ダーク・ファンタジー小説

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.18 )
日時: 2019/11/13 06:18
名前: 祝福の仮面屋 (ID: kNmNzfjC)

White/Fang代拾弐節
「我ら其れを端から笑う阿呆」
今回久方ぶりに過激グロ要素くるかも






『ぎゃああああああああああああああっ!』
『首尾は?』
『順調ですが、実験体577に外見的変化は未だに見られません』
『成る程な、薬を投与しろ』
『ですが…もう投与限界値を超えて…』
『やれ』
『…はっ』
『嫌だ!化け物になんかなりたくない!お兄ちゃん助けて!お兄ちゃん!お兄ちゃ"ぁあ"ぁ"ぁあ"ぁ"ああ"ぁあ"ん!』
グジュッ、グジュッ、と彼女の…Chloeと呼ばれる少女の左腕が縦に裂けながら金属質へと変化していく、私達は壁外遠征から予定の一週間より少し早く東楼へ帰還していた、何の成果も得られなかったのか?否、我々は大き過ぎる成果を得たと言っても過言ではない。
「これがウチの…政府の研究データらしい」
「随分と悪趣味な事をするな」
「おいおい、やってるのは政府だぜ?」
「お前の所属しているCADも我々White/Fangと同様に政府直轄の極秘部隊だろう?」
先程のムービーが映されていたタブレット端末の電源を切ったのはセントブリーズ(旧仏)の極秘部隊「Chasse aux demons」通称『魔獣狩り』の科学班長Abel・Blanc氏だ、Abel氏は私達White/Fangの量子操作技術を取引材料に、セントブリーズにて行われている実験の一部を見せて貰ったが…
「明らかに非人道この上ない実験だな」
「落ち着けよ三島、ここで取引終了になっちまったら何も打つ手がなくなっちまう。」
「ま、二伊隊長の判断が賢明だな、だが俺は何も取引したいってのもあるが何よりも北方連合やユニオンを相手にしなくちゃならなくなるだろうアンタらを思ってやってるだぜ?」
Abel氏が言ってるのは最もで、どうやら近い内にユニオン、ブリタニア、北方連合によって始まる戦争にレギオンの技術が使われるらしい、現在レギオンを使役出来るのは天津とSBの二ヶ国のみだ。
「まぁ話を戻すんだが、このChloeって少女はそこのMr.四堂が若手時代に手に入れた名簿に名前が載っていたんだろう?」
「あぁ載っていた、ユニオン、ブリタニア、北方連合の子供の名前もな」
「男3人女3人、それもその内の2人はWhite/Fang一ノ瀬小隊で現役軍活中…と」
二伊、婚活みたいなノリで言うのやめようか
「とは言えAbel氏」
「何だいMr.東」
「貴公はユニオン、ブリタニア、北方連合の子供達と会った事はありますか?」
「無いな、少なくともブリタニアに友人はいたがそれだけだ、めぼしい情報は期待しない方がいいぜ。」
「…その…ブリタニアの人…、貴方と…同じ…?」
めちゃくちゃ、本当にめちゃくちゃ珍しく五河隊長が口を開いた、明日槍でも降るのか?
「どう言う事だ?Mrs.五河」
「Abel…さんは、その人の…連作先…知ってる?」
「いや、生憎だがそいつは何も話して…まさか!」
「その…まさか…」
どうやら話の核心に近づいて来たらしい、各隊の隊長達はそれぞれ顔を見合わせた。
「司令」
「あぁ、Abel氏と五河隊長が言ったようにブリタニアにいるAbel氏の友人も我々と同じ特殊部隊の人間として考えていい、彼等に近づければ妖やこの世の真実がある程度分かる筈だ。」
次も私達一ノ瀬に任務が来るだろう、おそらくは要人…Abel氏の警護、要人警護こエキスパートとして二伊小隊も来る筈だ。
「一ノ瀬、お前達にばかりすまないが次は要人警護だ、受けてくれるか?」
「勿論です」
ほら来た、だが私達が受けるとなると当然二伊も…
「二伊、お前も付いてやれ」
「了解〜♪」
やっぱり付いてくる、この辺りは流石二伊と言うべきか、私はこれまで彼が与えられた任務を拒否する所を見た事がなかった。
「よし、じゃあ各隊の打ち合わせはしておけ、解散!」



「二伊」
「あぁ、打ち合わせは昼飯終わったからな」
私達は現在食堂に来ていた、White/Fangの食事はバイキング、自分で好きな物をとり好きなだけ喰らう事が出来るが、元々少食な私はあまり食べない…二伊はその逆だが。
「くぅ〜っ!やっぱここのカレーは最っ高だな!」
「あまり食べない私に言われても困るかな」
「何だよしっかり食えよ〜、大きくなれないぞ!?」
「いやもう背は伸びなくて良いし…」
「ま、後で小会議室借りとくからそこで打ち合わせと行こうぜ」
「分かった、後で会おう」
そう言って二伊は食器を片付けて小会議室へ向かった、私もそろそろ行こうか、私も食器を片付け部下達にこの事を知らせに行こうと廊下を歩いていると…
「赤城ちゃん…」
「静流で良いです、どっちにしろお爺ちゃんが名前を変えろと言っていたのは一般人として生きる選択、お爺ちゃんの思惑通り忍になった今は名を変える必要性がありませんから」
「そっか…」
どうやら彼女の中で何かが吹っ切れたらしい、今の彼女はもう過去の怨念に囚われる事は無いだろう、なにより笑顔の可愛い美少女のそれだ…いやいや、私は何を言っているんだか
「そう言えば静流ちゃん」
「午後14時から小会議室ですよね、分かります」
「あぁ、うん…そうだけど何で知ってるの?」
「レギオンって便利ですよね」
成る程レギオンに盗み聞きさせたか、吹っ切れたと同時に狡賢さも彼女は手に入れたらしい、私は近々自分の胃に穴が開く予感がした。
「前はそんなじゃなかったのに…」
「えへへ〜♪」
「褒めてないけどね、とりあえず連絡網で回しておこうか、彼等は知らないだろうし」
今は自由行動時間だ、隊舎の各々の部屋の物資の買い込みや外出が許可されている。







〜佐之助Side〜
「着いたか…」
今、俺は暇潰しに東楼の娯楽街の路地裏へ来ている、何が目的かって?そりゃあ
「よぉ、元気にしてたか?」
「な〜ご」
「にゃ〜」
「みゃ〜ん」
猫達である、コイツらは路地裏に集まった野良猫達で、この5番路地は『猫の集会所』、『路地裏の猫カフェ』、『猫団地』などと呼ばれ意外と見に来る奴らが多い。無論俺もその1人なのだが…
「よ〜しよし、いつもの買って来てやったからな〜」
俺は猫缶を出す、俺は基本物欲が無いから貰った給料等は殆ど募金や寄付に回しちまう、隊長や司令には『たまには自分の為に使え』って良く言われるがこれが俺の生き様だ…
「ん?」
…と思っていたのだが、何処かから叫び声が聞こえる、数はおそらく6で1人が逃げてて5人が追いかけてる。
「良くねえなぁ、そう言うのはよ」
俺は路地裏を飛び出す。



「Что вы,ребята!?」
「ちょっと待ってよ姉ちゃんよぉ!」
「俺らと遊びに行こうぜぇ」
「マジで気持ち良くなれるって〜!」
「Кто-нибудь,пожалуйста помогаите!」
「見つけた…!」
俺は逃げている少女と追っている男達を見つける、見つけたなら後は簡単だ…全速力で捕まえに行く!
「マジ待ってって!」
「んのアマ…良い加減に…!」



「うおああああ!」
「何だ!?」
「何だコイツ…ボハァ!」
「そこォ…どけやダボがぁぁぁぁぁ!」
「「「いやマジで何だありゃあ!?」」」
俺は追う、誰を?男共を、取り巻きどもを吹き飛ばしながら前傾姿勢で走り抜ける!
ギュンッ!とすぐに追われていた少女と追っていた男達の間に入る、周囲の市民はまるでヒーローショーでも見るような顔だ。
「誰だテメェ!」
「何だ?正義の味方かぁ?アァ!?」
「調子乗ってっとッコロスゾラァ!」
やはりチンピラはチンピラだ、ちょっと油を注いでやれば勝手に燃える、まるで少しの衝撃で爆発するニトログリセリンだな。
「俺は…正義の味方?いや違うな…あ、俺ぁ何なんだ?」
「「「知るかああああああああ!」」」
チンピラどもの息の合ったツッコミが入る、もしかしたら俺達漫才いけんじゃね?
「訳分からねえ事抜かしやがって…!テメェら、やっちまえぇぇぇ!」
「死ねオラァ!」
1人が拳を振るう、チンピラの攻撃は単純かつ単調だ、ちょっと体を動かせば余裕で回避出来るし…
「甘い!」
「グハッ!」
カウンターを決める事だって造作もない!
「なっ!野郎…」
「テメェェェ!」
「また脳無しに突っ込んで…うわ!ガム吐きやがった!汚ねえ!」
何と目潰しを使って来た、地下格時代でも目潰しやって来る奴はいなかったぞこの野郎!
「小賢しい!」
「プギャッ!」
アッパーを叩き込んでやったら舌を噛んで気絶しやがった、ざまあみやがれ、ガムを吐き捨てるからだ罰当たりめ。残るは1人
「で?どうする、お前もやるか?」
「フッ、ハハハハハ!」
突然男が笑い出した、何だ?プッツンしちゃったか?
「何が可笑しい?」
「テメェ、拳一つで勝てると思うなよ?」
男が出した物…それは、拳銃だ
「うわあああああああ!」
「警察、警察呼べ!」
「おい嘘だろ!?兄ちゃん死んじまうぞ!?」
周りの民衆は叫ぶ、そりゃそうだ近くの人間がいきなり拳銃を出したのだから、だが俺はその程度では怯まない。
「落ち着けェッ!」
一喝して騒ぎを収める、民衆の騒ぎが収まり俺の方に視線が向く。
「その銃、本物だな?銃刀法違反だ、今下ろせば殺人も加わらなくて済むぞ」
「はっ!テメェを殺す為ならムショに入ろうが知ったこっちゃねぇよ!」
男は本気だ、おそらく何を言ってももう無駄だろう、ならば、こちらも相応の本気を出すまでよ…!
「(ちょっと重大事件に巻き込まれちゃったんで許してくれよ?)」
レギオンを解放する、レギオンは一般市民…というかレギオンの保有許可を得た物にしか見えない、俺はレギオンをそっと纏う。
「なら撃てば良い、その後の人生を全て棒に振る事にがな」
「今更命乞いか?」
「否だ」
「そうかい」
パァンッ!と銃声が響き渡り、チンピラの放った弾丸が俺の胸を貫く
「きゃあああああああああああ!」
「はっ、俺に楯突くからそうなんだ…何!?」
筈だった、そう、倒れなかったのだ、目の前の俺に撃たれたはずの男は悠然と俺の懐まで来ていて…
「罪状、銃刀法違反に殺人未遂の追加だ…豚箱ん中で永遠に後悔するんだな」
「ヒ、ヒィッ!まっ待ってくれ!やめてくれ!分かった反省する!反省するから!」
「もう…遅え!」
ドッゴォォォォォンッ!と豪快な音を立てて俺を撃ったチンピラが吹き飛ぶ、そして周囲からは歓声と拍手の嵐が鳴り響いた。
「すげぇぞ兄ちゃん!」
「銃持った奴に勝ちやがった!」
「格好いい!」
その周囲の完成を尻目に俺は少女の元へ歩み寄る、セミロングで銀髪ブロンドの、まるで人形のような少女だった。
「大丈夫か?アンタ…名は?」
「Спасибо,меня зовут Ирина・Азимов」
「「「「「!?」」」」」
俺と民衆は呆然とする、まさかロシア人だったとは…
「すまねぇ、ロシア語はさっぱりなんだ」
まぁ、保護すれば良いかな、そう思っていると不意にスマホが鳴り響いた。
「あ!すんません!ちょっと会社の方からのメールでして…」
メールを見る
『佐之助、今どこにいる?』
「(ヤッベぇぇぇぇぇ!副隊長だ!しかもキレてる!やべえってどうしよう!)」
副隊長がキレるって相当だぞおい、しょうがねぇ、この少女拾ってくか。









どうやら打ち合わせがあったらしく、遅れた俺は別室でめちゃくちゃ怒られた。











次回White/Fang代拾参節
「僕は昇りまた堕ちて行く」

ロシア人の少女、イリーナ登場、名簿に記載されていた人物は後3人です。
(クロエに関しては名は同じだが本人ではない)
最近描いてて思ったんですが、この作品主人公いなくない?
そして久々の佐之助回、近々好きなキャラに投票してもらおうかしら
そしてコードネームと仮面は主に1人の任務の際に使用されます、わ、忘れてたわけじゃないからね!