ダーク・ファンタジー小説

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.27 )
日時: 2020/01/10 21:55
名前: 祝福の仮面屋 (ID: PZX6sAnA)

〜会津エリア・鶴ヶ城付近〜

「さてと、侵入ルートも確保出来た事だし!ちょっくらこの街の探索とでも行こうかな」

静流はそう呟くと、鼻歌混じりにルンルンと歩きながら会津の街並みをグルリと見渡して行く。文書とかニュースでもこっ酷い惨状だと聞いてきた為、正直来る前までは街並みとかめちゃくちゃボロいんだろうなと思っていたが、全くそんな事は無く街並みはサイバーパンクを思わせる近代的でありながら、衰退しつつある良い塩梅を醸し出していた。

「こう言うの好きなんだよね〜……っとアレはまさか!?」

なにかを見つけた静流は、何かに向かって真っ先に走って行く。
そこはちょっとした露店らしく、そこに建っていたのはーーー

「へいらっしゃい!」
「おっちゃん!タコ焼き一つ!」

タコ焼きの店だった。
何気に、こんな廃れた場所にタコ焼きの店がある時点である種の感動が込み上げてきたが、そんな事は御構い無しに静流はタコ焼きを一つ購入する。

「今食べて良い!?」
「おう!かまぁねぇよ!バクッといっちまいな!」
「そんじゃ、いただきまーす!」

そして、静流はタコ焼きを一つ頬張る。
次の瞬間、静流は目を見開きーーー

「ーーーーー〜〜〜〜〜〜♪♪♪」

あまりの美味さに震えた。

「美味い!」
「おっ!そいつぁ嬉しいねぇ!」
「いやマジで!冗談抜きで!」

カリッカリの表面を噛み砕いた刹那、フワッと香りが口の中で広がりトロットロの中身が少し熱いが、プリップリのタコと良い感じに混ざり合うのだ。生地とタコがそれぞれ主張しながら互いの邪魔をしない、東京エリアでも食べた事の無い未知なるタコ焼きに静流は感動した。
ものの数分でタコ焼きを食べ終えた静流は、少し罪悪感を感じながらもタコ焼き屋の店主にとある事を訪ねた。

「ねぇおっちゃん」
「ん?」
「レイヴンって昔はどんな組織だったの?」

店主は少し表情を曇らせる。
地雷でも踏んだか?と静流は考え、無理に話さなくても良いと店主に言ったが、店主は口を重く開いた。

「嬢ちゃん、悪い事は言わねぇ。カンヘルには気を付けろ」
「カンヘル?」
「レイヴンのリーダーの名前だ。そいつがリーダーになった事で、確かに会津は豊かになったが……何かが変わっちまった。それに…」
「ありがとうおじさん。私、もう行くね」

静流は謝罪も含めて礼を言うと、店主は「気を付けてな!」と先ほどと同様の明るい笑顔で見送ってくれた。
そして鶴ヶ城へ向かう途中、静流はとある疑問に頭を捻っていた。

「(カンヘルがリーダーになってから何かが変わった…じゃあ、カンヘルの前のリーダーは誰だったの?いや、そもそもソイツは人間なの?)」

静流は考え、彼女の人生を喰い荒らした鴉の巣へと向かって行く。
これから起こる、悲劇を暗示するように……




次回
代肆節
「No.chance of survoiving

これからは前編後編構成で投稿!以上!