ダーク・ファンタジー小説

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.23 )
日時: 2019/11/26 20:33
名前: 祝福の仮面屋 (ID: uI3hDTJ6)

『Training Protocol、開始します』

女性っぽい合成音の合図と共に数体のホログラムエネミーが現れる、ここは日本の誇る大企業会社【東柄重工】の地下にある特設トレーニングルームだ、ナイフを持ったホログラムのチンピラ達が現れる。
チンピラ達はナイフを持って突っ込んで来た、考え無しに来る単調な攻撃だが油断してはならない。

「よっ!」

少女がバックステップで距離を取る、するとそこには、上から奇襲を仕掛けて来たチンピラがナイフを地面に突き立てて居た。
ホログラム故、チンピラ達が何を考えているかは分からない、もう一人のチンピラがその奇襲に続く様に蹴りを放って来た。

「これでも喰らってろ!」

腰の忍刀を抜き放ちチンピラのナイフをへし折る。
【葛城流忍術 天の型伍式】
《葬撃》
相手に与えた衝撃が逃げ切らない内に、更なる衝撃を与える事で余す事なく全ての衝撃を相手に叩き込む、殺傷力に秀でた技だ。
余す事なく伝わった衝撃により、ホログラムのチンピラが一人消え去る。
そしてもう一人のチンピラは拳銃を持っており少女目掛けて発砲、弾丸が彼女の胸を貫く

「残念でした♪」

筈だった。
【葛城流忍術 海の型弐式】
《空蝉》
いわゆる変わり身の術により、彼女を貫く筈だった銃弾は空を切る、そしてチンピラのつま先を踏んだ少女が拳を鳩尾に打ち込む。

「セイッ!」

【葛城流忍術 天の型拾漆式】
《染頸燐》
寸勁の技術を応用した拳打が、チンピラを地に伏すと同時に、『トレーニング終了、お疲れ様でした』とアナウンスが入る。
少女はトレーニングルームから退室し、ベンチに置いてあるスポーツ飲料を喉に流し込む。

「ん〜!やっぱり運動した後の水分は格別だね!」
「少しハイテンションなところ悪いが、一ノ瀬隊長からお呼び出しだ、行くぞ静流」
「あ、すぐ行きます!」

彼女の名は葛城 静流、今を生きる忍者の末裔であり、國の守護者たる狼《White/Fang》の一員である。



代弐幕 【牙狼決戦編】
代壱節
『どれだけ背丈が変わろうとも』







「えっと隊長、私を呼んだ理由とは?」
「来たね、君を呼んだのは少し用があるからなんだ」
「いや用があるから呼んだんですよね?」

などと他愛無い冗談を言うと隊長…一ノ瀬 燈矢は「確かにね」と、真に受けてしまった。
そう言えばこの人、冗談通じなかったなと改めて思い知る。
すると、ドアがノックされる音と共に女性の声が入って来る。

「三島だ。一ノ瀬、入るぞ?」
「あぁ、構わないよ」
「そうか、では失礼する」

ガチャリ、扉が開く音と共に入って来た女性ははっきり言って美人だった、翡翠色の後ろに結われた長い髪、見る者を畏怖させると同時に見惚れさせる魅力を持った眼光、お姉様系の美女が入って来た。
するとその美女が、こちらを品定めする様に眺めて来た、正直ドギマギする。

「君が、葛城 静流だな?White/Fang三島小隊隊長、三島 朝霞だ。宜しく頼むよ」
「は、はい!White/Fang一ノ瀬小隊所属、葛城 静流であります!」

美女な上に隊長だった為、緊張故に少し硬くなってしまった自分を恥じる、アイツがいたら少しフォロー入れてくれたんだろうな…。
すると朝霞隊長は

「どうした?」

彼女が体調を崩したのでは無いか?と心配した朝霞は、静流の顔に手をやった。
朝霞的には、彼女に熱がないか調べるつもりだったのだろうが、緊張していた静流は無論さらに赤面する。

「だ、大丈夫か!?」
「だ、だいじょぶでふ…」
「大丈夫じゃないだろう!?今すぐ医務室へ行こう!そうすれば少しは…」
「恐らく、君のその容姿に緊張しちゃったんだろうね」
「そ、そうなのか?」
「ひゃい…」

「熱は無かったか、良かった…」と安堵の息を吐く朝霞、静流の燈矢が言うには『武神』と呼ばれる程に冷徹だと聞かされた静流だが、正直疑っている。
そして安堵したせいなのか、それとも静流を嗤うつもりなのか、朝霞は急に笑い出した。

「ッハハハハハ!まさか私の容姿に惚けようとは!物好きもいた者だ!ハハハハハ!」
「その、あの…」
「なに、君を嗤うつもりは毛頭無い、兎にも角にもこれから共に戦うチームだからな、宜しく頼むよ」
「ゑ?」

何か凄い事言って来たよこの人!?チーム?共闘?どう言う事だサッパリ分からない。
「隊長なら何か知ってるのでは無いか?」と、燈矢に助けを求める静流、すると燈矢は

「アイェェェェェェッ!?」
「え、隊長も驚くんですか!?」

何と言う事だ、どうやら燈矢ですら知らなかったらしい、だが朝霞は「何故知らないんだ?」みたいな顔をしている。
少しワザとらしく感じた為ジト目で燈矢を見ると、燈矢は「いや本当に知らなかったよ!?」とでも言わんばかりに首を横に振っていた。
その様なコントをやっている内に、呆れたのか朝霞が口を開いた。

「司令から聞いていなかったか?北方連合及びレイヴンとの戦闘にも備えて、葛城 静流を私達三島小隊と合流させると」
「いや、全く聞いてないよ三島」
「えっと、三島さんの隊に私が合流って…どう言う事ですか?」
「その通りだ、君には私の隊に一時的だが入って貰う」
「さいですか…」

北方連合、ユニオン、SB、ブリタニア、そしてレイヴン、そう言えば現在は世界の覇権を握って第三次世界大戦が起こりかねない状況にあったのだ。
そしてWhite/Fangは北方連合の兵器
Иpina・Aзмов(イリーナ・アシモフ)
の奇襲により全滅、所持していたレギオンと隊員の殆どを喪う大損害を被ったのだが、レギオンの能力により命からがら生き延びたと言う現状だ。
更に向こうには、静流の同僚もいる。大量の犠牲を伴う決死の作戦、それもあるだろう。世界を打倒し鴉を駆逐し、自身の家の真相へ。

その憧憬と屍の先に、何があるのか。

「レイヴンとの戦闘も考慮した実戦訓練をこれから行う、ついてこれるな?」

三島の質問、すると静流の顔付きは変わり目つきも鋭くなる。三島は静流の答えを予想してこの質問をしたのだろう、静流の返答は彼女の意思の表れ、犠牲を払い、屍の山を築き上げてでも復讐を果たす。

「当たり前です」
「良い目だ、一ノ瀬、少し借りてくぞ」
「あぁ」

物語は、再び紡がれる
彼女の素敵で
残酷すてき
魑魅魍魎すてき

英雄譚ものがたり








次回代弐節
「懊悩陶酔愉悦御来光」
久しぶり
(つってもあんま時経ってないけど)
の更新じゃーーーい!

次からは三島隊と静流メイン
佐之も早い内に出さなくては