ダーク・ファンタジー小説
- Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.14 )
- 日時: 2019/11/10 08:58
- 名前: 祝福の仮面屋 (ID: jo2UR50i)
White/Fang代壱点零伍節
「束の間の夢(閲覧数100到達記念)」
『食』…それは人の呼吸に並ぶ生きる上で最もと言っていい程大切な行為である、だがしかし人は常に美味を求める者、味より量を求める者、粗食を謳う者など千差万別。これは、私の誕生日サプライズに私の部下達が送ってくれた真心の話。
「そういや隊長」
「どうしたんだい?佐之くん」
「今日ってアンタの誕生日だったよな」
今日は4月1日、確かに彼の言う通り私の誕生日だ、だが何故彼は唐突にその話を?
「あぁ、そうだが何かあったかい?」
「いや、サプライズでも送ろうかと思ってよ」
マジかこの子優しすぎるだろ、今まで誰も祝ったり話題に出さなかったのに…、しかもサプライズ付きなんて物だから彼にとんでもない父性を感じる。
「隊長は何が食いたい?可能な限りなら俺が調達するぜ」
「いや、気持ちだけ貰っておこう、この歳になってまで祝ってもらうのは少々恥ずかしくてね」
「いえ、今年くらいは祝わせていただきますよ、貴方には拒否権は無いのと同じです。」
鹿島くん…!君そんな熱い奴だったか…!
「隊長には日頃お世話になってますし、たまには苦労を労わせて下さいよ!」
三葉ちゃんも言ってくる
「全部合理的に終わらせてやる」
赤城ちゃんもこんな時には協力的なんだよなぁ…よし、ならば最高のサプライズを用意して貰おうでは無いか
「なら、つい先程天津巫國郊外にて巨大なイノシシが発見されたらしい、特殊任務だ!一般市民に危害を加える前にそのイノシシを討伐せよ!」
「「「了解!」」」
さあ、見せて貰おうか、君達一ノ瀬小隊の実力とやらを!
〜鹿島Side〜
「ふむ、今回は猪の討伐か…」
「レギオン使用許可」
「いや、猪のサイズによるな、C-1からC-5までなら俺達だけで何とかなる、C-6クラスならレギオン使用許可」
「分かった」
「さてと、隊長の為にも市民の為にも頑張りますか!」
俺達は山へ出向く、待っていろ猪よ…貴様のその肉、我々の血肉として受け入れてくれよう!
〜天津郊外 とある山奥〜
捜査を始めてかれこれ2時間、午前9時に出発した為現在は午前11時だ、何の皮肉か全く見つかる気配がない。
「クソッ、一旦作戦を練り直すか…!?」
「いや、副隊長!あれを見てみろ!」
「なっ、あれは…!」
佐之助に言われた方角を見てみると、巨大な穴があった、恐らくあの猪の巣穴だろうか。
「あそこに火力を極限まで抑えた発破を打ち込む、出て来た瞬間に叩き潰せ」
「了解!」
「分かった!」
「ん」
俺は発破を投げ入れる、そして数秒後にパァンッ!と小さな爆発音を出して、その音に驚いた猪が出て来たのだが
「な、何ィ!?」
「これはデカすぎだろぉぉぉ!」
そう、その猪はめちゃくちゃデカかった唯でさえ猪は最大70kgの岩石を動かすブルドーザー並みの膂力を持っている、こんな巨体なら70kgじゃ済まないだろうし人里に降りたら甚大な被害を被るかも知れない。
「緊急事態だ!暫定クラスはC-9!レギオン使用許可!」
「待ってたぜェ、この時をなァ!」
「隊長と市民の為に、心臓を捧げよ!」
「ヒャッハァァァァァァァァァ!」
各隊員が各々のレギオンを召喚しながら奇妙奇天烈な事を叫びまくってる、このカオスな状況の中で一番最初に動いたのは佐之助だった。
「力仕事は俺の出番だ!」
ガッ!とレギオンを装身し持てる全ての力を持って猪の突進を食い止める、180cm超えの巨体もありさながら某一狩り行くゲームを思い出した。
「くぉ…!コイツ、力強ぇ…!」
だが猪も負けておらず、力自慢の彼に優勢に立っている
「氷室さん!援護頼む!」
「言われなくても!」
三葉の専用装備とレギオンによる援護が始まるが、周囲の自然を破壊しない様に威力を抑えている為牽制程度の威力しかないが、足止めには十分!
「佐之!そのまま抑えておけ!」
「オーライ!」
「雨宮、一気に行くぞ」
「うぃ」
俺と雨宮はレギオンを召喚、トドメを刺しに行くが
「ブィーーーーーィィィッ!」
「うおわっ!」
「きゃあっ!」
「佐之!氷室!」
佐之助と氷室が吹き飛ばされる
「(まずいなこれは、そうだ!)」
「雨宮」
「はい?」
「お前のレギオンの干渉であの猪の動きを止める事は出来るか?」
雨宮のレギオン『双刃』は、両腕の双剣で干渉する事によりエネルギーの流れを切断する事が出来る、一か八かの勝負だがこれに賭けるしかない!
「やってみます、失敗しても文句はなしで」
「少し止めるだけでいい、後は俺が片付ける」
「『斬・撃』!」
「ブィィィ…」
猪が倒れ込む、その隙を易々見逃してやる程俺は甘くないぞ!
「良くやった雨宮!うおおおおおおおおおおおおおお!」
レギオンを変形させ、大鎌と共に袈裟懸けの姿勢に入る、遠心力と体重を込めたそれは巨大猪の体をザックリと抉った。
「討滅…完了!」
終わった…俺達の戦いは…、これでまた、人々が救われたのだ
「でもよ副隊長」
「どうした?佐之」
「この猪どう持ち帰る?」
「あ」
「あ」
「あ」
そこまでは考えてなかった、ごめん佐之、疲れてるだろうけど持ってって!
一先ず街へ帰って来た俺達は、戦利品として得た猪肉や採集して来た山菜の一部をショッピングモールや卸売業に渡した、これで暫くは食材(主に肉と野菜)には困らないだろう。
「隊長、ただ今帰りました」
「お帰り、話は聞かせて貰ったよ、無事討伐出来たみたいだね」
「はい、全体的に誰が一番仕事したかではなく、我々のチームワークが発揮されたと思います。」
「うん、チームワークが大切ってのは赤城ちゃんも分かってくれれば良いけどね、新くん、後で一緒にどうだい?」
「………はい、喜んで」
〜一ノ瀬Side〜
どうやら佐之助くんと赤城ちゃんの提案で、この猪肉のステーキが私へのサプライズらしい、私としては彼等がチームワークの大切さを実感してくれるのが一番のサプライズだが、一石二鳥という事だ。
「ん!これは美味しいね」
「当然!俺がより腕をかけて作ったからな!」
「佐之助は女子力高いよね、本当に」
「氷室、お前が低すぎるだけだな」
「何よそれ!」
「隊長が嬉しいならそれで良いじゃん」
全く…、彼等も良い感じに育って来てるじゃないか、これからが楽しみだな。
〜翌日〜
「テメェ赤城!それ俺の獲物だぞ!」
「遅いのが悪い」
「新!何で私の狙撃の邪魔すんの!?いつもいつも射線上に入って来て!」
「な、俺が戦ってた所にお前が横槍挟んでくるだけだろうが…」
「はぁー!?何よそれ!」
「ハァ………」
うん、彼等が本当のチームワークを発揮するのはまだまだ先だろうな…
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