「そうだな…ここより先に進んでも良い場所は見つからんだろう、よし、ここに拠点を構えるぞ!」
「(…全く、用心深い癖に決断は早いんだから憎めないよねぇ君は)」
声を聞いた防衛班が拠点設営の準備を始める、少人数(と言っても遠征隊で2番目に班員が多いが)でありながら着々と、それであり次々と拠点が設営されて行く、流石はWhite/Fangで訓練された部隊だなと思う。
「よし、僕達も手伝いをしようか、佐之くん、君は設営を手伝ってくれるかい?」
「了解」
「赤城ちゃんは武器の搬入」
「はいはい」
「新くんは補給班の所へ」
「分かりました」
「三葉ちゃんは衛生班の手伝いを」
「はい!」
私は部下達に命令を下す、すると四堂から声を掛けられた。
「なんだい?」
「お前中々良い演説だったじゃないか、結構ビクつくもんかと思ってたが結構ノリノリでやってたな」
「その話はよしてくれよ…」
どうやら彼は私の演説を高く買ってくれたらしい、正直三つも言う事無かったよな…と思うが良かったのなら良かったのだろう、そう思っていると防衛班班長から拠点設営完了の報せが来た。
「一ノ瀬隊長、四堂殿!拠点設営完了いたしました!」
「ん、ご苦労様」
「よくやった、後で褒美をやろう」
おいおい四堂、いつの時代の将軍だいそれは?
「いえ、本官は結構です、寧ろ一ノ瀬小隊の佐之助という男に…」
「あ〜、佐之くん変な事しちゃった?」
「いえとんでもない!彼のお陰で作業がとても捗りましたよ!」
どうやら佐之くんはかなり活躍したらしい、後でご褒美あげないと。
「夜か…」
「夜だね…、そろそろ夕食と行こうか?本格的な遠征は明日からにしよう。」
「そうだな…、よしお前ら!飯だ!」
「やっと終わった〜」
「飯だ飯ィ!」
「く〜っ!疲れた〜!」
「それよりお風呂入って良いですか!?」
「お腹すいた〜!」
様々な声が聞こえる、食事を喜ぶ者、互いを労う者、風呂に入って良いか質問する者など、明日からは私達殲滅班程ではないがある程度の戦闘は出来る防衛班に拠点の防衛を任せ、衛生班と補給班から二人ずつ拝借して本格的な遠征を始める。
「カレーだ!」
「よっしゃあ!」
「美味しい!」
「あっつ!はふはふ…」
「あ!それアタシのコンソメスープ!」
「へっ、遅えのが悪いんだよ!」
佐之くんと赤城ちゃんは仲悪いのかな?明日に支障が出なければ良いけど…
もう深夜だ、食事と入浴を終えた各隊員及び班員達はぐっすりと寝ている、全身疲労だからしっかりと睡眠を取れば楽になるだろう。
「一ノ瀬、遂に明日だな」
「あぁ、明日から六日間はここで寝泊まりだ」
「今日含め七日だな」
「違いない…フハハッ」
「クカカカカッ」
私達は珍しく笑い合った、いつ以来だろう…大笑いとは行かずとも笑いが漏れるなんて。そして私達は結局寝て明日を迎えた。
〜翌日〜
「補給班並びに衛生班から二人ずつ付いて来い、今日から遠征開始だ!拠点の全権利は防衛班に任せる!」
「了解です!」
「成る可く独裁にならないようにね、僕達は午後になるまで帰って来れないから、頼んだよ」
そう告げて私達は装甲車両へ乗り込んだ、車両は悪路を駆け抜ける、巨大な廃墟を目指して…
「着いたな」
「よし、みんなここで降りよう一ノ瀬小隊は僕の所、四堂小隊の皆は四堂の所へ」
各隊の隊員達が隊長の元へ集まる、さぁ、遠征開始だ。
「武装!」
「完璧です」
「ライト!」
「問題ねぇ」
「よし!行くぞ!」
私達は廃墟へと足を踏み入れる、自ら捕食者の口の中へと入って行く様に…
〜『Thunder・Volt』内部〜
「ここがThunder・Volt…」
「元々はなんかの建設中の建物か?」
佐之くんはこういう時に鋭い事を言う、その通りここは元々戦後の保存工事中だったらしい、こんな大きい建物は維持費だけでも大変だろうにかつての日本はよくやったものだ。
「隊長!何か居ます!」
四堂小隊の隊員の一人が叫ぶ、妖だろうか、クラスは恐らくC-4、C-6以上ならこの建物が壊れるだろう。
「全体撃ち方用意!」
ジャカッ!と隊員達のカービンライフルが構えられる
「撃ち方始め!」
「撃てェェェ!」
四堂と副隊長と思しき人物が叫び、四堂小隊がカービンライフルを妖にぶっ放す、50m口径の弾丸は余す事なく放たれ妖に殺到する…
「な!?」
筈だったのだが、妖がゲル状に変化して攻撃を全てやり過ごしたのだ、まずい
「四堂!どうすれば良い!?」
「近接戦闘は俺達専用装備持ちがやる!お前らは後方支援だ!」
「了解!」
「三葉ちゃん!君もレギオンで後方支援だ!」
「了解!」
私達は腕輪を構える、すると腕輪の一部が変形し、レギオンのコアを囲んだリングが放たれ…人類の切り札、レギオンが姿を現した。
「よし!」
「行けェ!」
各々のレギオンを放つ、レギオンはパートナー毎の特徴に合わせたチューンが施されており、例えば
「うおおおおおっ!」
新くんが蛇の様なレギオンを大剣に変形させ大鎌との変則二刀流で妖の群れを一掃し、
「行くぜ、装身《アンペイル》ッ!」
佐之くんがレギオンを鎧の様に纏いボス格の妖と肉弾戦を始める。この様にレギオンにはレギオン毎に違う特殊能力を秘めている、佐之くんや新くんのレギオンは装身型と呼ばれている。
「じゃあ、行こうか!」
ダッ!と赤城ちゃんは壁を駆け抜ける、逆側を駆けるは両腕に双剣を装備したレギオン、私と赤城ちゃんの様にそれぞれ独立して行動するレギオンは独立型と区分されている。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
斬ッ!と妖を斬りつけるは彼女用に作られた専用装備「粒子加速式忍刀『ムラクモ』」、柄のトリガーを押す事で特殊粒子を刀身に纏わせ斬れ味を激増させる、忍術を得意とする彼女に合わせた装備だ。
「私も、見てるだけではだめだな…」
私もレギオンを放つ、私とレギオンが持つ得物は巨大な斧、私の専用装備「漆式大型変形斧『オシリス』」だ。斧とハルバードに変形する様に造られているこれは圧倒的な破壊力を誇る!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「伊藤!」
「チッ!頼んだ!」
四堂もレギオンを顕現させる、翼の生えた女性の様な肢体のそれは、ゲルに包まれた四堂小隊の隊員達を引きずり上げた。
「ナイスアシスト!」
三葉ちゃんが残りのゲルを撃つ、銃剣型の専用装備「狙撃式大型銃剣『アズサ』」はレールガンと摩擦操作技術を応用する事で長射程レールガンと言っても過言ではない、彼女のレギオンは両腕に弓を装備しており後方支援を得意とかする、彼女や四堂のレギオンは支援型と格付けされている。そうこうしている内に遂に親玉の妖の弱点が露出した。
「私に任せてくれ!」
私はレギオンに命令し、特殊行動を取らせる、独立型のレギオンは『干渉』と呼ばれる特殊能力を備えている、赤城ちゃんのレギオンはエネルギーの流れを切断、私のレギオンはエネルギーの塊を爆破する事が出来る!
「チェックメイトだ!」
圖怒尾尾音ッ!爆発音を鳴らし妖のコアが爆散する寸前に鹵獲される、鹵獲された妖のコアはレギオンの精製に使われるのだ。
「今回は、この位か?」
「そうだね、もう四時だし戻った方がいいだろう。」
私達の遠征は終わった、だが…あと四日間はこれが続く、まだ…現れない…
報告書
遭遇した妖「特殊型」
数 15
目立った収穫 なし
調査達成率 5%
次回White/Fang代拾節
「それでも私は戦いたい」
拾伍節位で新章突入と同時に新作出します