ダーク・ファンタジー小説
- Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.20 )
- 日時: 2019/11/11 19:01
- 名前: 祝福の仮面屋 (ID: Z.5JjKPv)
White/Fang代拾肆節
「殺人鬼も聖者も凡人も」
『嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!』
『クソォッ…クソォ!』
『ぐあああああああ!』
聴こえる、破滅の歌が、澄んだ美しくも醜くて悲しい歌声は私達を包み込む。嫌だ、死にたくない、その儚い希望も叶わぬまま、幾千もの槍が私の体から生え出る瞬間…
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私は目を覚ました、最初に飛び込んで来たのは恐ろしい程の白、どうやら医務室に運び込まれたらしい。
「目が覚めたかい?」
「はぁ…はぁ…貴方は…?」
「かなり魘されてたけど大丈夫?私は青原 霞、White/Fangの専属医を務めさせて貰ってる」
どうやら彼女は専属医らしい、どうりで私のベッドの隣から色んな人の呻き声が聞こえてくる訳だ、私が生きてるなら隊長達も…
「霞さん、私達…一回死んだ筈では?」
「あぁ、確かに君達は一度死んだ」
では何故、私達は今生きているのだろうか?その答えはすぐに解った。
「君達が死ぬ瞬間にレギオン達が盾となったらしくてね、ダメージの多くはレギオンに行っている、故にレギオンは暫く使い物にならないし呼び出せたとしても一瞬だ。だがレギオンは流石だね、主人を守る為に自らの身を犠牲にして損傷した身体を自分達で補うのだから。」
どうやら、私達はレギオンのおかげで生きているらしい、ありがとう、そしてごめん…。
「じゃあ、レギオンを保有していなかった二伊小隊の皆さんは…」
「勿論あらかた死んだな、くそッ、また編成し直しじゃねーか…」
「二伊さん!無事だったんですか!?」
「あぁ、何とかな」
彼は無事だが、彼と副隊長を除く隊員は悉く死亡したらしい、それ故に彼はまた編成し直しだとか色々ブツブツ言っている。だがAbel氏は?彼の生死はどうなった?
「あの…」
「ん?」
「Abel氏は…?」
「あぁ、彼なら生きてるさ、飯島!」
彼は自分の小隊の副隊長を呼ぶ、眼鏡を掛けた知的な男性だった、私の副隊長は渋いおじさん的なイメージあったけど彼も彼で相当だ。
「貴方が…」
「二伊小隊副隊長、飯島 晴矢です、彼は私のレギオンの内部へ入る事で、死を免れたと言っても良いでしょう」
どうやら彼も死んではいるらしい、だがレギオンによって辛うじて生き延びる事が出来た、そう言った所だろう。
「そう言えば佐之は…?」
私は本来聞いてはならない事を聞いた、知っておきたかった、佐之は今どうなっているのか。
「佐之くんは…残念ながら連れて行かれてしまったよ」
「隊長!」
「一ノ瀬、体は大丈夫なのか?」
確かに隊長の損傷が一番酷かった筈だ、そんなものも数時間で治すレギオンの治癒力に今更ながら恐怖する、それでありながら隊長は話を続けた。
「彼女…Ирина・Азимовは、歌で人を殺す能力を持っている、彼女に長期戦は無謀だろう。なら我々に出来る事は一つ」
「短期決戦で叩き潰す…か」
「そういう事だ、我々も覚悟を決めなければならない、レイヴンの計画を、世界の戦争を止めなければならない。」
「ですけど…、現状使えるレギオンは三島隊長のを除いて全て非・戦闘型の個体です、とても彼女と渡り合えるとは…」
そうだ、確かに彼女は不意打ちとは言えレギオンを出すは暇を与えない程、一方的に私達を蹂躙した。戦闘用がいながらこの結果では、非・戦闘用の個体で言っても結果は目に見えている…
「その心配はない」
はずだった、その声の主は
「司令!」
「総力戦となるなら私のレギオンも出そう、君達の様に応用性こそないが戦闘に特化している、汎用性を重視した君達のレギオン以上の戦力になるだろう。」
東 総二郎、White/Fang最強の男、彼のレギオンは現状の技術では不可能なC-8の個体を使っていると噂されているが、真実は語って貰えまい。だが私達も着々と進めている、鴉と、世界と、全てを敵に回す覚悟を。
〜レイヴン 本拠地〜
「ねぇ聞いた?カンヘル」
「ん、おぉ…何をだ?カミラ」
俺はカミラに聞く、大体聞いてなかったがWhite/Fangが全滅したんだったか、まぁそれは明らかなデマだろう、狼はその程度で滅ばない事は知っている。
「もう!大体聞いてないでしょ?」
「解ってるじゃねぇか、それが俺だ」
カミラは心底不満そうな顔をする、そんな顔するなよ、余計可愛がってやりたくなるじゃねぇか。
「ホントしっかりしてよね、レイヴンリーダーにして葛城家の当主…『葛城 真一』くん」
「あぁ、楽しみにしてるぜ…愛しの娘がどこまで人間を辞められるか…ククッ、ッハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
俺は声を上げながら笑う、久方振りに笑った気がするがどうでもいいや。
「さぁ早く悪まで堕ちてこい、可愛い娘よ」
次回White/Fang最終節
「めくるめくのEveryDay」
第壱幕は次回で終了、そして遂に静流の父、葛城 真一登場。
今回はかなり短かったけど元々負けイベの後日談をそんな長く書く必要はないのでね。
(それが俺のスタイルです)